その4 1999.10 東京は秋なのに西表はまだ夏

【西田川のすばらしい滝】


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西田川の滝へ行ってきました。ピナイサーラへと向かう干潟と同じ所からスタート。干潮の時間であったため文字通り「干潟」なのであった。カヌーを漕ぎ出す前にまずは干潟の生物観察。マングローブと呼ばれているオヒルギ・メヒルギ・ヤエヤマヒルギ、そしてアダンの木。あちこちにいるカニのシオマネキ、兵隊ガニと呼ばれているミナミコメツキガニ、日本最大のウミニナの一種であるキバウミニナなどなどを丹念に観察してまわる。「そうなんだあ~」と新しいことをたくさん知ることができる、これだけでも十分たのしいひととき。

「さて、そろそろ行きましょうか」ということでカヌーの準備を開始する。まだまだ生物観察していたい気持ちでいっぱいだが、目指すは西田川の上流にある滝。よーし、漕ぐぞーと思いきや・・・干上がったままではカヌーは進めない。しかたなく延々とカヌーを引く。これがなかなかたいへん。少し水があるところに着きカヌーに乗り込むと、すぐに浅瀬で座礁。降りてカヌーを引っぱりながら歩く。そしてまた乗り込み、座礁し、引いて歩く。これを数回繰り返し、ようやく西田川の入り口に到着。いよいよ出発!カヌーを漕ぎ出すのだ。

ゆっくりとカヌーは上流へ。途中の川面でしばし休憩。すると背中の青紫色がまぶしいほど美しいカワセミがカヌーの真横を1回、そして引き返して2回と通り過ぎる。西表島にカワセミはたくさんいるそうだが餌が豊富にあるため、森の奥に姿を隠してしまうらしい。初めて見ることができて大満足。 さらにカヌーを進めると、カヌーで進めるのはここまでという終点にある岩場にアオサギがお出迎え。ここから上流は岩場であるためカヌーを係留する。ここからは徒歩で滝まで向かう。道はまあまあ険しい(ピナイサーラの下流へとつづく道よりも少しだけ険しいくらいかも)。
10~20分ほど歩く。ジャングルだぞーと思うような風景が左右にひろがり、ワクワクしながら歩いていく。途中、何カ所かぬかるんで滑りやすいところがあるので注意しながら前進。ジャングル感たっぷりのシダ科の植物シマオオタニワタリの葉がたれさがっている。サトイモの仲間のクワズイモの大きな葉っぱがあったりして歩いていて飽きない。その葉の下に人間が入って傘にできそうなくらい大きなものもあってびっくり。


道のすぐ右下に川が流れているので、ピナイサーラのように突然 滝の音が聞こえてくるといったことはなかった。木々のすきまから滝が見えて「あっ! 着いたんだ」といったかんじだった。

滝は小さいようでいて、本当のところなかなか大きい。滝の下に人が入れるくらいの大きさ。ここでお弁当の時間。滝の音を聞きながら食べるお弁当と冷たい飲み物は格別! 鳥の鳴き声があちこちから聞こえてくる。川辺には背中に黄色い模様の入ったキセキレイという鳥が尻尾を振り振り歩いている。空にはトンボがたくさん飛び回っている。 滝の上にも行くことができる。滝上の岩場は水の力で小石が作った丸い穴がたくさんあいている。カンピレーの滝にも同じ様な穴がたくさんあった。この穴をしずかにのぞくとエビがたくさん住んでいるのがわかる。

ごはんも食べたし、岩場でのんびり横になってみる。水の音、鳥の声、すごくゆったりとできる時間。ああ気持ちいいなあ~。


そろそろ帰る時間です。帰りも同じ道を行くのであった。
行きの時は引き潮だったのでカヌーを留めておいたところもだいぶ水かさが増えている。慎重に乗りこみ出発。行きと同じくとても静かで穏やかな西田川。干潟も潮がたっぷり満ちている。向かい風の影響もあってカヌーがなかなか進まず、岸までの道のりが遠かったー。

足はずぶぬれになるのでダイバーならばマリンブーツがおすすめ。ぬかるみにずっぽり足がはまったりもします。マリンブーツがなければ、泥だらけになってもいい靴でもいいと思います。 まわりの風景をじっくり観察したり、たくさんの生き物に接することができるカヌーツアーでした。すごく楽しい時間でした。

【キバウミニナ】


干潟の陸に近いところにいるキバウミニナ。
マングローブと呼ばれているヒルギの落ち葉を食べているそうです。腐りかけた葉を食べてくれる掃除屋さん。キバウミニナが食べることによって落ち葉を栄養たっぷりの土にかえしてくれて、それらを更にカニたちが濾してくれています。

上の写真はよく見かけるキバウミニナの姿。人間が近寄ると固い殻の中に隠れてしまいます。キバウミニナの上側にある小さく丸まったタブレット状のものはキバウミニナのフン。


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(キバウミニナの歩行シーン 約700KB)

このデータをご覧になるにはQuickTimeが必要です。
このデータは、ブラウザ上で表示させる方法ではなく、データをお持ちのコンピューターにコピーした後に再生してご覧ください。

潮が引いた干潟にはキバウミニナがたくさんいます(落ちています?)が、巨大な人間が近づいたためにどれも殻のなかに隠れてじっとしています。巻き貝類のウミニナ科に属する日本最大ウミニナ。貝殻の先端がやや尖っているのでキバをもつウミニナということでこの名が付いているそうです。

生きているのかな?中身は別の生き物に食べられてしまって殻だけなんじゃないのかなあ?などと思ってしまいます。しかし、しばらくじーっと待っているとゆっくりと歩き出すのです。驚かせないようにこちらがじっとしていればキバウミニナの歩く姿は簡単に見ることができるのです。


かわいそうとは思いながらもひっくり返してみました。やはり貝殻だけではなく、しっかり生きていました。ゆでて食べると結構おいしいそうです。大きいし食べ応えもありそう。とはいえカタツムリなどが苦手な人にとっては、ただもう恐ろしいの一言なんでしょう

腐りかけたヒルギの葉っぱにたくさん集まっています。このすぐ近くにも葉っぱはたくさん落ちているのですが、やはり食べ頃でおいしい葉というのがあるのでしょうか?

キバウミニナの上に乗りながら食事をしているものもあり、人気の葉っぱは競争が激しいようです。別の個体が歩いているのを見ましたが、葉っぱまで一直線に進んでいました。それもかなり速いスピードで。速いと言ってもカニほどではありませんが、カタツムリなどよりも速く移動していました。あんなに速く動くなんて少し驚いてしまいました。

【ベタ凪でプールみたい】


初日のダイビングは快晴そして無風。

西表でダイビングをして以来、はじめて経験する無風状態。
もう、とにかく風がない。ということなので波もない。いつものようにボートで鳩間島方面へと向かうのだが海がまるで波立っていない。ポイントに到着しアンカーをおろす。海に波が立っていないと、まるででかいプールみたいだ。なんだかそこが海ではないような。とても不思議な気分。

無風が気持ちいいかっていうと、うーむ、やはり海っていうのは波がないとこう今ひとつ何かねえ。何かもの足りない気分。
しかし、潜ってしまえばいつもと同じ。船が揺れなかった分、初日のダイビングとしては良かったのかもしれない。

次のダイビングは2日後に出かけた。
初日とはうってかわって曇天。遠く南海上に発生した台風の影響も少しあって雲が多い。風も強くて寒いのだ。ブルブルきちゃうくらいに寒い。ここでの2本目はとっておきの「磯六ポイント」。
が、しかし・・磯六ポイントで悪夢ふたたび。
プレコページのダイビングスポット紹介にもあるように、お腹にハプニングが発生した磯六ポイント。今回もまたまた来ました。しかもとっておきの最終日だもんね。 さあ、行こう。潜るぞやっほー!

うっ・・・お腹の調子がなんだか変だ・・・。
でも、ここで・・・・するのは嫌だしなあ。 ということで、お腹の痛さをこらえたままエントリー。 どうやらおさまったようだ。よかったー。 そして海中散歩。たっぷりとエアーを残した状態で磯六のメインの根に戻ってきた。残圧は100近い。しばらくのんびりここにいられるぞおー。と思ったのもつかの間。急転直下。ゴロゴロゴロ・・・・お腹付近から妙な音が!
やばい、このままでは。ウエットスーツを着ているのだから、このままプリッとはいけないし、だからってドライスーツならばいいってことじゃなくて・・。
わー 助けてください。お腹がユルユルだぞー。
あわてて浮上しますサインを出す。
しかし、石田さんはこっちこっちと手招き。
行ってみると珍しい魚。
うん了解。それよりも緊急事態が発生中・・・・。
その時に、どんな魚を見たのか覚えていないほど事態は切迫していたのであった。ともあれ、急浮上にならないようにゆっくりと浮上。
そしてボートへ。
いつのまにか天候も悪くなっていて黒雲が空を覆い、そして強めの風が吹いていた。もちろん太陽は出ていない。さむいさむい。ブルブルと震えながらも気持ちはあせるばかり。遠く彼方では雨が降っているのがわかる。

あわてずゆっくりと器材を脱着。ウエットスーツも慎重に。ここであわてて船上でこけたりしたら、そのショックで何が起きるか予想もできない状態。 よーし、準備完了。
プスプスプー・・・・・。
ガスが出たのみ。
身軽になったとたんにお腹のゴロゴロが止んだ。
なんだよなあ、こんなことなら~。
悔やんでも、もう遅いのであった。
またしても、ゆっくりと見ることができなかった。
いつの日かゆっくり見たいな磯六ポイント。

【秋の西表いろいろ画像】


南風見田の浜の近くにある忘れ忽石の碑へと向かう途中のビーチで出会った生き物たち。色とりどりの貝殻を背負ったヤドカリがたくさんいました。それはもう、あちらこちらに無数といるのではないかと思ってしまうくらいの数。ヤドカリ同士が鉢合わせると触覚を互いに触れ合わせていました。そうすることで何がわかるのだろう?「おい調子はどうだ?」「けっこういいぞー」などと話しているのかなあ。

岩場の隅には天然記念物のオオナキオカヤドカリがひっそりとたたずんでいました。オオナキというくらいで、このヤドカリは発音器というものを持っていて鳴き声を発するということ。陸(オカ)にいるのでオカヤドカリと名付けられたそうです。タバコの箱以上もある大きなヤドカリでした。


この日は、遠く南海上に台風が発生していて雲の多い一日でした。その雲の切れ目から射し込んできた夕陽。あたりはだいぶ暗くなりかけてきた頃で、一直線に降り注いでくる光がとても幻想的でした。


同じビーチで出会った不思議な石。長い年月により風の力で風紋ができた石。ガウディの建築物のような模様です。そういった石がたくさんあるかと思いきや少し離れたところにはまた別の石。表面がすべすべになった石もありました。こうなるまでにいったいどのくらいの年月が経ったのでしょう?



ハイビスカスなどの色とりどりの花が咲いていました。左下の赤い花(?)はウコンの花。10月でしたが夏のような暑さがあり花々も咲き誇っていました。

セミの鳴く声もあちこちで聞くことができ、夏からずーと生きている長寿のセミなのかと思ってしまったほど。そんな長寿のセミなんかいるわけはなくて、次から次にどんどんセミが脱皮して木々で鳴いているそうです。6月に行ったときも鳴いていたから10月のこの時期でも鳴いているということは、いったい何匹くらいのセミが西表島にはいるんだろう?そのまた何倍もの数のセミの幼虫が土の中にいるのだから、それはもうものすごい数なんだと想像するだけでクラクラしてしまいそう。


周囲の木々が道路に覆い被さり、まるで緑のアーチのようになっていた頃の白浜白浜南風見線。いまはすっかり舗装・拡張されたのでこの写真のように道幅の狭いところはなくなっています。

都会の道にくらべればはるかに空いている西表の道をレンタカーで走っていると、スピードを出していなくても大型観光バスと狭い道で出くわすとドッキリしたものです。ゆっくり走るもの同士ならば狭い道でも問題ないのだろうけど、安全を優先させると広い道になってしまうのも仕方がないのかも。とは言え、この緑のアーチの道が広い舗装路になっているのを見たときはしょんぼりした気分になりました。

おわり