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移植と拒絶について
最近は移植手術についての話を聞くのも少なくなくなってきた。移植には臓器移植と骨髄移植があり、臓器移植についての脳死問題が取り上げられているからである。臓器提供者をドナー、臓器受容者をレシピエントと言う。このドナーとレシピエントの間でABOやRhなど(免疫のところを参照)の赤血球の血液型は当然のこととしてHLAといわれる組織適合性抗原が一致していないと拒絶反応が起こる可能性がでてくるのである。HLAにはclass Iとclass IIと言われるものがあって、主にclass IIが一致することが好ましい。これには相当数の抗原があるため、一般集団から自分に一致する人を見つけるには1万人に一人と言われている。家族内の場合は一致する確率が高く(1/4)、双子の場合は完全に一致する。こういうことから考えて、移植をする場合、家族、兄弟などからドナーを捜したりする。ただし、骨髄の場合は良いが、心臓移植の場合はそうはいかないのだ。それでドナー探しが困難になるのである。
区切り
では、拒絶反応とは何か。
拒絶と一言に言ってもいろいろあるのだ。ドナーとレシピエント間であらかじめレシピエントがドナーの同種抗原に対する抗体が存在しないかどうかを確かめる必要がある。もともと抗体を持っているのに移植してしまうと、抗原に対する抗体が活性化されて組織障害を起こしたり、血栓を形成して虚血状態となり、短時間で死に至る。これを超急性拒絶反応といい、移植後数分から数時間で発生、腎移植の場合は移植腎が死滅する。移植後10日くらいで発生するものは早期急性拒絶反応といい、これはキラーT細胞による傷害やリンフォカインによる遅延型アレルギー反応が原因と考えられている。また、これ以降おこるものは後期急性拒絶反応と言って移植組織に対する抗体が出来てしまうことによる。慢性拒絶反応とは数ヶ月にわたって続くもので、移植した組織から遊離した抗原とそれに対する抗体が抗原抗体複合体を作って組織に沈着、組織障害を起こすためと考えられている。超急性の場合は移植した組織を再度摘出するしかないが、それ以外の場合は、免疫抑制剤にて対処するようになる。
このような移植拒絶のほかに、移植によるGVHDというものが実は大きな問題となる。一般的に拒絶と言うと移植された組織を拒絶する、という風にとらえられるが、実はGVHDという反応の方が大きな問題となることがある。特に骨髄移植の場合はこれが最大の問題となる。移植の場合、事前に患者さんに放射線照射、および薬剤による対処を行って本人のリンパ球をから状態にしておくのだ。しかし、100%なくなるということはあり得ない。従って少しだけ本人の血液は残っている。ここにドナーの骨髄を移植すると、移植された骨髄はそこが自分の場所であると思って体内でどんどん増えていく。しかし、もともといた、患者さん本人の血液が、組織などに若干残っているのだ。これを移植された骨髄からできたリンパ球が“他人だ!!”と判断して攻撃してしまうのである。そう、どんなに一致させても若干の違いを移植されたドナー細胞は見つけて、これを攻撃してしまうのだ。急性のGVHDは移植後一週間くらいからおこり、発熱、下痢、嘔吐、発疹などがおこる。ひどい場合は命に関わる。100日以降におこるものを慢性GVHDといって、自己免疫疾患のような症状を呈する。骨髄移植の場合はこれが一番の問題となり、他の移植でもGVHDは命に関わる問題であるため注意を要する。
輸血などでも、血液型があっていると思って輸血をしたら、ひどい輸血反応(溶血したりする反応)が起こることがある。これは一致していると思っていても、ABO以外の他の型が若干違うものに反応したり、実は亜型と言われる血液で型判定を間違えていたり、ということによるのだ。こういうことを避けるため、最近では手術の場合、自己血輸血を行うところが多い。
移植、拒絶に対してはいろいろ難しいところがあるが、充分に医師と話し合って移植手術を受けるようにしたいものである。
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