オーディオ日記 第31章 夢の中へ(その16) 2012年12月21日


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デジタルディレイの設定に関する続きである。

遊び半分でやってみたものの、変化・効果が感じられたので、もう少し追い込んでみたくなった。となると、各ユニットの正確な位置を計測、確認し、まずはユニット間の(振動板の)相対的な距離を把握しておく必要がある。ユニットの詳細な寸法図の確認ならびに実測によってこれを把握してみた。簡単な計測図に取り纏めてみたが、ウーファーのフロントダンパーを基準として、そこからのドライバー・ダイヤフラム、リボン・ダイヤフラムまでの距離はそれぞれ前後に27cmと8cmであった。DF-55のデジタルディレイの設定においては、いずれかのユニットを基準にしてそこからの相対位置を距離(0.5cm単位)で指定する。となれば、各ユニットの前後位置を論理的に揃えるには、ウーファーを中心として中域(MID)を前方に27cm、高域(HIGH)を後方に8cmという設定値で良い訳である。

ユニット配置計測図:


何はともあれ、理論値通りの設定を行って試聴開始。はてさて、、、

おっ、なかなか! でも、微妙かも。

音の表情が明るいというかプレゼンスが上がったように感じられる。前回は中域のディレイ設定はせず、低域と高域ユニットの相対位置でのテストをしていたが、今回のこの設定では中域(ホーン・ドライバー)が前に27cm出てきている訳である。当然その影響、効果とも思えるがやはり単に出力レベルを変化させたものとは違う感触がある。ただ、弦などは少し存在をアピールしすぎるような気もする。低域の量感、存在感などはそれほど変化がないが、気持ち繋がりがスムーズか。ボーカル、ピアノ、弦という三種の音源で「個々の音」の感触を確かめて行く。以前の設定と比較試聴しても差が無いように感じる音源もあるし、やはり少しホーンの存在感が気になるものもある。実際のところ、やはりかなり微妙である。3つのユニットをリスニングポイントから等距離に持って来る、という厳密な(?)タイムアライメント設定であれば、正解はひとつのはずなのであるが、まだまだ試行錯誤の余地がありそうである。

物理的なタイムアライメントを行っているスピーカーシステムでは中域、高域の各ユニットを徐々に後方に位置させるような例もあるが、果たしてどうなのだろうか。低域のユニットをベースとして中域、高域を僅かに後方に傾斜させるような構成をイメージし、それに合わせた設定値に変えてみる、という誘惑に抗し切れない。そこで、えいやなのであるが、中域を-23.5cm(低域より3.5cm後方)、高域を12cm(低域より4.0cm後方)という設定値としてみた。根拠は全く無い。

おりょりょ、イケてる! 
プレゼンス感の向上を損なわずにある種のしっとり感もあり、ホーンやツィータの存在感が薄れる。音の広がりや表情も悪くない。でも、これが自信を持って「気のせいではない」と云い切れない微妙さも残る。

アナログのチャネルデバイダーを永らく使い続けてきたので、このようなデジタルディレイに関する経験値がなく正に初心者なのであるが、使いこなせればそれなりの効果のある機能と改めて感じた。ただ、やはりこれは従来の経験値に頼った「聴感」だけので判断では、ベストな調整ポジションを見つけることはかなり難しく、また危険でもあろうと思う。現状ではこのタイムアライメント補正状況について正しく把握できるようなツールも持っていないので、今後はこの辺りの調査・勉強をしてみようと思う。ふと、思い出したのであるが、DEQXの場合は、確か測定サービスや測定ツールのキットがあったような。もちろん周波数補正のレベルにとどまるのか、タイムアライメントまで踏み込んでくれるのか浅学にして不明であるが、ちょっと調べてみようと思う。また、現在の設定値はまだまだベストとも思われないので、ここはあせらずにじっくりと聴き込んでみようと思う。ただ、可変要素が多くなりすぎて、やはり泥沼となる予感が、、、


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