上流のあれやこれやが一段落という状態となって、下流であるスピーカー周り関して改めて個々のユニットの特性の測定から開始しいくつかの設定上の変更を行ってみた。元よりある程度煮詰まっているところもあるので、大きく変化、進歩することは無いと思うが、より理想に近づけたいという意図からである。
新しいレイアウト:
一番大きなポイントは4way構成におけるミッドロー帯域の
FPSユニット
を外側への配置に変更したこと。FPSは振動板が比較的面積の大きい平面であることから、高域に向かって指向性が強くなり最適なリスニングポイントが限定されるところがある。従来はメインのエンクロージャの内側に配置していたのだが、これだと音がリスニングポイントに集中する感じがあった。このため、思い切って外側へ出しやや内振りのスタイルで配置し、更なる音の広がりと音場形成を狙おうというもの。ただし、この設置方法にも課題がある。それはFPSユニット用エンクロージャの前後位置である。メインのエンクロージャの設置間隔をあまり狭くしたくないので、ある程度の左右の距離を確保すると、FPSユニットを若干前に出して設置しないとうまく配置が収まらないのだ。この点については(狭い我が家の課題であるので)結構悩んだが、デジチャンの機能である
タイムアライメント調整機能
をフル活用してこの前後位置の差には目を瞑ることとした。
この変更に伴い、ミッドローユニットの受け持ち帯域を若干変更して560Hz~1250Hzとした(従来は224~900Hz近辺)。これはローユニットとして使用しているSONY SUP-L11の女性ボーカル再生における美味しい部分をうまく残しておきたいということと、ミッドローユニットの間隔を拡大したことに起因する声の再生においての中抜け感を起こさないようにしようという意図からである。現状では、まだクロスオーバー周波数の下側については調整の余地があるものと思うので、350~500Hzあたりからの設定を順番に試してみようと考えている。
そして、ミッドハイユニット(SONY SUP-T11)に使用している固定抵抗タイプの
アッテネータ
(-12dB減衰させている)の使用をやめたこと。このアッテネータは各ユニット間の能率調整用途と高能率のドライバーからの残留雑音対策を兼ねているもの。抵抗はDaleの巻線抵抗で音質劣化に際しては多少考慮したつもりなのであるが、やはり音質への影響は皆無とは云えないので、それを排除するためにアンプ直結にしてしまう。ただ、このことはアンプの動作をなるべく「フルスィングさせる」という観点からは相反するものがあり、一概にアッテネータ挿入が良くないとは云えない点もある。なお、差分のアッテネーションはデジチャン(DF-55)におけるアナログアッテネーション(-10dB)とパワーアンプの入力絞りで調整した。ミッドハイ用のアンプについてはメーカーにて整備してもらってあるので残留ノイズは気になるレベルではないことが幸いである。なお、ミッドハイユニットの受持ち帯域は1250~6300Hzとした。
さてこれらの変更による音について、総合的な観点から多少なりとも望む方向への改善が感じられたであろうか。楽器やボーカルの定位と音場の広がりという相反するところが(理想とまではいかないまでも)ある程度納得の方向になったことは、今回の変更の狙いに沿っており嬉しいところ。また声の質感(リアリティ、肉声感、艶)という観点からも悪くない気がする。また、ミッドハイ帯域の固定抵抗を排したことによる得失はちょっと心配した点でもあるのだが、気配の細やかさが出るという観点から落第ではないと思う。もちろんいつでもそうなのだが、何らかの変更を加えると、しばらくは良くなった気がするのだが、徐々にその感動(?)が薄れまたまたあれこれやってみたくなってしまう、という悲しい性があるのだが、、、はてさて今回は如何となるであろうか。
もちろんスピーカー周りの調整、設定は終わることなく(永遠に?)続くと思うのであるが、一応の成果を得たと考えて良いかもしれない。従って、この後はいよいよ永年放置してきたパワーアンプ関連(ロートルアンプばかりなので)のリニューアルに手をつける必要がある。また、パワーアンプの用法についてであるが、低域に関してBTL動作化によってモノラル駆動させたいのだが、それだとパワーアンプが5台必要となってしまうのでちょっと実現は難しそう。次善の策として、左右の受持ちをそれぞれのアンプに振り分けたスタイルであるが、これは一台のアンプを左チャネルの低域、高域と受け持たせ、もう一台を右チャネルの低域、高域というようにする使い方。これはいろいろな組み合わせ方法があってパズルのようになってしまうのであるが是非ともやってみようと考えている。
4way構成の設定備忘録(2017年3月9日現在)
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid-Low |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
FPS 2030M3P1R |
Sony SUP-T11 |
Scan Speak D2908 |
- |
スピーカーの 能率(相対差) |
dB |
97 (+7) |
90 (0) |
110 (+20) |
93 (+3) |
|
パワーアンプでの 入力絞り |
dB |
-6.0 |
0.0 |
-10.0 |
-7.0 |
|
SP側での アッテネーション |
dB |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
|
DF-55の 出力設定 |
dB |
0.0 |
0.0 |
-10.0 |
+3.5 |
|
スピーカーの 出力(想定) |
dB |
91.0 |
90.0 |
90.0 |
89.5 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
pass ~ 560 |
560 ~ 1250 |
1250 ~ 6300 |
6300 ~ pass |
Low Pass ~ High Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-48 |
24-24 |
24-24 |
24-flat |
Low Pass High Pass |
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
25.0 |
46.0 |
0 |
36.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Normal |
Rev |
Rev |
Rev |
JPLAY 環境下 |
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|