団体用に改造された編成はお座敷列車ばかりであった中、まだ国鉄時代の1983年には初の欧風客車、「サロンエクスプレス東京」(東京南局)と「サロンカーなにわ」(大阪局)が東西競い合うように登場しました。この2本が欧風(洋風)列車の嚆矢と言えるでしょうか。1985年に3本目の「ユーロライナー」(名古屋局)が登場しましたが、秋田局に登場した「エレガンスアッキー」はそれに続くものとなります。大都市圏を中心に登場していた洋風列車が秋田に登場したのは先進的と言えるでしょうか。車体の構造の変化は小さいものの、塗装は大胆に変更されました。
1988.3.19、磐越東線に「オリエントサルーン」、「エレガンスアッキー」の2本が運転されました。この機会にと青春18きっぷを利用して同線を訪れました。平(現いわき)、郡山のどちらから入ったのかすら忘れてしまいましたが、列車内から撮れそうな場所を見つけて川前で下車しました。
撮影地としてマイナーな場所だからでしょうか。他の撮影者はほとんど見かけず。「アッキー」を撮っていたのは私だけであったと思います。
列車本数が少なく、定期列車と「アッキー」の間合いが長かったため、退屈しました。しかし、ぼーっとしながら草むらに寝そべるのは贅沢な時間であったと思います。
今から(2013年から)30年ほど前、現像、プリントのメニューに「ラッシュ」がありました。皆さんは「ラッシュ」とは何かご存知でしょうか。
「ラッシュ」はネガからポジフィルムにベタ焼き(密着焼き)したものです。映画など業務用に使われていたものが一般のユーザーにもサービスが提供されるようになったとされています。1コマ1コマネガ→ポジを注文すると高価であったのに対し、ラッシュは手軽にポジを作ることができました。ただし、ベタ焼きですので露出を間違うと補正はされませんでした。
当時、ポジからの紙焼きプリントは「ダイレクトプリント」が一般的で、カラーネガからのプリントよりも4〜5倍高価な割には色が悪く(→個人的な評価です。)、それがポジフィルムの使用を躊躇させる理由でもありました。一方、卒業した大学の鉄研では年に数回「スライド映写会」があり、私もOBとして参加していました。それに出すためにラッシュを注文することが何度かありました。
サービス開始当初のK社ものは赤く変色してしまって使い物になりませんが、今回掲載した写真については原版のネガよりもラッシュのほうが保存性が良好なようです。このようなことでラッシュのメリットを知ることになるとは思いませんでした。
「エレガンスアッキー」 キロ59503 1988.3.19 磐越東線 川前−江田 (ラッシュからスキャン)