オーディオ日記 第34章 ブレークスルー(その13) 2014年10月24日


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言葉をいくら紡いでみても音楽そのものから得られる感動を表すことはできない。Mozartの音楽は天上世界にあり、楽しく明るくそして哀しみに満ちており、この年になるとその調べはいずれ訪れるであろう我が人生の終焉へと誘っているようにも思えて仕方ない。年を取ると感受性が衰え、感激も涙も乾いてくると人の云う。そうなのか、そうじゃないのか、今の自分には判らない。だから音楽を身近においてそれにいつでも浸っていたい。オーディオは音楽を聴くためにあり機械いじりのためにあるものではない、と素敵な音楽と出会えた瞬間は強くそう思う。(機械いじりの楽しさは決して否定しないが)

一方で我がオーディオが機械であることを忘れさせてくれるような音楽を奏でてくれなければ、そのために四六時中どうすれば良いのか考えている自分がいる。それは見果てぬ夢なのか、もう少しで手の届くものなのか。音楽とオーディオに魅せられた魂に約束の地はあるのか。そしてそれを尋ね当てることができるのか。終わり無きオーディオ道の遍路のようにも思えることもある。

デジタル音源の再生において、いまひとつの納得を得たいためにあれこれと試行錯誤しているが、その過程でデジタル絞りがどうも自分の感性には合わない、ということが段々と見えてきた。通常の使い方であれば、CDトランスポートであろうとPCオーディオであろうとそのままD/A変換してしまうので、ほとんどデジタル絞りなどの問題は発生しないのだが、当方の構成では変則的なデジチャンの使い方、変則的なマルチアンプシステムとなってしまっているため、音量調節機能をデジタルボリュームに求めざるを得なくなってしまっていた。3wayの段階では6chプリアンプをマスターボリュームにしていたために大きな課題にはならなかった。しかしそこから4wayへのチャレンジを開始したため、変則的な音量調節をせざるを得なくなり、路地に迷い込んでしまったようだ。二重のデジタル絞り(ソフトウエアボリュームとデジチャンの出力レベル絞り)の弊害だ。

これを解消すべく基本に立ち返り、まずは6chプリアンプでアナログでの音量調節を行うことに戻し、ソフトウエアボリュームの使用を停止。さらにデジチャンでのドライバーの能率差を吸収するレベル調整(これもデジタル絞り)をミニマイズするために、アンプ~ドライバー間に固定アッテネータを挿入した。固定アッテネータについてはありもので先ずはテストし一定の評価が得られたので、さらに音質的な考慮をすること、想定の減衰値に合わせることを目的にDALEの巻線抵抗を調達した。ただし、シミュレーション値と全く同一の抵抗値がないので、近似値である。抵抗を繋ぎ直して音圧を測定し、ドライバーの出力レベルを確認する。固定アッテネータによる想定の減衰値は-12dBで、もともとのレベル差は-14.7dB。結果としてデジチャン上では-2.7dBの絞りが必要となる想定だが、幸いにもその想定値のままで他の帯域とバランスがとれた。気持ち的にはデジチャンで-0dBとしても良いかな、と考えたが抵抗であまり深くしぼることにもためらいがあってまずは-12dBを目標の減衰値とした。結果が良ければその後に抵抗値を変えてもという考えだ。

今回調達したDaleの巻線抵抗4本:


さくっと音楽を聴く。無言、、、、

ちゃんと血の通った音楽が流れてくる、、、

今までの馬鹿な自分に愛想がつきる。4wayへの挑戦が微妙な部分でうまく行かなかったのはむしろこのデジタル絞りのせいではなかったか? と頭の中がグルグル回ってしまう。デバイディングネットワークをかって製作した時の残骸の抵抗にてテストした出音と比すれば音の切れ、解像度とも格段に良くなっている。ドライバーをダイレクト駆動した場合とあまり遜色はないようにも思える。追い込みの微調整はこれからだと思うが、DALEの巻線抵抗に対する世の中の評判が高いことにも改めて頷ける。

翻ってデジタルの在り様について考える。44.1KHz/16ibtの器が不充分なものとは云い切れないが、その加工(演算処理)においては相当なマイナスファクターが発生しうることを理解しておかねばならないと思う。特に高域成分においてはそのエネルギーが小さいこともあって、演算(およびその誤差)によって音楽の質感がスポイルされてしまう恐れがあるのだ。アップサンプリング、ビットレート拡大によってその影響は小さく出来るものとは思うが、音への影響はやはり確実に出てくる。Bug Headにてオーバーサンプリング、ハイビット化した音と比して、VoyageMPDの44.1KHz/16bitのままの音により納得感を持てなくなっていたのはこの辺りの理由によるものなのかもしれない。デジタルは大変恩恵の多い技術ではあるが、一方で過信は禁物ということ。音楽はアナログ波形で生まれ、そのアナログ波形を身体で感じるものなのだ。

一旦は袋小路から抜け出せたと思うが、この固定アッテネータ方式が完全解ではない。結果としてデジチャンでの-2.7dBの絞りも残っているし、別な方式もトライしてみたいと思う。また、6chプリアンプでは当然ながら3way分の音量調節しかできないので、Sub Wooferの音量は固定値になってしまっているという問題も残る。それでも今回のトライによって自分にとって本来目指すべき道に戻れたという点は大きいと思う。このあとの計画として、デジタル音源再生のための電源の見直しを行う予定なので、その期待もある。デジタル音源でアナログに遜色のない音が出せるのか、さらにチャレンジである。


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