(01/5/19掲載)

[今度のニューフィルの第9はベーレンライター版]


 ベーレンライター版が出版された1996年以降に録音されて、世界中のマーケットを対象にリリースされた「第九」のCDは、次の7点です。このうち、ベーレンライター版を使用していないのは2点だけ、もっとも、ドラホシュ盤は録音されたのが96年8月ですから、まだ入手できてなかったのかも知れません。そうなると、確固たる意志をもってベーレンライター版を使わなかったのはバレンボイム盤だけということになります。秋に来日するサイモン・ラトル指揮のウィーン・フィルも、曲目はベーレンライター版によるベートーヴェンツィクルス。そうなると、もはや世界の趨勢はベーレンライター版?
Claudio Abbado/
Eric Ericson Chamber Choir, Swedish Radio Choir
Berliner Philharmoniker
SONY SK62634(1996/4)
BÄRENREITER
Béla Drahos/
Nicolaus Esterházy Sinfonia and Chorus
NAXOS 8.553478(1996/8)
Philippe Herreweghe/
La Chapelle Royale, Collegium Vocale
Orchestre des Champs Élysées
HM HMC 901687(1998/10)
BÄRENREITER
David Zinman/
Schweizer Kammerchor, Tonhalle Orchestra Zurich
ARTE NOVA 74321 65411 2(1998/12)
BÄRENREITER
Jos van Immerseel/
Anima Eterna Symphony Orchestra & Choir
SONY SRCR 2462(1999/5)
BÄRENREITER
Daniel Barenboim/
Chor der Deutschen Staatsoper Berlin
Berliner Staatskapelle
TELDEC 3984 27838(1999/5-7)
Claudio Abbado/
Eric Ericson Chamber Choir, Swedish Radio Choir
Berliner Philharmoniker
BÄRENREITER

 ここで注意しなければいけないことがあります。それは、「ベーレンライター版を使っている」とは言っても、必ずしも「ベーレンライター版通りに演奏している」とは限らないということです。たとえば、アバドは1.を従来どおりのBbで演奏させていますし、2.のリズムも、アバドとヘレヴェッヘは従来のままです。テレビで見たN響に至っては、きちんと「ベーレンライター版」とコメントしているにもかかわらず、従来のものと殆ど変わっていなかったこともありますから、その辺は指揮者の裁量ということなのでしょうか。
 末廣さんは果たしてどの程度「裁量」を加味するのか、これも興味深いところです。