本業が微妙に忙しいので、重たい(長い)本を読んでいる時間がないからです。電車とかバスとか、移動中で読み終えられる厚さでないと手が出せない。……自由になる時間は今のトコそこくらい、みたいな。もうすぐ一段落するはず……多分。多分ね……。
ただいまXMLと格闘中です。よろよろふらふら。
●マリア様がみてる クリスクロス / 今野緒雪
来ましたね! 来たじゃないですか! 収まる所に収まったか……。
そろそろ終わりが見えて来た雰囲気ですね。
ただ、祐巳瞳子ラインって、どうも、なんというか、突然急接近したような、そんな雰囲気が否めないのですよ。……うーん。瞳子側が見えにくいからですかね。主観に立ったのが前巻の一部しかないし。祥子は割と、周りが祥子を代弁する的シーンも多かったから「見える」ものが多かったんだけど、瞳子は見えないことで物語を引っ張って来た感があるから。
可南子と並んで親しい後輩の1人的ポジションから、スールまでに昇格する過程が……どうも心理的に急激過ぎる感じ? 祐巳はどちらかと言うと巻き込まれポジションだから、彼女側から積極的に出るだけのインパクトって、もっと強くないと、と思ってるせいかも知れないけど。
まあとにかく、後は収まるだけだと思うから、まったり待ちますか。……てもう直ぐ出ますね(3/30予定)。
●ソウルドロップの幽体研究 / 上遠野浩平
表紙が「これぞライトノベル」って感じ。
それはそうと、世界観の手触りがブギーポップシリーズに似ているのがいい感じ。なんだかんだ言って上遠野先生に最初に惚れたのがブギーポップだから、こういうのが一番琴線に触れてしまうのだろうな。現実に近いんだけど、ほんの少し軸を外したような、斜めからの視点を感じる切り込み方。きゅんきゅん。
千条くんと伊佐くんの関係は、萌えろって言ってますねあなた、みたいだしー(半分棒読み)。千条くんが創られた技術的背景みたいなものは語られるんでしょうか。いやなくてもいいけど。
ミステリーとしては読んでないけど、それにしてもトリックなんて呼べないですね。私は気にしませんけど。「犯人」が最初から限定され過ぎてるしなあ……。
多分「魂」の物語なんだろうな。……そんな気がする。千条くんの中にいる千条くんといい、ペイパーカットのテクニックといい。
物語の推進装置の中に、ひとつは無性にときめいてしまう部分があるのも上遠野さんのいいトコなんですけど、今回はペイパーカットの外観操作。まああそこまで極端ではないけど、人間、割と第一印象なんて曖昧なものだというのは、日常で意識させられる瞬間があるものです。ええ。存在するものの拡大解釈。感覚の過剰延長。美しいなあ。
●失はれる物語 / 乙一
こういう作風でライトノベルの中にいたんだ。そりゃ大変だったでしょうねえ。
ライトノベルと一般書ってそんなに溝があるようには(私は)思えなかったんですが、それは乙一さんみたいな作風が時々出て来るからなんでしょうねえ……。ひとつひとつの物語の描写がことごとくディープで、濃過ぎてくらくらする。腕の感覚しかなくなった人間を描こうなんて発想がまずおかしい(←褒め言葉)んだけど、それをここまでテクストに起こし得るのはやっぱり天才なんじゃないですかねえ。
………はあ。(色々絶句)
後書きでここまで内情バラしてしまうのも愉快過ぎる。映像化したら別物になったとかさ(笑)。原作者って映像化する時に意外と口出し出来ないものなんでしょうか……。なんか、私は乙一さん読むたびに後書きに何かしらやられてる気がします。あははは。
●ロストメビウス / 上遠野浩平
ええー。こんな状況なのに、まるで第二部スタート! みたいな話になってるなあ……。
この後に及んでまだ謎増やしますか、みたいな。
ブギーポップシリーズに手をつけたのが久々なので、微妙に忘れてる部分もありますが、伏線を回収されたというよりは謎を増やされた感じがするのですよ。
でも展開的には「何か」に向かって伏線張ってるんでしょうねえ。
終わりが近いんでしょうかねえ……。
今の所はあとオルフェだけですが、いつ読めるかなあ。
ただ、うーん。
商業作家として忠実であり過ぎるがゆえに終わらせられない、みたいな、そんな閉塞感も見えるよーな。どうなんだろう。いっそぱちんと終わらせて見てはどうかと。それこそ泡(ポップ)のごとく。
●メモリアノイズの流転現象 / 上遠野浩平
表紙が「これぞライトノベル」って(略)。
タイトルもベタベタにライトノベルだなあ。いやペイパーカットシリーズのタイトルは全部そうだけど。
多分シリーズを継続的に追いかけて来た人にとっては、神代さんのラストの電話の言葉で「きたぁ!」状態になったのだろう。多分。つながりを最初に知ってから読んでいる身としては、うわそんな判り易くせんでも……と苦笑しちゃったのだけれど。
ふーむ。面白いのだけれど、上遠野せんせにとって呪縛になりかけてませんかねえ? あるノベルゲ作家が「ブギーポップ」を(日本の)伝奇小説世界の断層と位置づけてたのをなんか思い出したり。
ま、そんなこたぁどうでも。
物語自体は久々にすごく素直なんでちょっとびっくりしたですよ! トリックとか事件背景とかは、まあ、メインストリームな顔してても本筋じゃないからなーとか思ってたんですけど、珍しくというか久々にというか、すとんと落ちたので拍子抜けしてしまいましたごめんなさい。
まあ背骨たるペイパーカット本人は相変わらず全く関係ない脇道を掠っている感じなのですが。そういうものなんだろうし。
それにしても、二作目にして早くも死人が出なくなるのか……。ペイパーカットのアイデンティティはまだまだ奥が深そうですねえ。
個人的には、「同じ頃このこととのつながりに気づいて彼が〜〜していたことはこの時点で知るよしもない」系の、並行時間描写というか、そういうのが、少ないんだけど目につき過ぎて微妙。同じセクションの中で視点が変わることが個人的に好きじゃないってのも大きいんだけど、そんなの余計なお世話でしょうというか。異物放り込んでまで、読者にそんのタイミングで気づかせることを強制されているみたいでなんかいやー。
あと、オープニングからしてそうだけど、「続きはCMのあとに!」的な章のちぎり方もかなり気持ち悪いです。他の作家がやるのは別にいいんだけど、上遠野せんせはそういう、なんていう、変に「演出された」書き回しがなくてもこっちが翻弄されるのが面白い、と思っていたのにー。
ブギーポップの第一作なんて典型だけど、上遠野せんせって「時系列の整理の仕方」も独特で面白いと思う。それがね、ぶち壊しになってる感じ。読者側で勝手に混乱して勝手に整理するのも楽しみの1つなのになあ。シリアルな期待感だけ落として終わるのって、当たり前だけど、次に続くものが何なのかあらかじめ示されてしまうわけでしょう…混乱させられる余地がないのはつまらんよう。
……つまりぶっちゃけ「判り易過ぎる」んですよ! それが不満になっちゃうのって、読者として相当ひねくれてますねごめんなさい(笑)。
●イリヤの空 UFOの夏 その1 / 秋山瑞人
本当にねえ。どうしてこんな、チョーライトノベルな物語装置で才能を浪費しやがりますかこの人は。
と言いたくなる描写力。
死ねるなあこれは。文体に嫉妬する作家は久々。ああもう。ちくしょー。いいなあいいなあいいなあ。すごいシンクロする。文体が。スピードも密度も何もかもが。こう描いて欲しい時にスパンとそう書いてくれる。このリズムが気持ちいー。
でも物語は別にどーとも。キャラが立ち過ぎているせいなんでしょうか。キャラ造形の輪郭がここまでチョー個性的だと、文体はもう少しニュートラルな方が私は読みやすかったのだけれど、なんつーか、あかん、私にとっては、文体が萌え萌え過ぎてキャラが飛ぶ。どっちかにして。豊穣過ぎて処理能力キャパ超えるー。
ええと、なんつーか、一般書で普通に恋愛もの書いてみたらどうですかとか思いつつ、普通に恋愛ものなんて書かれたら出会ってなかったろうなあと思ったり。何だろうなあ、何書いて欲しいんだろう、もっと違うフィールドで見たいなあ。とにかく「これじゃない」ことは確定なんだけど(←ひどい読者)。
ええと、とりあえずシリーズそのうち読みます。設定とか舞台装置とかキャラとか全く頭に入らん。やべー(←文体萌えのいつもの症状)。
固定リンク / 2007.3.19
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