「回転の行列」を使って邪魔なxy項を消せ(別バージョン)
以下の議論で、
b=0のとき.........xy項がなく平行移動で標準形になるのがバレている。
a=cのとき.........対称式(対称軸が±45度の回転)の平行移動された式と考えられる。
上記のような特殊な場合は、苦労はしない。
もし、ac-b2=0 でなければ、点対称の曲線なので、平行移動を先にする。
ここでは、前に出てきた
以下の列ベクトルと行ベクトルで、表現の仕方が両方があるよね ってのを使う。 一次変換
先の平行移動のBの形とかでも使った変形だ 回転で2次曲線を分類
回転された座標系でXY項がなくなることを目指したいわけであるから
もしくは、三角関数の合成に変形して条件指定してもよい
いずれにしろXY項=0となる条件(そのような座標回転角度のとき)では
a≠c 、 α=2θのとき tan 2θ=2b/(a-c) となる。同じ結果である。
三角関数の循環性から、2θ=α±πといったものもあり θ=α/2 , α/2±π/2
2次曲線がx軸に対称でかつY軸にも対称性だという形を見れば、もちろん±90度の回転もありということである。
最終的に上のX,Yの式は、平行移動で標準形になる。すなわち、適当な回転があれば標準形にできることがわかる。
この座標変換、面倒なXY項を0にするのは、「行列の固有値、それによる行列の対角化」をやっている。
前に出てきた固有値方程式が出てくる。そして固有値の式を成立させる固有ベクトル、
そのベクトルでつくる行列は回転の行列になっていくということも
なお、行列Aは対称行列であるという特殊性があるので、一般的な固有値問題とは若干違うことにも注意。
固有ベクトルは「一次変換しても変わらない --- 特別な方向がある」という「方向のこと」であり、大きさは任意に選べる。
そして、A-λEの行列式がなぜ0でないといけないのか?
すくなくとも、一次変換A-λEで原点0以外の点が0になってしまうということは次元が縮退するのだから、その行列式は0であることが必須である。行列の積の定義からして、2つの行ベクトルともに固有ベクトルと内積=0、直交していることである。
それは、2つの行ベクトル(a-λ,b)と(b,c-λ)が平行(もしくは反対方向)スカラー倍ということだ。a-λ:b=b:c-λ , (a-λ)x(c-λ)=b2 これは|A-λE|=0の意味である
2次元の或る固有ベクトル方向だけが、次元が縮退して直線上に移るが、どうしても原点に移るということだろう。
固有値方程式の解をを持つなら(A-λ1E)(A-λ2E)=O
上記の因数分解された式が成り立つが,固有値の定義からすると一方の行列(A-λ1E)からみると(A-λ2E)は対応する固有ベクトルが列ベクトルとして並んでいる行列と言える。それは逆の固有値からも同じ、実は固有ベクトルがなんであるかを示す式だったのだ。
実際は、λは固有値2次方程式で重根でないかぎりは、2通りあるから、複数の固有ベクトル方向がある。だだし実数解でないと図形的なイメージは違う。たとえば回転の行列なら、全体が回転してしまうので、方向がかわらないベクトル方向など存在するとは思えない。実際には、解は回転を表す複素数cosθ+i・sinθになるのだ。複素数を表現する行列の固有値は共役複素数が固有値となる。
違う固有ベクトルが列に並んでいるのがPであるとした場合はどうなるか見てみる。
P(2つの異なる固有ベクトルでできた行列)が直行系であることは、
「対角行列における積の交換法則の性質」からでもわかる。ベクトルと行列
なお、曲線の分類で「Aが対称行列」であるという条件は、転置行列でも変わらないなど重要な性質がある。
2つの固有値が一致してしまうケースは考えなくてもよい。それはQが単位行列のスカラー倍になり、AP=PQだとAも単位行列のスカラー倍という予想がたつが、実際に固有方程式の 判別式=(a-c)2+(2b)2=0からも明らかにa=c,b=0であり、行列Aが対角化されていて,既に2次曲線の標準形を表しているからである。
2次曲線の形を問うので、 固有列ベクトル2つは、一次変換で座標軸の長さを変えないものだ。
前の別ページ記載をそのまま引用、まず長さをそろえた「2つの直交する」固有ベクトルでできた行列はどんな形なのか
これは、回転の行列と複素数の行列が親戚だということを意味し、複素数の掛け算は、絶対値によるスカラー倍だけでなく偏角の回転をする効果があることと一致している。
大きさ1の固有ベクトルを選ぶ、そして互いに直交している...回転行列の形でいいわけである。
行列Aの固有値を求めれば
λ1 X2 + λ2 Y2+1次項+定数=0
xy項のない形になる。こんなふうに見ると、あの力ずくが、大学で習う線形代数の話と関連あると実感しやすいのではないだろうか?
判別式(万能ではありませんが) 例えば λ1λ2=ac-b2<0 ならば、xとyの2次の係数が異符号であるから双曲線であろうという予想ができる。
よくよく見ると、
λ1λ2 =Aの行列式 ac-b2=|A| だ
2つの解λ1λ2が異符号か同符号か、一方が0かのいずれかによって 基本の型がわかる。
|A|>0 なら楕円型 有心型曲線で、先に平行移動してから回転させる手がある
|A|<0 なら双曲線型 有心型曲線で、先に平行移動してから回転させる手がある
|A|=0 なら放物線型 λ1とλ2のいずれか0、 λ1 X2 +γX+δY=定数、 λ2 Y2+ηX+ζY=定数 このとき平行移動は先にできません。
ただし、
係数や定数の特殊なケースがあるので、「2直線」、「虚の楕円」、「1点」 になってしまう場合もあり、ご注意を。
|A|=0のとき(放物線型)は、平行移動の変形 x、yの一次の項を消す操作はできないが、≠0であれば、先に平行移動してから回転でもいい。
もちろん、a=cのときは、θは±45度である。
ベクトルや行列の表現は、以下のようになる。
(ただし、Aの行列式が0のときは(放物線型)なので平行移動はやらない。
余談ですが、<q|p>は内積でブラケットという。<q| を ブラ(ベクトル) |p>を ケット(ベクトル)という。
量子力学は複素数まで拡張して使い、ベクトルは転置するときは同時に共役複素数にするという一般化になる。
(そう、同じベクトル同士の内積は大きさの2乗となることは実数ベクトルと同じで、虚数成分がたまたま0で実成分しかないケースは共役複素数同志が一致、特殊なケースとみなすわけである)
放物線型の特殊ケースとは、2次の項では、平方完成ができるってことで
ac-b2=0なら、実は ax2+2bxy+cy2=0をxの2次方程式とみたときの判別式=y2(b2-ac)=0だから,完全平方形にもっていけそう。それと、複素数の行列表現と回転の行列はスカラー倍の違い。その知識からピンとくる場合もあるだろう。
係数x2でない公式
もともと xy項、x項、y項は 2b,2d,2eとしているから、実際の係数の半分を当てはめる
2次曲線の判別は
まるで2次方程式の判別式みたいじゃん。
b'2-4ac>0 双曲線 ただし 「2直線」 (αx)2−(βy)2=0 の特殊ケースは除いて
b'2-4ac<0 楕円 ただし 「虚の楕円」 (αx)2+(βy)2=−1、「1点」(αx)2+(βy)2=0 などの特殊ケースは除いて
b'2-4ac=0 放物線 ただし 「(X+μ)2 =定数、 (Y+ρ)2=定数」 という形になったとき、特殊ケースである。
なお、 「定数<0 満たす実数が存在しない、 定数=0 共通する直線、 定数>0 平行する2直線 」
大学の線形代数では、もう一つ次元の多い行列表現を使って、分類がまとめられていると思う。
有心2次曲線タイプはAのランクが2(行列式が0にならないので次元が縮退しない)、無心2次曲線(放物線型)はランクが1
A~の方は、基本3次元の写像の行列だから、行列式が0でなければランク3だが、行列式=0の場合、縮退次元が2次元と1次元があり、平行する直線と、一致する2直線で、実はランクが異なる そんな説明が線形代数の教科書でなされているものと思う。
先に出てきた双曲線の例から 固有値を使ってみるかと xy-a=0
対称式で45度回転だとわかるが、平行移動不要の形で λ2−(1/2)2=0 固有値が±1/2だから
1/2・X2−1/2・Y2 = a という形であるのがすぐ出る
x2-xy-x+y+1=x(x-y)-(x-y)+1=(x-1)(x-y)+1=0
平行移動のα、βを求めると q=(-1/2,1/2)と下記Aの逆行列から −1、−1になり x ← x-1、y ← y-1 もしくは x → x+1 、y → y+1 という置換で平行移動
そのとき <q|A-1|q>=0 となり 定数項もかわらない、
X2-XY+1=0
以下のように、 あくまで回転による曲線の分類( X2-XY の部分から XY項をなくすこと)に重きをおいてやってみると
放物線になるときは、固有値の片方が0となって、x二乗かy二乗が消える。
λ1λ2=ac-b2=0 となっているから、おそらくはと
面倒くさい一次の項のcos,sinの計算について放物線のケースにおいては実は
cos2θ={a/(a+c)}=32/50=16/25 sin2θ={c/(a+c)=18/50=9/25 とやって
係数bが正なので cosθもsinθも正とおけるから 4/5と3/5となる。
もうひとつ,楕円になる例をあげてみよう。
面倒くさい一次の項のcos,sinの計算について
これは先に平行移動しておくと、ただちに一次の項を消せる。<q|A-1|q>=125 <q|A-1|q>−f=125-25=100、
よって固有値から 100X2+25Y2=100 , 全体を100で割るだけである X2+Y2/4 =1
簡単な行列Aの固有値は、たとえばどんなものだろう。
以下のような特殊な一次変換には、固有値の話はどうでもいいことなのかもしれない。何も変わらないとか角度がかわるだけとか。
もともとの定義を見れば
固有ベクトルがあるなら、ある種の一次変換Aをして斜交座標系に移しても変わらない特別な座標方向があるということである。
そのような一次変換Aの行列がある場合、その行列Aの特質を示すものである。
しかし回転の一次変換では、そのような方向は見つからないだろう。すべて回ってしまうから。
固有ベクトル2つの列でできたPという行列は、その特殊方向を座標系の2軸とする斜交座標へ移すための一次変換の行列としてイメージできるだろう。
固有値と固有ベクトルが求まるとき、なにか便利なことはあるか。それはAを対角化できて、その対角行列の積が簡単であることによる。
累乗の計算は特に簡単なのである。