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原発性免疫不全症・特にIg欠損症とは?
免疫不全症とは免疫系(T細胞系、B細胞系など)のいずれかに欠損があるために生体防御機構に異常を来すものである。問題になることは、感染に対する抵抗性が低下すること、いわゆる“易感染性”である。重症な感染を起こした場合などは生命の危険が生じる。また、腫瘍を発生しやすい、アレルギー、自己免疫疾患の合併を起こしやすい、などの問題も生じる。
免疫不全症には原発性と続発性があるが、今回は原発性のものの中でもイムノグロブリンに関与するものを紹介しよう。
区切り
イムノグロブリンとは、免疫のところにも述べているが、生体を感染から守るタンパク質である。リンパ球にはT細胞とB細胞があるが、B細胞が産生する蛋白である。リンパ球は骨髄からでて分化していくのであるが、B細胞の分化に異常があり、B細胞が出来てこないのがX染色体型無ガンマグロブリン血症である。これはX染色体に異常を来していることから男の子にだけ発症する。イムノグロブリンには様々な種類(IgG、IgA、IgM、IgE、IgD)があるのだが、X染色体型無ガンマグロブリン血症の場合はどのイムノグロブリン(特にIgG,IgM、IgA)もすべてが低下するのが特徴である。従って感染には極度に弱く、インフルエンザ、連鎖球菌、肺炎球菌などによる、インフルエンザ、中耳炎、肺炎、髄膜炎その他を繰り返すようになる。症状がでだすのは、母乳からのIgAの効果がなくなる乳児期後半で、さまざまな感染を起こすことから見つかることが多い。治療方法としては、イムノグロブリンの補充療法しかない。
同じようにイムノグロブリンが欠損しているものに、IgM増加をともなう免疫グロブリン欠損症(高IgM症候群)がある。これはIgMは産生されるもののIgGやIgAが産生されないのである。原因としてはT細胞異常とB細胞異常の両方の可能性が考えられ、詳細な検査をしないとはっきりしない。症状としては、抗体欠損による上気道の感染や腸炎などをおこす。遺伝性は不明である。
このほか、選択的IgA欠損症というものもある。IgGやIgMは正常であるのに対し、IgAだけが欠損している例である。IgA欠損症の場合は、局所的な免疫機構に異常を来すことがあるものの、易感染性を示さないことが多く、特に生活に支障を来さない例が多い。ただ、輸血時、免疫グロブリン製剤の注射時にアナフィラキシーショックを起こすことがあり、このアナフィラキシーには注意を要する。また、IgG2a欠損を併発する例もみられる。
では、子供が感染をおこしやすく、風邪をひきやすい、肺炎を起こす、などで病院に行った時にIgGが低いと言われた場合にどのようなことが考えられるだろうか??低いというのにもどのくらいか、という問題があり、かなり低い場合は先に述べたような無ガンマグロブリン血症とか高IgM症候群を疑うが、それほどでもない場合は一括して低ガンマグロブリン血症という。これは免疫グロブリンの低下、抗体産生不全を伴うものの、明確な分類がないものである。患者数は多く、一般に低ガンマグロブリン血症と言われた場合は、これかもしくは乳児期一過性低ガンマグロブリン血症であることが多いのだ。低ガンマグロブリン血症はB細胞数の減少、B細胞の機能的欠陥、もしくはT細胞の機能異常によるもので、年齢とともにガンマグロブリンの量が増えていくことが多い。また、IgGサブクラス欠損症というものもあり、多いのはIgG2a欠損症で肺炎菌、インフルエンザ菌による中耳炎、肺炎を反復するものの、こちらも年齢とともにIgG2aの値が上昇することが多く、大きくなるに従って正常になっていく例が多い。低ガンマグロブリン血症では一時的にガンマグロブリン補充療法を行ったりするが、サブクラス欠損症では補充療法を行わない場合が多く、それぞれの症状によって治療方針が異なる。
これらとは異なって重症な免疫不全症に“重症複合型免疫不全症”がある。これはT細胞、B細胞両方の欠損からおこるもので、重症化しやすく、生命の危険も生じる。また、T細胞に異常があっておこる重症免疫不全症に“胸腺無形成症(DiGeorge症候群)がある。顔面の異常や心奇形などを伴う。わずかな胸腺を残していることが多く、その場合はT細胞が成長に伴って増加してくる。
これら多くの免疫不全症の検査では、免疫グロブリンの量の測定、ヘルパー・サプレッサー機能の測定などを行う。また、リンパ球芽球化試験などを行うこともある。
原発性免疫不全症といってもいろいろ種類があるが、比較的患者数の多い低ガンマグロブリン血症やIgGサブクラス欠損症などでは幼い頃に気をつければ命に関わることは少ない。大きな気持ちで接していってほしいと願う。
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