私は以前ピアノも教えていた。そのときにはピアノで生きていきたいという人の姿を見ていた。私自身もそう思っていたが、自分がどうだったか??ということを考えると、子供のころはただ言われるまま、親がそういうからそうか、ぐらいの認識だったような気がする。しかし、そのくらいの認識ではある程度はうまくいくが、あるところでつっかえるのだ。これは勉強にも当てはまる。ただ、親に言われるから、と言う姿勢で勉強していると、結局最終的に伸びが止まってしまう。
私はよく、どうして受験するの???と聞く。そうするとお子さんはほとんど“お母さんが言うから”というような返答か“良いところにいかないと将来困るから”(これもほとんど親の意見だろう)、とか、“悪い子が(犯罪を起こすというような意味で)少ないから”というようなことを言う。これはある意味、子供の自主性を潰すことになり、また、そういうことで子供の能力を潰すことにもなるのである。
子供の能力は生まれえたときから無限にあると思う。そして3歳くらいまでに親がどのように接するかが、それ以降の伸びの決め手になるような気もする。3才までの子供は驚くようなことを言う。
“おわんがころがってる”のを見て“おわんが笑ってる”なんて言うのだ。
何という感性だろうか、感激するではないか。それを聞いた親は“お椀は笑わないよ”と決めつけてしまう。これではいけないのだ。子供にとって、おわんがくるくる回っているのはおわんが笑っているように見えるのだ。だったらそれでいいではないか、いや、その方が良いではないか。おわんが笑う、とか、お箸を持っていてかちかち音を立ててるのを見て“お箸がおしゃべりしている”という表現をした子は、それを否定されれば二度といわなくなる。
私としては、そういうことを言うまま大人になって欲しい。いや、言うままというのではない、大人になったら考えて言わなくなってしまうが、そう感じる心だけは持っていて欲しい。そんな子供の能力、潰さないでいたい。 |