ベクトル 行列 1次変換 お話(オリジナルぼやき)
これは某私立高校に投稿したネタですが、ホームページ担当の先生が交替したようで、もうリンクされていません。
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前段
高校ではスカラー積(内積)だけであるが、行列の積は内積をたくさん求める話ではある。しかし、行列式となるとベクトル積(外積)のほうも関係がある。内積と外積は、複素数を拡張して得られた「4元数の積の演算を定義した」ところからの派生である。
aとbを複素数として、あらたに j という虚数単位を導入し a+bj なんてのを想像する。
a + bj α、β、γ、δを実数として a=α+βi b=γ+δi で代入してみると
α+βi +γj+δij 問題は, iとjを掛けるとどうか? i・j=k なんと新しいまた「虚数単位 k 」 だという。 すなわち4元数だ。
=α+βi +γj+δk 虚数単位が i,j,kの3成分ある
(さらに4元数を係数にして、新たな虚数単位を1つ追加すると8元数に拡張されます)
虚数同志の関係は?
・方向成分の同じもの同士をかける i,j,kは2乗すると-1になる
・方向成分の違うもの同士をかけると、もうひとつの成分になる ij=k, jk=i , ki=j 交換法則は成り立たず、符号マイナス
虚数3成分が3次元ベクトルに使われるようになった。
虚部同士の掛け算の部分をi,j,kの方向成分を持つベクトルと想定して9項を表にしてみると、「外積」−「内積」なのである。
a×b |
b1i |
b2j |
b3k |
---|---|---|---|
a1i |
-a1b1 |
a1b2k |
-a1b3j |
a2j |
-a2b1k |
-a2b2 |
a2b3i |
a3k |
a3b1j |
-a3b2i |
-a3b3 |
3つの虚部の性質は、3次元における3つの単位ベクトル同士の内積や外積の元になったのである。
ベクトルの内積・外積と行列の積
内積:
2つの数の方向が違う(数直線の向きが同じでない)数同士を実数の掛け算みたくやる計算
どっちかに数直線の定規を合わせることにして、一方の向きの沿わない数はその数直線へ射影をとり、それで普通の実数の掛け算をするのである。
ベクトルの向きが90度以上開くと、符号が異なる数の掛け算になり負になる。
外積:
方向が揃っていると効いてこない。90度に開いたときが一番効果がある。
2つのベクトル同士でつくる平面に対して法線ベクトルである。その大きさは2つのベクトルでつくる平行四辺形の大きさ(右ねじの向き)を物差しにしている。
内積や外積の成分をみるには、単位ベクトルに分け、代数の掛け算のように扱うのが一つの手だね。
(一次結合は、まあ、各要素のスカラー倍したものの和という形式)単位ベクトルに分解したときの係数がベクトルの成分表示である。
3項×3項 展開によって、9つの単位ベクトル演算の項が出てくる。単位ベクトルの内積・外積の単純な計算が使える。
9通りの組合せ表にして見ると、内積は「同じ成分同士の積」の組み合わせのみ、外積は同じ成分同士の積の項はない。
a・b |
b1ex |
b2ey |
b3ez |
---|---|---|---|
a1ex |
a1b1 |
0 |
0 |
a2ey |
0 |
a2b2 |
0 |
a3ez |
0 |
0 |
a3b3 |
a×b |
b1ex |
b2ey |
b3ez |
---|---|---|---|
a1ex |
0 |
a1b2ez |
-a1b3ey |
a2ey |
-a2b1ez |
0 |
a2b3ex |
a3ez |
a3b1ey |
-a3b2ex |
0 |
内積 | 外積 | |
どんな量なの | スカラー | ベクトル (3次元以上でないと成立しない) |
交換法則 | a・b も b・aも同じ | 符号が反対に(向きが反対) |
大きさ | |a||b|cosΘ ベクトル同士のなす角Θ 一方のベクトルに数直線を合わせて掛け算した結果である。 |
|a||b|sinΘ ベクトル同士のなす角Θ これは2つのベクトルでつくる平行四辺形の面積である。 |
垂直な成分は効いて来ない。 例えば、 仕事は力の成分の変位を及ぼす方向成分しか効果はない。仕事は力のベクトルと変位ベクトルの内積を経路に沿って積算した形となる。 |
平行な成分は効いて来ない。 例えば、 ローレンツ力は、荷電粒子の速度ベクトルの磁束に対する鉛直な成分しか効いてこない。一様な磁束中でのらせん運動とは、円運動しながらも、磁束に平行な速度成分もあるから起こることである |
|
![]() |
2次元の場合は2つのベクトルの法線方向のベクトルは定義できないので、成立しない。 3次元でxy平面上のベクトルの外積をとると、x,yの要素でできた列ベクトルでできた行列の行列式の値がz成分となる。 2次正方行列式は2つの2次元の列ベクトルでつくった平行四辺形の大きさをしている。 3つのベクトルを3次元で見た場合、 平行六面体の大きさと関係があるのは、2つのベクトルで外積をとり、これと残りのベクトルと内積をとったスカラー値である。 これは、3つの3次元列ベクトルでできた3次正方行列の行列式と同じ大きさである。 |
スカラー3重積
1) 3つのベクトルのうち2つを選び外積(ベクトル)を求める。
2) それと残りのベクトルとの内積を求める
例えば, 3ベクトルa,b,cで「a×bというベクトル」と「ベクトルc」の内積の形をスカラー3重積という。
余因子展開とスカラー3重積
一つの例として 外積 a×b 最初のx成分をとりあげてみようか。
下記のように列ベクトルa、b、cを3列ならべて、3×3行列をつくったとき(添え字の1,2,3が各ベクトルx,y,z成分に対応します)
a1 |
b1 |
c1 |
---|---|---|
a2 |
b2 |
c2 |
a3 |
b3 |
c3 |
a×bのx成分 (a2b3-a3b2)は、上記3×3行列のc1の所属している行と列を取り除いた部分行列2×2行列の行列式
で、c1の余因子という。 y,z成分についてもc2,c3の余因子が言える。
ただ、m行n列目でm+n=奇数ならマイナスを付ける。 3行2列目なら 3+2=5なのでマイナス。
(a×b)・c = (a2b3-a3b2)c1+(a3b1-a1b3)c2+(a1b2-a2b1)c3
上記右辺のことを、3列目(すなわちベクトルCの成分)で3x3行列式を余因子展開したという。
余因子展開とは、ある行か列の成分に着目(3列目)し、これ以外の余因子成分(この場合2×2行列x3通り)の行列式を1次結合する。
「余因子成分でできたベクトル」と「ベクトルc」との内積 と言ってもいい。
これにより行列式の次数は3次から2次の行列式に下がった形に展開できるよ(一般化では次数が下がるよ)というやつで、大学の線形代数で出てくるものだ。
1列目ベクトルa、2列目ベクトルbで余因子展開しても同じ行列式になる
(b×c)・a 1列目aベクトル要素の余因子展開に相当
(c×a)・b 2列目bベクトル要素の余因子展開に相当
どの展開も括弧を外してみれば同じ
上の外積は、かならず、a→b→c→aの循環で行う。a,b,cがx,y,z系と同じ軸の関係であれば正である。
これが3つの列ベクトルでできた「スカラー3重積であり、3x3行列式」である。
スカラー3重積に[単位ベクトル]があると、1成分を除いて0だから余因子展開として楽である。
単位ベクトルy方向、z方向もあるから、単位ベクトルの列による余因子展開で上記のように3通り表現が作れる。
「行ベクトルで」やっても行列式の結果は同じである。
列目線、行目線どっちでもいいのだが、列ベクトルは一次変換で慣習的に使われるだけである。
3次元だと 行列式は、列ベクトルもしくは行ベクトルの以下のスカラー3重積
3次元レベルなら、直観的に下記の@ABの行列の簡素化のことがわかりやすい。
・@行や列を入れ替えることは、スカラー3重積の外積の順番が変わり、行列式は正負の符号が変わる。
これは、行や列を入れ替えて行列式を求めるときにはマイナスを付ける。
・A行や列で同じものが2つあると、スカラー3重積の同じベクトル同士の外積=0なので、行列式=0。
下記のB、行もしくは列の成分0に変形でき、余因子展開で行列式=0となってしまうこと。
・Bある行に、別行の何倍かを加減(列も同様)してもスカラー3重積がかわらないから、行列式を求めるとき使える。
これを基にして、以下のように、「行列式を求めるのに都合のよい行列に変形」する技が使える。
端っこの1行目1列目や3行目3列目とかは、余因子は素直に行と列を取り除いた2x2行列式でいい。それ以外だとマイナスが付くときがあるね。
それは、行や列をいれかえて端っこに持ってくと@のことが起こるので、予想できるだろう。行と列の和が偶数か奇数かで決まる。1行2列目だと1+2=3で奇数だから、マイナスが付く。
基本的な行列の表現作法、名称など
補足としては、
※ 転置行列をさらに転置行列するともとの行列に戻るだけである。
※ すでに述べたが、行列の積の結果を転置すると、それは転置した行列同志の掛け算になるが、掛ける順序は逆になる。
※ 対角行列は対称行列に所属する(OもEも対称行列&対角行列の一種である)。対角行列同志の演算は成分が対角しかなく計算がスカラーっぽくて楽である。
「行列の積」とは、「内積をたくさん求めている」だけ
このとき、行列ってのは、ベクトルを並べたものと考え,
3×3行列なら、3次元ベクトルを3行並べたと見るか、3列並べたかだ。
成分が横に並んでいるのだけがベクトルじゃない (a,b,c)のように表示する方が高校でよく見かけるやつだが、これは便宜上カンマで区切って横書き書物で1行に書きやすいからだ。
各要素を縦にならべた表記は列ベクトルといって一次変換ではよく使われる。要素を横に並べるベクトルのは行ベクトルという。
「行ベクトル」×「列ベクトル」の内積
3×3行列の積は、例えば、下記のように左の2行目の行ベクトル と 右の3列目の列ベクトルで内積をとると、結果は2行3列目の要素になるわけだ。結局、左の行列の3つの行ベクトルと右の3つの列ベクトルの内積で都合9通りの内積を求めているだけのことなんだな。
行のベクトル 列のベクトル 3行ベクトルx3列ベクトルで内積が9通り
x |
|
b1ex |
|
= |
||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
b2ey | ||||||||||
a1ex |
a2ey |
a3ez |
|
b3ez |
|
a・b |
|
お互いのベクトル次元(成分の数)が合わなければ内積の演算ができない
左の列数と右の行数が一致するとき成立
注意:行列の掛ける順序をかえたらベクトルの組み合わせが変わってしまうから、交換の法則は成り立たないだろう。
この各行列の「行と列の反転した」積の形は、掛ける順が逆だと辻褄が合う (Aの転置行列をtAと書く、行と列の反転したもの)
A x B = C ならば tBxtA=tC
行のベクトル 列のベクトル 3行ベクトルx3列ベクトルで内積が9通り
|
|
|
x |
|
|
a1ex |
= |
|
|
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
b1ex |
b2ey |
b3ez |
|
|
a2ey |
|
|
a・b |
||
|
|
|
|
|
a3ez |
|
|
|
逆行列も、内積の知識で予想できる。
2つの行ベクトルと2つの列ベクトルの4通りの内積のうち、2通りは0(すなわち)直交しているということになる。
そこから、不明な左の行列にある行ベクトルを推測できるだろう。
b×c | × | a | b | c |
---|---|---|---|---|
c×a | ||||
a×b |
Bの行ベクトルとAの列ベクトルの内積の組合せを求めると、やはり BA=|A|E
BA |
a |
b |
c |
---|---|---|---|
b×c |
|A| |
0 |
0 |
c×a |
0 |
|A| |
0 |
a×b |
0 |
0 |
|A| |
上のように、ベクトルで縦横に表をつくって、内積の組み合わせ9通りを見ればわかるが、
対角成分は
a・(b×c)=(c×a)・b=(a×b)・c =|A| スカラー3重積,ただし、外積の順番は重要でAの行列式になる
上式は、a,b,cのいずれも0ベクトルでなくても、いずれか2つのベクトルが平行だった場合、外積が0となり、結果 行列式は0となることを示している。
(独立した3つの軸となっていないということですね。)
それ以外の成分
例えば、b×cというベクトルは、外積の定義からベクトルbとベクトルcで作る面とは垂直なベクトルになるわけだから、ベクトルbやベクトルcと内積をとっても0である。
(b×c)・b=(b×c)・c=0 、同様にして、結果としてスカラー3重積以外は0になる。
※ |A|=0のときは逆行列は求まらない。このときBA=O−−−−いわゆる零因子である。
Aの逆行列とは、Aの列分割したベクトルa,b,c
で、表現できるのである。
一次変換における正規直行系かどうかはベクトルの内積の知識でわかる
デカルト座標のように大きさ1で互いに直交する座標軸をもつ、そういう軸となるベクトルで行列Aができていること。
これは、無数の座標でできたある図形を変換しても元の形を変えない(反転もしくは回転するだけ)の変換だということだ。
Aの転置行列が逆行列になることである。
AB=BAは一般に成立しない。相手行列と単位行列からできているとき。
交換の法則は一般的に成り立たない。AB=BA は特殊な場合だけ成立する
Aは、Bのスカラー倍でも単位行列のスカラー倍でもない場合
AB=BAが一般的に成り立つBは、AとEの一次結合であること これを地道に確認してみる
ついでに、地道な計算で|AB|=|A||B|も確かめてみたら
AもBもOでないときにAB=Oが成立することがある。
逆行列を探す過程で、行列の積でOとなりうるケースがあることをすでにやっている。
Aの行列式=0;Aの逆行列(積の逆元)がないときには、BA=O となるBがある。
スカラーでは、0でない数には必ず掛け算の逆元(逆数)が存在する.
行列では、「行列式」=0でない行列には掛け算の逆元(逆行列)が存在する。
・0でない数aは、(1をその数で割れるので)逆数1/aが存在する
・行列式が0でない行列は、逆行列が求まる。
・axb=0なら、必ず、a,bどちらかは0である。
・AB=Oなら、必ずしもA,Bどちらかが零行列とは言えない。必ずどちらかが行列式=0であるということは言える。
仮にAの行列式=0なら、Aに乗法の逆元は存在しない、Aに対して零行列でない零因子Bが存在する。
2x2行列については、先ほどの通り、さらに交換の法則もOK
上記は行列Aの固有方程式といい高次Aの式の次数を下げるときに使われる
後者のスカラー変数で置き換えた式は、固有値方程式で、行列Aの固有値を求めるものとなる。
行列の固有値を使った2次曲線の分類へ飛びます
複素数の固有値を持ち、複素数の実部・虚部が行列の成分に対応にするものがある。
これは、複素数が行列表現できる話と符号してくる。
複素数の行列表現、4元数の行列表現へのリンク
逆行列の話を、余因子を使って表す
以下、余因子に置き換えて、話をする。
行列式が「ある行か列のベクトル」を選んで、「その余因子3成分でできたベクトル」との内積とも言えること
下記の逆行列の求め方は、対称行列なので 転置しなくてもいい余因子なので、わかりやすい、例ですね。
行列式がどうかというと、対角成分が0で、サラスの定理(斜めにかけるやつの、逆斜めは0) すぐ 2abc と わかる。
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長くなったので、微分・積分の話はまた次回としよう。