その2 1997.10 短いけれど盛りだくさんの旅

【いつものごとく西表へ向けて出発なのだ】


「6月に行ったが、また10月にも行くのだ」ということになり、秋(?)の西表島へまたまた行ってきました。今回は仲良く2人旅。
というのも前回の6月に行くつもりでドタキャンとなった友人も一緒。彼は6月の航空券は家宝(?)にすると言い、今でも大事に引き出しのなかにしまってある様子。 野郎2人で「仲良く2人旅」もないですが、とにかく”怒号の慌ただしさの97西表秋編”がこうして幕を切ったのでありました。

羽田発8:15の朝1番の飛行機に乗り、一路那覇空港までひとっ飛び。朝早いということもあり、前日は空港の近くの蒲田に1泊。もちろんここでもはやる気持ちを抑えきれずに、ビールで乾杯で大騒ぎ。翌朝は6:00に起床し、蒲田駅前から空港行きバス(260円)で羽田へ。前回の西表旅行では王様気分でタクシー3,000円也でしたが、バスだとこんなに安いのねみたいなかんじです。今回は”無駄使いナッシング節約の旅”でもあるのでした。

羽田へ着くと、平日の早朝にもかかわらず大にぎわいで大混雑。東京はすっかり肌寒くなっていて出発ロビーには、長袖・長袖・ジャンバー・コートとみなさん厚着で勢揃い。もちろん僕らもジャンバーをガシッと着込んで「ふっふっ みなさん 僕らが2時間後には南国沖縄にいるとは思うまい」みたいな出で立ちなのだった。 ブーンとJAL機は飛び立って11:00に那覇に到着。さすがに南国沖縄。クワッと陽射しが照りつけ、みんな半袖真っ黒。冬の姿の僕らは変人??みたいな陽気です。 那覇第2ターミナルまでスタターと駆けつけて11:50発の石垣行きに乗り込み石垣空港に13:00ちょい前に到着。ダッシュでタクシーに乗り込み「運転手さん 前の車を追いかけて・・」みたいな探偵気分な慌ただしさで港へゴー。しかし、西表の船浦行きまで30分ほど待ちがあり、ここでちょっぴ休憩。

「あちーなー」などと言いながらも、カンカンテリテリな太陽の陽射しに「ここまで来たのさ もーすぐだね西表クン」みたいなハッピー野郎(×2人)が離島桟橋でヘラヘラしていたのでした。

いつものごとく(?)安栄号でいざ出発。ここからは未知の世界である友人に「安栄号は波しぶきがスゴイから注意なのだ」と西表の達人のような顔をしてアドバイス。進行方向に対して左側に友人は座り、僕は右側へ。風は北から吹いていたので見るも無惨にずぶ濡れなのは僕だけ。西表の達人もヘナヘナで濡れねずみな気分。「しかーし 西表に向かうときは波しぶきが必要なのだあ」と自分を元気づかせていると、眼前に大きな緑の島”西表”登場!船浦港に着く頃には、やはりいつものごとく髪の毛は潮でゴワゴワ、Tシャツもずぶ濡れなのであった。でも、やっぱりこーでなくちゃ西表に着いたぁ~って気分がしなくなってる自分がちょっと心配。西表の土を踏みしめたのが14:10。あわただしく移動したわりには、きっちり6時間もかかっていたのであった。

「さあ着いた あとは宿でのんびりしよー」がいつものパターンだが、今回の怒号の西表旅行の1日目はこれからが始まりなのであり、港から歩いて数分の”やまねこレンタカー”に直行した2人は、なんとレンタカーを借りてしまうのであった。行き先はもちろん例の場所を置いて他ならないのである。

【東にはネコが待っているのであった】


西表に到着後すぐにレンタカーを借りて、一路東へと向かいました。

例の場所と呼ばれる、その場所とはいずこ!
それは「西表野生生物保護センター」なのであった。
しかし、その前に腹ペココンビと化した2人組は空腹を満たさねばならなかったのだった。というわけでレストラン高那の「八重山そばセット」に導かれるように、気が付くと高那の店内にいるコンビなのだ。西表上陸記念でビールで乾杯!といきたいところだが、運転中はダメなのねということで冷たい麦茶を飲む2人。今回の旅で第1食目の「そば」を食べ、元気ハツラツ満腹まんぞくなまま、脱兎のごとく高那を後にするのでした。

いつものごとく右手にジャングル、左手に青い海を眺めながら、車はグングンひた走り、途中「由布島」を経由、目指す目的地「西表野生生物保護センター」へ到着。


今回の旅の数日前に「シンラ」という雑誌に「イリオモテヤマネコの赤ちゃん保護される」という記事を目にし、もしや・・という期待を胸にひめセンターへ向かったのでした。保護ゲージの周囲は立入禁止になっていて、ヤマネコの様子はビデオまたは監視カメラでのみ見ることが可能とか。あいにくと赤ちゃんネコの様子を見ることはできなかったけれど、少し前に保護されたヤマネコが食事をするシーンを見ることができました。

後日談:なんと、そのネコは例の子猫だったことがわかった。保護された時点では、かわいい子猫であったが、スクスクと元気に育ち、立派に成長した姿がそのビデオであった。新潮社シンラ11月号では、愛くるしい子猫顔だったのに、そんなに急に大きくなっちゃ見間違えちゃうぞ!みたいなかんじなのだ。

館内をぐるぐると回り、「では、そろそろ宿へ行くのだ」となったが、「うーん ここまで来たのだから」という何だかわからない理由でしたが、気が付くと南風見田の浜に立っていた。

南風見田の浜へ到着。
やはり、いつものごとく・・・人がいない。
誰も・・・いない。
どこにもいない。
ひろーいビーチに聞こえるのは、波の音と鳥の鳴き声のみ。 同行の友人もおおいに満足な様子です。

浜で見つけたヤドカリを観察したり、ポチポチ散歩したりしていると、あっと言う間に夕方です。時計の針はまもなく17:00。 17:30にレンタカーを上原営業所に返却です。上原までは30数km。「ええと、時速30kmで1時間、60kmだとすると・・・」まあ、とにかくハンドルを握ってダッシュでゴーです。あわてているのがバレたのか、途中で島にひとつしかない大原の信号で赤でストップ。ここは子供達の教育用に設置されている信号機だと聞きました。そう言えば、西表はこの信号機以外に道路に信号がありません。上原から南風見田までは30km以上あるけれど、普通の速度で車を走らせても遠い気がしないのはそのせいかも。とにかくギリギリ17:25に上原営業所に到着。大慌ての3時間でした。

翌日からのダイビングの打ち合わせのため「ダイビングスクール プレコ」石田さんのところへ向かい、時間の経つのも忘れ楽しく話しをしていると、宿のオーナーから「ごはんだから早く帰ってきなさいよー」と電話が入る。うへっ!すでに時計は19:00を回っていたのです。

宿では、知人の安田さんと1年ぶりの再会で、ビールで乾杯(500ml×2本)したもんだから、もちろん例のごとくごはんが食べられなくなりました。腹いっぱいお腹ポンポコポンのまま、夕食後はいつもの港へ直行です。

お腹がいっぱいのはずなのに、なぜか港の途中の自販機でオリオンビールを買っている自分がいます。まぶしいばかりの月明かりの下で、なにはともあれ「西表到着おめでとー」ということで乾杯。 ずいぶん月明かりがまぶしくて、星が隠れてしまっています。 それもそのはず、今日は満月でした。 潮騒の音と、海面に照らし出される月明かり。 心地よい雰囲気で、ビールがいっそうおいしく感じられる夜でした。

1時間ほど港で気持ちよくすごした後は、宿へ戻り知人も交え3人でまたまたビールで乾杯。ビールのあとは泡盛とつづき、「そろそろ寝ますかぁ」となったのは日付が変わる頃でした。

【ハプニングなダイビングな日もあるさ】


2日目はダイビング。
思い出深い「磯六ポイント」に潜る予定であったが、Mr.sakanaの笠井さんのところが既に潜っていたため、1本目は「ハトマ南西」に変更。

ピンク色をしたキンギョハナダイという魚がたくさん群れていて、とっても満足で西表でのまずは1本目のダイビングを終了。ダイビング後は船上で昼食というスタイルが定番ですが、八重山そば好きの僕のために石田さんお薦めの店へ「そばツアー」がスタート。 港へ戻り、一路西へ車は走ります。

白浜にある西表トンネルを抜けたすぐのところにある「レストラン白浜」が目的地。 ここの八重山そばは、とってもおいしい。 ボリュームも満点で島内はどこのお店もおいしいですが、僕はここが1番好きです。ソーキがじっくり煮込まれていて、これだけでもゴハンがもりもり食べられそうなほど美味。そば&アイスコーヒーで腹いっぱいになり、帰りはお店のご主人に頼まれて、みんなでちょっと力仕事。帰り道はトンネルを通らず、旧道をクネクネと走り、2本目に出かける前にしばらく港でお昼寝タイムです。

いつもの港のいつもの防波堤の上でグーグー昼寝。
目が覚めると、いよいよ2本目「磯六(いそろく)ポイント」へ向けて出発です。リュウキュハタンポ、スカシテンジクダイ、クロホシイシモチの乱舞するメインの根(大きな岩)は最後のメインにということで、まずは周囲を海底散歩。しかし、この時に重大(?)なハプニングが発生!ガイディング中のプレコ石田さんが毒性生物に襲われるという事件が・・。というと大げさですが、海中での石田さんは、持参のボードに「すごくイタイ」と書きつつ笑顔でしたので「そっか イタイのかぁ大丈夫ですかぁ?」と僕ら2人は事の重大さにあまり気づきません。この事件について詳しくはプレコページの「ヒメオニオコゼ刺傷事件」をご覧ください。

そのままダイビングは続行し、メインの根に到着し「よしゃこれから観察へばりつき大会の時間!」と思ったのもつかの間、今度は僕に重大(??)なハプニングが訪れたのでした。「おしっこ」の時間が来てしまいました。メインの根を前にして「このまま見たいVS浮上したい」の一騎打ちです。いよいよ浮上したいが90%に近づいた頃には、目の前にいる魚たちを見ているような見ていないような状態に突入。ダイビング時間はすでに1時間になろうとしていますが、エアの残りはまだ70あります。あと30分は余裕で潜っていられますが「もーだめだ、お先に浮上ぉぉー」と合図を出し、ダッシュで船に戻るのでした。

船上で、事なきを得た安堵感と「何もメインの根でこんなにならなくてもなぁ~」というヘナヘナ感とで複雑な想いの2本目なのでした。

【月が浜で夕日にこんにちは】


3日目の夕方に月が浜に夕日を見に行ってきました。
ここには通算数回来ましたが、なかなかバッチグーな夕陽に出会えていません。いつになったら会えるかなぁという気分で「おしゃ 今日はどーだ!」と気合い充分で訪ねてみたのです。ダイビング後の夕方から”やまねこレンタカー”で三菱のギャラン号を翌朝の9:00までレンタル(6,500円)し、18:00頃に月が浜へ到着。

「まだ ちょっと早かったのね~」という時間帯で陽はまだやや高かった。でも沈んでくれるまで待っちゃうもんねぇと待ちモードに入り、しばし浜辺でぼんやりする2人なのでした。徐々に陽は沈み、頭の中で「シャッターちゃーんす ちゃーんす チャーンス!」と呪文のように響きながら夕日に向かってパシャパシャとシャッターを切るのでした。あまりにもパシャパシャ撮りすぎたため、肝心なときにはフィルム切れ。しかし、まあいっか気分でのんびりと綺麗な夕日を瞼に焼き付けるのでした。

いやぁここはいい場所です。
やまねこレンタカーは17:30に終わってしまうので、夕方のこの時間に車で来るにはレンタカー代がかかるけど、天気がバッチリ良くて雲ひとつない日だったら、それはそれは素敵な夕日に会えるんじゃないかなぁ。この日はやや雲が多かったので、海に沈む夕日は見れませんでしたが、本当にすばらしい夕陽にいつの日か会いに来ようと思う所です。

夕日も沈みあたりが暗くなり、そろそろ楽しい夕食の時間です。 足早に宿に向けて帰路に着くのでした。しかし、まだまだ3日目の夜はこれから盛りだくさんなのだった。連日連夜盛りだくさんで、ハッピー西表モードな2人にもそろそろ疲労の影が見えかくれしているが、まだまだ3日目は終わらないのであった。

【いつになく早起きな朝は1大イベントが待っていた】


翌朝は6:00に起床の約束であった。

ピピピ・・・・・
友人の目覚ましの電子音が部屋に鳴り響く。
「おっ もー6:00か」と眠い目をこすり起きようとすると、なんとまだ5:00。余裕を見て1時間前にしたようだ。「な・な・なぜだあああああ~」とギャフンで脱力なまま更にプラス1時間寝る。定刻の6:00にあらためて起床し、さっそく三菱ギャラン号のエンジンスタート。西表は数回目になるが、朝の西表は初めてであった。いつもは8:00の朝食の5分前に起床しているからだが、早起きは大の苦手。しかし、起きてしまえば目覚めは良い。サクサクと運転席に座り、3人組は一路白浜の港へ向かうのである。

ここから白浜までは30分ほど。朝食は8:00なので7:30には港を出なければならない。現在の時刻が6:00なので、このままでは予定よりも早くに港へ着いてしまう。で、観光船の出る浦内川沿いの展望台で小休止。「ここからだとマングローブの森が一望だよー」なんて言っても、2人のノリは悪い。「やはり朝だからかなぁ」などと思ったが、後で聞くところによると、この時点で緊張の度合いは徐々に高まっていたらしい。そして再び車は白浜港へ向けて走り出す。お気楽(×1人)&緊張(×2人)を乗せて・・。

白浜港へ到着。
時刻は6:50。
港で会えるその人(漁師さん)7:00に港へ戻ってくる。
朝の港は活気があるかと思いきや、誰もいなくて寂しさいっぱい。と思いきや1台のバンが通り過ぎる。運転席に座る真っ黒に日焼けした人は、僕らとすれ違いざまにギロッと厳しい眼光がキラリ(ギラリ)。

「うげっ、恐い」まさにそんなかんじ。
ギラリの瞬間を一緒に見た同行の仲間も思わず「コワイィィィ」と。 あんなに眼光の鋭い人とは話しにくいなぁと思ったが、そのバンは遠くの駐車場へ離れていった。心のなかでは、助かったぁと一安心。

しかし、安心するのもつかの間。
さっきのバンがエンジンスタート。
バンの進路はまさにこちら
どんどん近寄ってくる。どんどん、どんどん・・・。 我ら3人組みを目指すかのごとく、どんどん、どんどん・・・。 もーこうなったら、そのバンから目が離せない。そうだ、あのバンは僕らの脇をすり抜けて自らが行こうとする目的地に向かうのだ。そーだ、そーだと思うことにする。刻一刻と近寄るバン。よーし、そしてすり抜けて行って来れぇぇ・・・ 「お前なんかにゃ、用はないよおー」と言ってくれぇ。 「そーだ、そーだお前なんかにゃ・・・あれ、あれ、あれ、あ・・」 バンは目指す目的地はお前だぁといわんばかりに、こちらに一直線。「もしかして、もしかして、もしかしてぇぇ・・・目的地は・・・・俺かあああああああ」。 ずんずん迫るバン。そして、ゆっくりとブレーキ。
僕の2m手前で停止。
バンから降りてくるイカツイおやじ。
予想通り、でかい体に鋭い眼光。

ここで内蔵回路が「避けたいよねモード」から、一転して「フレンドリーお話モード」へスイッチオン。
眼光鋭いけど、きっと良い人なんだと自分に言い聞かせ「Iさんという人を探しているのですがぁ・・」と切り出した。
話してみると、とっても良い人のようだ。 魚釣りの話しなどをしながら港を2人で歩く。 おいおい、残りの2人はどこにいる・・・みたいな。 「でも、いいの。だって僕、Iさんを探す役割なんだもんね・・グッスン」 楽しく話しをしていると雨がパラパラ。バンの荷物を片づけて僕ら3人を雨宿りさせてくれるくらい親切なおじさん。なんだぁ眼光は鋭いけど親切な人だったじゃん。 ごめんなさい、さっきは凶暴な人かと誤解してしまいましたと心のなかで陳謝。 が・・・、車のなかで話しているとき、「いやぁ、さっきギロッとにらまれて恐かったですよぉ」なんて言うと、「俺、○○○な人なんだ」と一言。
それを聞いて数秒固まりました・・・。

しかし、このおじさんのおかげで念願のIさんにも会うことができたので良かった。で、ドキドキワクワクの港での時間はあっという間にすぎ、港を後にしたのは7:50でした。ダッシュで宿へ戻ったが朝食の時間に遅れたのは言うまでもないのであった。

今回の西表旅行での1大イベントは、なんと最終日の朝に起きたのでした。6月の旅で秘密の場所を教えてくれたおじさんの件といい、地元の人とのふれ合いは楽しい思い出になります。次回の旅でももちろんたくさんの人たちと出会えたらいいなあ。

おわり