聴いた、観た、買った ---淡々と音喰らう日々。

1999.05.01-15

>05.16-31
<04.01-30
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★は借りた新着、☆は新規購入。


5/4 『Classic Disney Vol. 1』
要はディズニー60年のサントラ抜粋盤。姉からディズニーワールド土産に貰った(とはいえ日本でもまず手に入りそうだが)。実は、義弟の結婚式の出し物で1曲弾くことになったのである。で、『美女と野獣』のテーマをおさらいしようかと掛けてみたのだが、「ホール・ニュー・ワールド」(『アラジン』挿入歌)の方が曲想がめでたくて好適であることを発見。弾いたことまるでないがイメージトレーニング開始。そのうち歌詞も一応確認すべしということで夫婦で聞き取りコンペに突入。英語のヒアリング力なまってるなー。いやそれはいいんだが、実にこの歌詞が素晴らしい。華麗に盛り上がる曲想といちいちピッタリとマッチした、きらびやかな語彙の連なりは見事。このティム・ライス(作詞)=アラン・メンケン(作曲)というコンビは結局『アラジン』だけだったみたいだが、近年のソングライティングチームとしては恐らく最強の一つだったろうと思う。
...なのだが、この歌が映画の中で使われるシチュエイションというのが、華やかな歌詞に比べてショボいらしいんだな(私は観てないので、家人からの情報に基づく)。要はお姫様がお城の外に出て色々あるんだけど、スペクタクルなだけで人間ドラマなんかはあまりないらしい。それで「全く新しい世界が...」って言われてもねえ。うーん、本当に結婚式ソング扱いしちゃっていいのかしらん。

5/6 パット・メセニー・グループ『ザ・ロード・トゥ・ユー』
しまった。働くためには「麻薬」が要るのであった。いや、もっと正確に言うなら「向精神薬」か。連休明けにこの選曲はちょっとマズかった。リラックスできていいかと思ったんだけど、それを通り越して内省的にさせてしまう音楽。いやあ、だから好きなんだけど。

5/7 宮沢和史『アフロシック』
それに引き替え、これは結構ハイになれるのだった。キッチリと都会の狂騒に寄り添っているブラジル録音、てのは何か好もしい。

5/10 ケイト・ブッシュ『レッド・シューズ』
スガシカオ『クローバー』
マイルズ・デイヴィス『キリマンジャロの娘』
(1968)
深夜、久々に手に取る。買ってすぐは良さがよく解らなかった。今だって解っているとは言いにくいけれど、インタープレイの楽しみを以前よりは覚えたとは思う。しかし、ハービー・ハンコックのソロってハズレがないよなあ、やっぱこの人が世界一か。

5/11 パット・メセニー・グループ『ウィ・リヴ・ヒア』(1995)
なまぬるいドラムループである。が、メセニー=メイズ的美学の一つのあり方ではある。サウダージでアーバンコンテンポラリーなインタープレイ。ってとやっぱチャラいか。このアルバムの次の『イマジナリー・デイ』もそうだけど、エンディングの曲で夜が明けゆくようなコード展開+クレッシェンドかますのが好きだなあ彼らは。自分的には結構それを元気の素にさせてもらっているんだけど。

5/12 スガシカオ『ファミリー』
矢野顕子『LOVE IS HERE』

深刻すぎて(だから良いのではあるが)、なかなか聴こうという気になれない1993年の名盤。とりあえずT-1 "Children In The Summer" の、夏休みの輝きがせつなくてキャッチー。

5/13 ディック・リー『マッド・チャイナマン』
矢野顕子『ウェルカム・バック』(1989)
坂本龍一系の打ち込みアレンジが今一つマンネリ化する一方で、チャーリー・ヘイデンらジャズメンとの共演も今一つ乗り切っていない、そういう意味では未消化なアルバムではある。この後、『LOVE LIFE』(1991) でパット・メセニーとのコラボが美しく深化するキッカケではあるのだが。

5/14 スティーヴ・ライヒ『ディファレント・トレインズ』他(1989)
クロノス・カルテットというのは、演奏自体がいいんだかどうだかよく判らないグループだが、この作品については適性ありと言えるか。列車の走行音を彷彿とさせる無機的な、軋みを伴った音型を冷徹に弾き切る。『ディファレント・トレインズ』は、第2次大戦下のドイツを経験したユダヤ人へのインタビューから、幾つかのフレーズを抜粋し、それを半音階上の音程に置き換えたものを弦セクションの素材に用い、元のインタビュー録音と絡めて鳴らすという、その後のライヒのドキュメンタリー・ミュージック的手法の先駆けをなすものだ。だが、その手法の有効性とか、無理やり半音階上のどれかに置き換えることの限界とか、そういう議論とは別のところで面白い音楽であることは言えると思う。単にドキュメンタリーであることを超えて、その疾走感や、スピードが切り替わるスリルが、素材として用いられている、意味を成すにはあまりに短い断片的なセリフにさえアクチュアリティを吹き込んでいるように思えるのだ。
こういうのを出勤時に聴いたのは、単に「トレイン/電車」というお気楽な連想からだったが、そんな訳だから重いの重くないの。これに続いて収録されている『エレクトリック・カウンターポイント』(パット・メセニーによる一人多重録音)も、ライヒの作品というよりはメセニーのソロフレーズのサンプルをループしているかのような妙な浮遊感があり、朝っぱらから頭ん中ぐらぐら状態に。勤め人の皆さん、行きがけの選曲には気をつけませう。

で、帰りがけは『ベスト・オヴ・ジルベルト・ジル』でブラジル風にファンクする。

5/15 実家でピアノ練習「ホール・ニュー・ワールド」。いやいや上手く行かん。などという悪戦苦闘の経緯はこちらに



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