彼自身、非常に優れた観察力、というか洞察力があったものと考えられ、この素晴らしい洞察力によって今の免疫学の基礎的考え方ができ上がったのであろう。これ以降、さまざまな研究がなされるようになり、“細胞性免疫”“体液性免疫”などの概念が出来てきた。
昔は血清学と言っていたように、人間の血液型も実は免疫学でいろいろな説明ができるのである。また、最近免疫が注目される原因にアレルギー患者が激増しているのも挙げられる。そう、アレルギーも生体内の免疫機構の異常で起こるものである。
このほか、移植時に起こる移植拒絶も免疫反応であり、自己免疫疾患という免疫能の根本的異常を示す病気もある。その他、腫瘍が出来ていく過程にも免疫反応が関係している。実際に癌患者の免疫能を調べると低下していることが多い。
このように免疫反応はさまざまな病気に関わっており、研究するにもまだまだ解らないことが多くて面白い分野である。
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