(01/5/19掲載)

[最近の「第九」のCD]


 仙台ニューフィルでは、今年の秋の定期演奏会は創立20周年にあたることから、ベートーヴェンの交響曲第9番を演奏することになっています。指揮は、ニューフィルとは最も共演回数の多い末廣誠さん。しかし、末廣さんとベートーヴェンを共演するのは今回がはじめて、したがって、彼のベートーヴェンの楽譜に対する見解がどのようなものであるかは知る機会がありませんでした。もっとも、他のオケで「第九」を演奏した時には、ベーレンライター版を使っていたというような情報も、どこからともなく流れてきます。そこで、正規のルートで確認してもらったところ、やはり、ベーレンライター版を使うということでした。
 仙台でも、仙台フィルでは既にこの版による「第九」の演奏を日常的に行っていますが、アマチュアによるものは、今回のニューフィルが初めてのはず。末廣さんの指揮のもとで、この、ベートーヴェン業界の最前線を体験できるということは、まさに、20周年記念演奏会にふさわしいことなのではないでしょうか。

 ベーレンライター版を、従来のブライトコップフ版と比べてみると、非常に多くの個所で違いが認められます。ですから、演奏に当たっては、全く新しい曲に接するぐらいの気持ちが必要になってくるのでは。
 ここでは、耳で聴いてはっきり分かる相違点をご紹介します。
1.第1楽章81小節のフルートとオーボエ
最後の八部音符が、Dになっています。(従来はBb

この譜例の音

従来版の音
2.第1楽章300小節のトランペットとティンパニのリズム
上がベーレンライター版。従来は八分音符4個でしたが、十六部音符8個になっています。

3.第4楽章120小節のファゴット
上がベーレンライター版。矢印部分のリズムが変わっています。
4.第4楽章532小節以降のホルン
矢印部分にタイがついています。
5.第4楽章767小節以降のソリスト
歌詞が違っています。詳細はこちらを。