医学部で免疫実習を担当している。うちの大学では2年生で免疫実習をやるため、まだまだ“子供”な学生が多い中、なんとなく医学っぽい実習を指導するのは結構大変である。
医学部の学生が“医学生”らしくなるのは解剖実習をやった後のような気がする。解剖実習に向かい合ってはじめて“医学を学ぶ”という実感が湧くのかもしれない。免疫実習は解剖実習の後なので医学生らしくなってきているものの、まだ発展途上の学生さんを100人以上見るって結構肉体的にも精神的にもきついものがある。
免疫実習は、さまざまな免疫反応の基礎を教えるとともに、動物(マウス)を使う実習で“実験動物”の存在のありがたさなども教えていく。マウスを用いるアレルギー実習などをこなしていったあと、うちの大学では“動物慰霊祭”があるのであるが、学生も足を止めて手を合わせている姿を多々見るようになる。良いことだ、と思う。“あなたたちがいて我々は学べるんです、ありがとうございます”という気持ちが芽生えることは、患者さんに対する優しい気持ちの芽生えの基礎になっているような気がする。
アレルギー実習で亡くなってしまったマウスを見て涙する男子学生、女子学生もいる。こういう学生は将来良い医者になるだろうと思う。生き残ったマウスを“かわいそうだから飼いたい”と申し出てくる学生も毎年いる。こういう学生をほほ笑ましく思い、良い医者になる素質があるから頑張れ!!と心の中で励ましている。 |