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(2003年12月5日発行)



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交番を市民のものに!


弁護士 佐久間哲雄



 私の子供のころ、警察と言えば「お巡りさんと交番」ということであった。交番の前に何時もお巡りさんが立っていた(実際はそんなことはなかったと思うが)。お巡りさんは、威厳があり恐ろしくもあったが何処か優しさを漂わせ、子供心に親しみを感じさせたものであった。

 現在、交番は全国では6500箇所ほどあるとのことである。近頃の交番は、警察官が立ち番をしているのは、駅前の交番とか非常に人の多い繁華街になる交番に限られ、いわゆる普通の交番では立ち番をしている警察官をみることはまれになった。先日、テレビ放送の中で交番にふれたところがあったが、電話をかけても出てくれない、訪ねて行っても警察官が不在のいわゆる空き交番が多い、との市民の批判があることが紹介されていた。
 よく知られているように、日本の警察の交番は、世界の注目を集めている存在である。本来の交番の機能が発揮されていない原状は、早急に改善されるべきだろう。
 犯罪件数の激増、特に凶悪重大犯罪の増加により、警察の力が凶悪事案の捜査に向けられ、交番の機能に代表される極く普通の犯罪に振り向けられる力がおのずと手薄になる事情があるようである。また、110番の利用が増え、交番に詰めている警察官が現場に急行するケースも以前と比べると相当増えていると聞く。その結果として空き交番という現象になっているのであろう。

 松沢神奈川県知事は、選挙公約で1500名の警察官増員を約束していた。警察庁は、平成16年度までに全国2万人の警察官の増員、その後も引き続いての増員をうち出している。

 日本の警察官は、24万人強の人数で、警察官1人で国民560名程度の割合である。アメリカ、イギリスでは、警官1人/400人弱の国民、ドイツおよびフランスでは、警官1人/300人である。日本は、先進国の中では飛びぬけて多い。最近の日本の治安情勢の悪さを思うと、やがて欧米先進国なみの警察官が必要になるのかも知れない。

 思うに、市民の警察に対する理解協力がないところでは、警察官の数をどのように増やしたところで治安の確保は難しいに違いない。市民と警察との接点としての交番を生き生きとしたものに是非とも生まれ変えさせたいと思う。思い切って、増員された警察官を可能な限り交番の充実に振り向けたらどうだろうか。また、現に動き出している交番相談員を飛躍的に増やし、警察官OBからでなく一般企業のOBからの採用を拡大したらどうだろうか。また、交番の機能を新しい視点から見直し、時代に即応したものに変えることも検討して欲しいものだ。


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