アカペラコーラス: 夢と野望のリベンジ (1) 歳末篇 (2001.12.16)


(第1部、別名「試練のバークリースクエア」はこちら(1, 2, 3, 4)。ですが今回は直接の関連が薄いのであらすじは省略。)

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アカペラと言えばクリスマス。安易な発想である。信仰心と縁もゆかりもないくせにこういう発想はいかんと思う。しかししかし。クリスマスソングに美しいモノが多いのも確かな話。折角アカペラ道楽を始めたのだから、季節ネタを是非、との考えで一致した私たち4人は、色々とネタ出しをした結果、Singers Unlimitedの'Caroling, Caroling'、それからMel Tormeらの筆になる有名な'The Christmas Song'に取り組むことに決定。前者はMさんが、後者は私が採譜を担当することにした。

で、この曲を、お手本なしで4声アカペラの譜に落とそうという無謀をやったのである。もちろん、もっと短い、シンプルな曲を選べればその方が良かったのだが、やはり曲の持つ雰囲気や、和声付けの面白さからすると、これしかない。研修明けの一週間はやたら忙しかったので、アイディアだけ暖めつつ実作業は土曜日(12/8)にまとめて、という羽目に。

しかししかし。これが予想以上に手間取った。何が、といって、和声そのものはさて置き、構成が無伴奏コーラス向きではないのだ。というのも、

  1. メロディがよく途切れる。それも3拍から4拍。
  2. メロディが途切れている間にコードチェンジが入る。それも時として2回も。

すると、メロディが3拍とか4拍伸ばしっぱなしの間に、他の3声が音程を変えて行く、といった加工を施すことになるのだが、これがまた。一つの音節を歌いながら音程だけ変えていくというのは、ハミングや"woo..."だったらいいのだが、歌詞のコトバを歌いながらだと、結構耳障りになるケースも多い。上手く処理できても、同じテを曲中3度も4度も使うとくどい感じもする。今回のアレンジでは結局このあたりの解決が時間切れで間に合わず、いまだ悩んでる次第。

ともかく、未完成ながらこのアレンジで練習に臨んだのだが、不安はやはり「お手本がない」こと。いかに難曲の「ナイチンゲール」でも、お手本版の完コピだったので、それを聴きながら練習とか、聴いてイメージを掴むといった強化方法があったが、今回はそれがない。キーボードで和声の流れをサンプル的に何度か弾いてみせ、それからは専ら楽譜を頼りに合わせてみる。

だがしかし。これが思ったよりもキレイに合うのだ。何しろこの日(12/9)一日の練習、実質2時間強程度で、アレンジに問題があるエンディングを除いて通せてしまったのだから驚く。これも「ナイチンゲール」で鍛えたおかげだろうか。これはおそらく、いくら凝ってアレンジしたつもりでも「ナイチンゲール」に比べれば難易度的には3クラスくらい下、ということに違いない。アレンジにも歌にもまだ数段の修行が要りそうな気配である。

(end of memorandum)



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ただおん

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