オーディオ日記 第40章 はじめに音楽ありき(その1)2017年3月14日


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4wayマルチアンプシステムにおけるスピーカー設定には本当に終りがないと思うのだが、イコライザに頼ることなくリスニングポイントにおいて何とか平坦な周波数特性(含むタイムアライメント)にしたくてトライを続けている。先にDate Audio Networkの テスト の一環としてFIR型のチャネルデバイダー(MPP,DSP)を試したが、こちらの方が当方のIIR型デジチャンより厳密な調整結果を求める上では機能的に勝っていることは大いに 実感して いるのだが、まずは現状の機器構成で何とかまとめようと足掻いているのだ。測定にはOmni Mic V2を使用しているが、やはり測定という作業には結構な難しさがあって、我が家のシステムの「普遍的な」状況をこの測定ツールで的確に捉えられているのか、ということになると多少心許ないところもある。何より計測するタイミングや場所の僅かな違いで結果が微妙に異なってしまうので、その辺りをどう勘案し、設定にフィードバックすべきか悩んでしまうことも多い。

周波数特性というものが、音楽再生においてどの程度の重要度を持つものか、音楽の音色や響きそのものにまでインパクトがあるのかという点について当方は明確に把握出来ている訳ではない。だが、音源に含まれた「音」を絶対的な正確さで再現し、部屋の影響を加味しつつもそれをきちんとリスニングポイントまで届けなければいけないのだと考えている。

従来よりいろいろなイコライザ(アナログ、デジタル)を 試して きて、周波数特性というものはイコライザを使用すればある程度の補正は可能であるとは理解しているのだが、物事には常に得失があって、イコライザの挿入による質的な弊害が全く無い訳ではないと考えている。もちろんメリットが上回ることもあると思うのだが。4way以前の3way構成においては、当方のスピーカーユニットや部屋との関係もあってイコライザ無しにはなかなか納得の結果を得られず、4wayへのチャレンジを開始した経緯がある。もちろん、4wayだからといってそれが簡単に実現できるわけではなく、音楽としての質感を損なわずに周波数特性を整え、タイムアライメントを確保しなければならないし、各ユニットの再生能力や歪みにも注意しておかねばならない。

各ユニットに対して50cm~1m程度の距離の測定であれば、ユニットの素の特性が明確になりその他の影響も排除できるので、測定と調整は比較的簡単なのであるが、リスニングポイント付近では部屋の反射、吸収、そして定在波などの影響を受けやすく、なかなか「きれいな」特性に設定を作り上げることはできない。現時点でもいろいろと四苦八苦しているのであるが、まだまだ「妥協の範囲」に留まっていると云えるだろう。

また音楽を聴く、という観点からは高域に向かっては多少なだらかに周波数レスポンスが下降していくという設定が望ましいとも思うのだが、それはどの辺りの周波数から、何dB位落としていけばいいのか、まだ明確には掴めていない。一方で10KHzを越えた辺りからはリスニングポイントでは自然に(至近距離におけるユニットの再生能力に係わらず高域エネルギーの減衰の結果として)ある程度のレスポンス低下は発生してしまうのだが、どのくらいのレベルが最適であるのか、これも掴んで行かねばならない。当然ながら、この高域のレベルというのは高域用ユニットの質感に依存することも大きく、澄み切った倍音再生が可能な高品位なユニットであれば、あまりレベルを落とさないほうがオーディオ的な快感は得られるのかな、と考えている。決して満足と云えるものではないのだが、以下に現時点での測定結果を掲載する。(測定位置はスピーカより270cmでリスニングポイントの50cmほど手前、6dBのスムージング)

周波数特性:
Frequecy Response

Distortion:(再測定したもの)
Dsitortion
(注記)Distortion測定時の音量が小さく暗騒音の影響を受けている可能性があるとの指摘がケンさんよりあり、2ポイントほど音量を上げて後日再測定した。このため周波数測定時とはマイク位置が微妙に異なる。なお、Distortionに関して2次~5次の特性を別々の表示とした。

Distortion:(初期掲載時のもの、歪特性は再測定の結果と比して確かに劣って見える)
Dsitortion

Wavelet Spectrogram:
Wavelet Spectrogram

(測定の総括)
全体的にみれば、レスポンスとしては概ねプラスマイナス5dB程度には収まっている。ただし、1KHz以上においてはそこそこなだらかなのであるのに比して、100Hz~1KHzにおいてはまだまだ山谷がある。反射または定在波の影響か400Hz辺りにはディップがみられ、それがWavelet Spectrogramでの「目玉」状態になって現れてしまっている。また、20KHzにおいては-8dBまで低下しているので、このレベルを上げるかどうか悩ましいところ(相対的に10KHz辺りが持ち上がってしまうので)。

オーディオにおける音はスピーカー(と部屋)による支配力が他の要因と比較すれば大きいと思うので、基本としてしっかりと攻めの(?)調教をして4way設定にしつらえたいと考えている。それができれば多様な音源をあるがままの状態で楽しめるのでないかと、、、

一方で「音楽」そのものの再生においては、これ以外の複雑な要素が絡んで音の良し悪しにも繋がってくる。音色や響き、という音楽自体にとって非常な重要な要素については、スピーカーシステムの設定という範疇で片付けられないし、それ他の要素もまた疎かにする訳にはいかないと思う。

閑話休題:

わが青春の音源。幼少よりクラシック音楽に縁のなかった当方がショパンにも目覚めた頃の宮沢明子のアナログディスクである。一枚を除き菅野録音。20代の頃に良く聴いた既に40年の年月を越えてきた音源なのだが、今でも決して色褪せることの無いピアノの煌きがここにある。当時はALTECの2wayで聴いていたのだが、現在の音はそれを越えられたのだろうか、としみじみ考えてしまうことしきり。クリーニングをちゃんとしたのでノイズも少なく、それにしてもアナログディスクというのはタフなもの(人間に比して?)だなと思う。

宮沢明子のアルバム(サイン入りが2枚):
Meiko Miyazawa Album

(注記)Phileweb上でベルウッドさんという方がこれらのアナログディスクに言及されたことに触発されて、懐かしく思って久々に引っ張り出して聴いてみたもの。


4way構成の設定備忘録(2017年3月14日現在)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
パワーアンプでの
入力絞り
dB -6.0 0.0 -10.0 -7.0
設定値
SP側での
アッテネーション
dB 0.0 0.0 0.0 0.0
(L-PAD抵抗)
DF-55の
出力設定
dB 0.0 0.0 -10.0 +4.0
Analog Att
ON
スピーカーの
出力(想定)
dB 91.0 90.0 90.0 90.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

560
560

1250
1250

9000
9000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 24-24 24-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm 25.0 46.0 0 39.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Normal Rev Rev Rev JPLAY
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない


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