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11.結婚式

えみちゃんと結婚式に行ったことがある。えみちゃんにとっては初めての結婚式だった。結婚したのは私の教え子であった。この教え子が私の病院に入院したこと、これがえみちゃんとの出会いだったわけだが、彼女が結婚するに当たって私に相談してきた。もちろん、病気のことは話しはしないが、抗がん剤治療をしているわけだし、状況はわかっていたのだろう。結婚式を経験させてあげたい、そういってきたのだ。私はその場でOKをした。私が連れていく、そういったのであった。

区切り
えみちゃんが結婚式に呼ばれたことを知ると大喜びをした、あの笑顔はいまだに忘れられない。“わぁ〜〜〜いいの!!初めてで楽しみ!!”といったあの笑顔を。先生が連れていってくれる、そういいながら大喜びをしていた。着ていく服をどうしようか、などなど楽しそうに話していた。
当日は渋滞を考えて早い時間からお迎えに行った。入り口で待機していたえみちゃんがあまりにうれしそうで、そして着飾ったえみちゃんがとってもきれいで近所のおばさんも見に来ていた記憶がある。“えみちゃん、きれいよ!!”って。車に乗って案の定渋滞。普通、人は渋滞するといらいらするものである。私はいらいらさせては可愛そうと考えて、いろんな道を模索しながら出来るだけ止まらないようにして走った。えみちゃんは全然いやな顔をしなかった。いやな顔どころか“先生、疲れない??”って私のことを気づかっていた。この日は二次会にも呼ばれていて、もう肺にも転移していたころで、今疲れては可哀想なのはえみちゃんであるはずなのに、そんなことを考えもしていない様子だった。やっとこさっとこ着いたホテルの入り口で、杖をつきながら降りると、フロントの方が気を利かせて歩きやすいところに車を誘導してくださった。お気遣い深謝である。始まった結婚式、ほんとに楽しそうだった。私は主賓として呼ばれていることを忘れて楽しんだ。主賓の挨拶を私がしている横でえみちゃんはにこにこ笑いながら私を見ていたのが目の奥に焼き付いている。そして二次会に行く途中、非常に疲れているであろうと思ったものの、そんなことを全く感じさせないほど元気だったえみちゃんは、二次会のじゃんけん大会でみごと“優勝”したのだった。二人で買いに行った“リーガル”の靴。あれは記念品である。忘れられない思い出だ。帰りの車の中で“疲れたでしょう、寝ていいよ”といったのにえみちゃんは疲れているそぶりを全く見せなかった。ほんとに楽しかったのだろう。生まれて初めてであり、一生に一回だけだった結婚式。結婚式に呼んでくれた教え子に亡くなったときに連絡をしたら生まれたばかりの子供を連れてお葬式に来てくれた。“えみちゃん、結婚式に来てくれてありがとう”そういって棺のえみちゃんの前で涙していた。彼女の優しさは私が教えたのではなくえみちゃんが教えたものではないだろうか。もともと非常に可愛らしく優しいお嬢さんだったが、やはりえみちゃんと出会って大きく成長したと思う。えみちゃんはいっぱいの人を育てたよね、私を含めてね!
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