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オケのなかの蛙、大海に挑む

(98/6/23掲載)


表紙の写真

 おなじみ、N響のオーボエ奏者茂木大輔さんの5冊日の単行本が出ました。このところ1年に1冊というペースでコンスタントに出版されていますが、最近は本業の音楽のほうでも指揮者としてデビューしたりと、その大活躍ぶりにはほんとうに驚かされます。
 今回の目玉は、なんと言っても初めて英デッカヘのレコーディグを敢行するにあたっての、常任指揮者シャルル・デュトウのプロとしての厳しさを扱った「今回のデュトワはしつこく怖い」でしょう。雑誌連載のときは3回に分けて掲載された長尺ものですが、結果は読めているのに、妙にわ<わ<して次回への期待をそそられたことを覚えています。

 この3日間の練習は、少な<ともおれ個人にとって、いや、ほとんとの楽員にとって、退屈だ、飽きたただ山形だなとという余裕がまった<ない、実に恐ろしいものであった.アタマもセカンドも、新人もベテランも、なんのえこひいきも差別もな<、一直線整列!右向け右!という感じなのである。荒れ狂う暴君となったデュトウに誰彼なく槍玉にあげられると、その楽員は緊張からどんどん失敗し、ますますやり直しを求められ、周囲の人間の手前、公衆の面前で罵倒されているかのような(されているのだ)圧迫感、屈辱感、緊張、欲求不満、自我の崩壊、自尊他の破壊などを味わう。それでも敵(もはや敵!)は容赦しない。(78ページから転載)
CDの写真 なんだか最近どこかのアマオケでも見られたような光景ですね。
 著者から見ればプロのオケに対しては異常とも見えた長期間にわたる徹底した訓練の結果、出来あがったのがこのCDです。全世界に先駆けて、先日日本で先行発売されました。 
(ロンドンPOCL 1826)

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