特殊相対性理論で出てくるローレンツ変換の式
x,y,z,ct という4つの要素の関係はローレンツ変換であらわされる。
座標と時間(次元を合わせるため光速度が定数でついている)
px,py,pz,E/cという4つの要素の関係のローレンツ変換も同じである。
運動量の成分とエネルギー(次元を合わせるため光速度定数で除している)
この変換は、どの慣性系でも光速不変であるという原理から帰着されて出てくる変換式なのであるが、一次変換の行列の性質から見たらという点である。
以下では相対速度を持った2つの空間座標系を比べるとき、簡潔にするためにx、y、zの各座標軸の空間方向は揃えておくことにする。
ここで、速度方向は、x軸ということにして yやzの成分は考えなくてよい。
特殊な空間座標の成分はx軸だけと考えると2x2行列になって簡単である。
ローレンツ変換の式を2次の一次変換にして表現すると、一次変換の平面座標系のイメージがわかっていればわかりやすい。
βはv/cである。座標系の相対速さを光速で割った比である。すなわち、光速の何パーセントなのかという指標である。
行列式は1である。
よって、座標の桝目の大きさはかわらないことがわかる。ニュートン力学と違って、ローレンツ変換では速度vの光速度cとの関係が出てくる。
vは、cを2つの直交成分に分解した一方の成分だと見るのである。別の成分は、係数の分母の部分:根号(1−β^2)として出てきている。
ここでK系で静止している棒が相対速度方向を向いているとする。K系での観測では時間の経過とともに空間の座標がかわらないように見える。
J系から見れば棒は速度vで運動している。棒の先端と終端の同時性はなく、時間軸側に倒れているようである。
ところで速度の合成は大丈夫だろうか?
ニュートン力学的には、
Jに対して相対速度v1の系K1があり、さらにK1に対して相対速度v2の系K2
このとき JからみたK2の合成速度v=v1+v2
これでは、光速の90%の速度を2つ足したら180%となって光速の1.8倍になってしまう。
相対論的には
JとK1 ローレンツ変換 K1と系K2 ローレンツ変換
JからみたK2 では、ローレンツ変換を二回行うことになるから、一次変換してさらに一次変換、すなわち行列が2つあり積になる。
ローレンツ変換において結果は、v/c=β、v1/c=β1、v2/c=β2 のとき、単純に β=β1+β2 とはならない。
βは1を超えない(光速をvが超えない)であろうか?
もしも、ローレンツ変換の2つの行列の積で、それが1つの行列のローレンツ変換の形になっていれば、
おのずと合成された速度/cであるβがβ1とβ2でどのような関係になるかを見られるだろう。
例えば、
光速90%の速度を2つ合成したとしても、βは、(0.9+0.9)/(1+0.9x0.9)=1.8/1.81<1
光速99%の速度を2つ合成したとしても、βは、(0.99+0.99)/(1+0.99x0.99)=1.98/1.9801<1
光速を超えない
上ではかなり複雑に見えるが、
ローレンツ変換の行列積とは、実は回転行列積のように加法定理から出る。
三角関数と双曲線関数の類似性である。
これは例えば、
θ回転の行列とφ回転の行列を作用させるっていう回転の合成写像を求めると、三角関数の加法定理 で、θ+φ回転の行列1つと同じだってのがわかる。それと同じようなことである。
ローレンツ変換の行列もこれに大変似ていることがわかるのだが。
三角関数も双曲線関数の行列も、一次変換で座標系の面積が変わらない、すなわち行列式が1となるような要請でつくってみると、
おのずと回転の行列とローレンツ変換の行列ができてくるのである。
これは至極普通で、凝ったことをやってない。三角関数の成分の行列もあれば、双曲線関数の成分のもあるかな?って程度のアイデアでしかない。
β=|tanhΦ|<1 である必要があるが、
cosh2乗−sinh2乗は1 cosh2乗>sinh2乗なのだから sinhをcoshで割った値であるtanhの絶対値は、1より小さいのは明白である。
双曲線関数と三角関数の関係には虚数単位 i が介在する。
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以下は若干繰り返しになるが
特殊相対論の話であれば、実はローレンツ力の疑問について本当は語らなければならない。
ローレンツ力の説明:
電荷自身が動くとその周りに回転した磁界ができる。
一様な磁束に電荷が垂直に突っ込んだら、その磁束と電荷自身の磁束の密度が高い方から 低い方に移動するように力が働くと説明される。それがローレンツ力だと。速度に直角に力が加わるから回転運動になる。
電荷の目線だと静電場のクーロン力:
これは、電荷と一緒に移動している慣性系の人には、そういうことにはならない。電荷が止まっていて、一様な磁束が動いてくるのである。静電荷である。
磁束が動いていると、その移動方向と磁束とに直行した方向に電界ができると説明されるのである。その電場のベクトルの大きさが 磁束密度Bに対 して、vBという大きさだという。それはクーロン力だ。
電流が流れている導線同士の力 - ローレンツ力:
電流があるとその周りに回転した磁界ができると。その近くに別の電流があると、その電流の電子はその磁界からローレンツ力を受けるから、同じ方向に流れている導線同士が引き合うと説明される。電流である電子の平均速度で動いている観測者から見ると、正の電荷が反対に移動した、要は
電流の向きの定義の話になる。
電子しかない流れが2つ並行していたら、どうなのか?電子の速度にそって動いて観測している系なら、負電荷が存在しているだけで、斥力のクーロン力の働く静電場のようにしか見えない。
ここで、注意しないといけないのは、
所詮、電流が流れる導線の話は、導線全体は電荷が中性で電荷同士のクーロン力は、無視してよい話が大前提なのである。
要は電荷の流れがあるとなぜか引き合うというのだ。電子と一緒に観測者が動けば、逆に原子核の正電荷が流れているように見える。それは導線を前提にしているからだ。
そこでは、さらにローレンツ収縮で説明を持ってくる。速度をもてば、その方向の長さが収縮し電荷密度があがるというのである。
電子の静止観測系だと、他方の導線の正電荷の密度があがったようになり、導線の金属と外部にある電子とはクーロン力で引き合うというのだ。
空間方向での切断面・射影を見ると(1−β2)1/2 の長さ割合になる。
これは、1次変換のベクトルの傾きと直線の式をつかってみればJ系での空間の切片の長さがいくつになるかわかる。
短く見えることになる。ある座標系から一定速度を持ち運動している系を見ると斜交座標の棒の軌跡の空間の切片を見ることになる。
ある基準の直交している座標から見て相対速度が速い系になればなるほど斜交の傾きはきつくなり、直交系のx軸を横切る棒の軌跡の部分が短くなってくる。
しかし棒の端と端は同時性はないが、直交系ではその横切った部分が棒の空間方向の長さとして見られる。
運動している系の仮に棒の一方を原点に揃えたとき、棒のもう一方の端は、時間も違うし、空間座標も違うところにあるのである。
時間軸のctの方も同様である。
例えば、放射性同位元素の半減期が普遍な時間を持っているとか、ボールを同じ位置で真上にあげて戻ってくる時間にしても、どういう相対速度の慣性系かで時間が違って見えるだろう。
静止系で観測するある普遍な現象のかかる時間をT0としたら、もうひとつの双曲線のグラフ式である。以下は一般化のためyとzも入れた。
(cT0)2 =(ct)2−x2−y2−z2
この時間の微分(差分デルタ)をとったりすると、時間が延びるという話も出てくる。
(cdT0)2 =(cdt)2−dx2−dy2−dz2
(cdT0)2 =(cdt)2{1−c-2 [(dx/dt)2+(dy/dt)2+(dz/dt)2]}
x2+y2+z2=L2 のようにx,y,z座標の3次元では足し算「このLという棒の長さはどんな向きになろうが結果は空間座標3成分の二乗の和なのである」であるが、
特殊相対論的長さは、時間軸の要素だけ負である。
ローレンツ変換は、
運動量p(px,py,pz)とエネルギーEの関係にも当てはまる。そのときも物質のある普遍量に対する式が出てくる。
普遍量に相当するのは静止質量である。p2=px2+py2+pz2 として
(E/c)2−p2=(m0c)2 もしくは E2−(pc)2=(m0c2)2
静止している系で観測したときは、運動量=0なので、静止エネルギーである。
X2−(cT)2=L2
(E/c)2−p2=(m0c)2
双方の式は、x,ctの座標 p,E/c座標 で見ると
双曲線の式である。
先に速度の合成でやったように、
行列の列ベクトルが一次変換における新座標のあたらしい軸である。
(coshθ、sinhθ)と(sinhθ、coshθ)なのだから、
θがいろいろ変化しても直角双曲線上の終点の位置ベクトルとなるので当たり前ではあるのだが。
相対速度をいろいろかえていろんな座標系で、軸がどのような軌跡になるか見ればわかる。
- 斜交座標をいろいろ作るということは、いろんな相対速さの系ということなのだが、双曲線がどの部分かわかるだろう。
この2つの4次元座標 (x,y,z,ct)と(px,py,pz,E/C)について、不確定性理論においては、双方の4次元要素にまたがって成分の関連を言っている。
x,y,z座標と運動量px、py、pzの組合せ、時間とエネルギーの組合せが不確定性の組合せである。例えば 凅・冪x はある一定以上の値となり、不確定性を持つ
(1)質量のあるものの場合
p=mvとするとmは静止質量ではない。また、E/c=mcである。
mcの大きさが、三平方の定理の式になるものがあるが、
それは双曲線の式で移項した形で (mc)2=(m0c)2+(mv)2
ある種の「仮想的な全運動量mc」が、運動量mvとこれに直交する成分の運動量m0cの 和(ベクトル和)で考えられる?
「質量mの物質の運動量」とそれに直交する「静止質量×光速」の仮想的な運動量を合成すると「質量m×光速」の運度量のように見える。
P=(px,py,pz,m0c)という4次元運動量があるとすると、mcという大きさで... E=Pcとなる。
これは、エネルギーの値の大きさがこのような仮想の運動量で決まるということである。定数のcがかかっているかどうかだけである。
(2)静止している物質 v=0で運動量はp=mv=0
常に3次元に見えない方向に常に一定のm0cという運動量(常に保存されている)を持っているということになる。
運動量を持つとその直交成分mvが加わっていく分増えていくだけである。
エネルギーは4次元的に観た運動量の大きさであろうか。質量mと速度cであるというような運動量である。
cが定数なので、結局全エネルギーはmのことである。cは一定なので変化するのはmである。
3次元で見えているのが通常の運動量mvということであろうか。しかしながらどんな物質も3次元で見えていない成分も含めてみな最大速度cがあるということだ。4次元速度cの3次元に射影された成分がvであり、mcの射影が運動量mvであろうか。(3)光子のときは逆に静止質量が0で、
E=pc
双曲線が漸近線の2直線 (E-pc)(E+pc)=0 になったと考えてもよい。
静止エネルギーはなく運動量の大きさがエネルギーそのもの決める。
光子は、観測者と同じ系で逆に静止していることができず、速度を常に持つか吸収されて消えるかしかない。
運動量(ベクトルなので運動量の大きさ:絶対値というべきか)に定数cをかけたものがエネルギーという式だが、
(1)(2)も仮想的な全運動量mc,m0cがあるとすると、
これに定数cをかけたのがエネルギーという同じような説明のしかたにもなりうる。
しかしながら、
運動量はベクトル量であるが,とりあえずは、エネルギーはあくまでスカラーと考えないといけないだろう。
電子と陽電子による対消滅などは質量がなくなるので
仮想方向の運動量m0cの成分が打ち消し合うような仮想的なベクトル成分があるというふうに考えるべきなのかもしれない。
それぞれが持っていたエネルギーはベクトルの大きさとしてエネルギー保存(絶対量はかわらない)され、静止質量方向のベクトル成分が消えるが
エネルギーの絶対量は2粒子分の光子のエネルギーに変わる。
このとき静止質量×光速という方向成分はなくなって、光の運動量のみである。
光速cを斜辺としてもう一辺をvとした直角三角形と、質量mを斜辺としてもう一辺を静止質量m0とした直角三角形が相似形になるが、辺の対応関係はvとm0ではない。
また、速さの場合はcが固定であるが、質量の場合はm0が固定である。
空間方向とは直交している仮想的な運動量m0cの成分が打ち消し合うような反対の成分とは、いろいろな示唆があるようである。
ファイマンの議論をすすめていくとゲージ理論になる。
空間をx軸、時間をy軸のイメージで電子の軌跡を見るとそれは電子の世界線という
空間に静止していれば空間座標が時間経過でかわらないので垂直な線である。
傾きが小さいのは、時間の経過に対して空間方向への移動が速いので速度の速い・運動量やエネルギーが大きい電子である。
下の絵のイメージは世界線が曲がるところで光子の放出・吸収で説明がされる例である。
・速度が落ちるような場合は、磁場の中に放り込んだら急制動をかけられ電磁波を放出することがある。
・光を吸収して速度を増す場合などもある。
・一旦、光を放出してほぼ停止状態になり、すぐに光を別のところから吸収して反対方向へ動きだす。
・2つの電子が近づいて互いに光を放出し、互いの光を受け取って逆方向へ動き出す。
すなわち、これは衝突して跳ね返るイメージである。電磁相互作用が光子の交換で説明される所以である。
注意:この説明では正負の電荷に働く引力の説明にはならない。
世界線が過去を向いた奇妙な電子があるとすると、そこの曲がったところでも光子の放出か吸収がある。
それは時間の経過とともに見ると
ある時点で電子と陽電子が現れ、別の時刻には電子と陽電子の対消滅が起きているという図柄になる。時間に逆行した電子の世界線が陽電子なのであろうか?
電子の世界線がたまにこのように歪むのであれば、陽電子は普段めったにお目にかかれないし、対消滅して寿命も短いだろう。
ひとつの電子の世界線として見れば、
最初の曲がり角で、その電子の全エネルギー以上(2倍以上の)エネルギーを放出するから、電子のエネルギーは負である。
次の曲がり角では、逆に二倍以上のエネルギーを吸収している。
時間に逆行した世界線の部分は負の電子のエネルギーということになる。
この時間に逆行しているということとエネルギーの負であるということの関係とはどう説明されるのか。
そして陽電子は電荷としても陽なので逆であり、反物質とは何なのか。
奇しくも、不確定性理論ではエネルギーと時間との不確定性が対になる。反物質と物質の対象性は、通常は圧倒的に反物質が現れない。
それは時間に対してもそうであろうか、ある素粒子の反応のときだけしか時間の逆行とは現れないという代物なのであろうか。
ファイマンの言う
「時間に逆行した世界線の電子が陽電子である」これだと、陽電子は負のエネルギーの電子のようである。
ディラックの言う
「負の質量エネルギーを持つ電子が真空中に充満していて、真空から励起して電子ができるなら、電子の2個分の質量エネルギーの吸収が必要である、もとの負のエネルギー電子のあった場所が正孔となり陽電子のようになる」
という議論である。
逆方向とは時間方向が逆なのか?質量(エネルギー)が正負が逆になっているのであろうか?CPT対称の話を読んだらおもしろいだろう。
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