ピロリ菌ってなぁに？？ 最近、“僕は、私はピロリ菌に感染してるんだよ”という話をよく耳にする。ピロリ菌というのは正式名称が“ヘリコバクターピロリ”というもので、一種の細菌感染なのである。べん毛を持つ螺旋状の細菌であり、普通住みえない強い酸性状態の中でも生活ができるのである。名前の由来は“らせん”を意味する“ヘリコ”とバクテリアの“バクター”それに胃の噴門部を意味する“ピロリス”から“ピロリ”となっていてこれらが繋がって“ヘリコバクターピロリ”になったわけだな。ヘリコはヘリコプターのようにぐるぐる廻るというらせんの意味で細菌がこの形をしているのだ。胃の中では螺旋状で活動していて、調子悪いときは球状に変化して冬眠するというとんでもないやつである。 普通胃の中というのはpHが1〜2というとんでもない酸性の胃液がある状態なため、ほとんどの細菌は生活できない。これは胃液の中に濃い塩酸があるためで、この強い酸で様々な蛋白質を溶かして消化するのである。ステーキなどを食べて胃で消化されるのはこのためである。ではなんで胃壁が消化されないのか？？というと胃の中で粘液というのも産生されていて、これが弱いアルカリであるため、うまく中和されているのである。ストレスなどがかかって胃が痛くなるのは、胃液の分泌をつかさどっているホルモン・ガストリンの産生がストレスによって異常になるためなのである。ストレスがかかると自律神経の調節がうまくいかなくなり、胃液の分泌を調節するホルモンバランスも狂って胃酸過多になり、結果として胃が痛い、最悪の場合は胃に穴が開くのだ。とまぁ、こんなに酸性の中でも生きていける細菌ってナンジャ？？というと、この細菌、胃の粘膜に好んで住み着き、粘液の中に潜って自分の周りだけアルカリで中和された状態にして住みやすくしているという得意技を持っておるわけだな。なんで酸性が強い胃液が分泌される胃の中で快適に生活できるのであった。このピロリ菌君はこいつが胃の中にいると胃潰瘍になりやすいことがわかり、胃癌とか胃のリンパ腫とかにもなりやすいという報告が出てきて一躍有名になったという経歴を持つのである。日本人の場合、気がつかずに感染していることが多く、感染しているからといって全員胃潰瘍になるわけではないこともわかっている。実は菌の種類にもいろいろあると言われていて、どれが胃癌になりやすくて・・・・ということは私の知るかぎりではわかっていないと思う。ピロリがいるかどうかは内視鏡などで分かり、培養法などを用いて確実に診断するのが現在のやり方ではないだろうか。 感染は口から、といわれている。もちろんそのほかの空気感染もあるだろうが、たとえば子供に口移しで食事を与えたりするのはやめたほうがよいのではないだろうか。40代くらいになると日本人の4割以上感染しているわけで、やはり口移しは・･ね。口の中にあるプラークと言われるもの（歯垢だな）にもピロリはいると言われているので歯磨きが大事だよね〜〜〜〜〜また、キスも不潔な状態では考えものではないだろうか。そうそう、酔っぱらった人の嘔吐物にはいっぱいピロリ菌がいるとも言われているので嘔吐物の近くには近寄らないほうが・・･って誰も近寄らないか。それと内視鏡による感染が言われだしてから、病院、特に多くの患者に接する大病院ではかなり気遣っているはずです。 ではピロリ菌を除菌すると良いことがあるのか？？？多分あるだろうね。それは胃癌発生率が減ることである。日本人の胃癌患者のうち95％はピロリ菌に感染しているので除菌するに越したことはないと考えられますぞ。もちろん100％はないので絶対ではないけれど、発症率が減るならやはり除菌でしょう。潰瘍がみられないけど消化器症状があるような場合はピロリが犯人である確率が高く、やはりしっかりと検査する必要があると考えられる。除菌方法としては抗生物質を用いるわけだけれど、何種類かある抗生物質のうち、その薬の種類によって除菌率が違うという事実もある。ここでは薬の名前を出してしまうのを避けるが、どれを飲むにしても普通よりも容量が多いのでちときついっす、除菌をするのは。でも・・・胃潰瘍とか十二指腸潰瘍の再発を防ぐし、さっきいったように胃癌の発症率が下がるし、胃の悪性リンパ腫にも効果あるという報告もあるし、苦しくても除菌をするほうが良いでしょうね。 まぁ、ヘリコプターのように移動して胃の中で元気に生活をし、自分の住み家を胃癌にしてしまうとんでもない細菌をなにも胃の中に飼っておくことはないのではないだろうか。死んだふりして冬眠してあるとき急に動き出したりもするし！！！！ね！！！！！！！ さぁ、持っている諸君、除菌をしよう！！！！って薬品会社の回し者ではないぞぉ。 いろんな病気Q&A INDEXに戻る ←BACK NEXT→