オーディオ日記 第37章 夢の旅路は続く(その8) 2016年2月27日


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デジタルファイル音源を今後どのような機器構成にて再生させるべきなのか、ちょっと悶々としていることは 前回 記載した。いろいろと悩みながらもまずは現状のPCオーディオで出来るところまでやってみよう、ということで各種電源対策を施した「完全」なファンレスPCを製作した。 (製作過程については、 こちら で詳細を紹介)

ファンレスPC完成形(パワーアンプかと思わせる姿):

意気込みとしては、当方がPCオーディオに関して今までいろいろとやってきたことの集大成として、「ファイナルアンサー」となるようなオーディオ用PCを製作してみようというもの(ちょっと大げさかな?)。汎用PCベースでのオーディオ用途にはいろいろな障害や限界があることは承知しているが、一方でいろいろな発展性や柔軟性、工夫の余地があり選択肢も多い。やり方次第で高い能力を発揮できると考えている。もちろん、一般論的なオーディオ機器に比すればコストもとてもリーズナブルである。

汎用PCを使う上で課題となる点はいくつあると思うが、その最たるものは高速のCPUやマザーボード、ディスクドライブ(HDD、SSDを問わず)が発する高周波ノイズではなかろうかと考えている。これが電源線にコモンモード、ノーマルモードノイズとして乗り、デジタル信号に大きな影響を与えているということは、先にいろいろな実験を行った結果から実感している。NASやHUB、PC自体の電源ラインに対する ノイズフィルター挿入 によって想像していた以上に音が改善されるのだ。また、発熱やファンノイズも問題になる。しかし、ネットワークオーディオ機器やプレーヤー機能を持つNAS、HDD一体型オールインワンプレーヤであっても同様に(処理能力は違うであろうが)プロセッサーやディスクドライブ(ネットワークオーディオ機器は除く)を持っていることに変わりはない。高音質を目指してどのような設計、対策を行っているかがポイントなのだと思う。

汎用PCをベースにした場合、どのような対応を行えば「究極的なデジタルトランスポート」が実現可能なのか、それを考えた結果ハードウエア的には以下のようにしてみたらどうか、という素人なりにの結論に至った。電源周りのノイズ源そのものの最小化とその抑制が中心である。

1.ファンをすべて廃した(ATX電源ファン、CPUファン、ケースファンの類)完全ファンレス構成
2.構成するパーツはCPU、メモリ、マザーボード、OS起動用SSDのみ(音源はNASに置く)
3.CPU、マザーボード、SSDに対するDC電源ラインにすべてノイズフィルタを挿入する

ただし、現実的な観点ではファンレスを実現するハードルは少し高くなるのだがこれはやむを得ない。ソフトウエア的には、起動や停止が素早い軽量かつ安定したOSを採用する。OS立ち上げや音楽再生アプリの起動はスイッチポン以外は全くノータッチで済むこと。音源に関してはDSDを含め全方位の対応であること、iPad等のタブレット端末からの多機能かつシンプルな操作性とスピーディーな応答性は必須条件として考えている。

これらの我儘な条件を総合的にクリアーできるPC(もはや汎用PCではなく、音楽再生専用機だが)が実現できるものだろうか。その上で、望むレベルの音楽再生が果たしてできるものなのだろうか。様様な迷い(やはりLuminなのかDELAやfidataなのかと)の中で、これでもし満足できない結果であれば、PCオーディオを卒業する方向を模索せねばならないのではないだろうかと思案していた。

出来上がったPCは非常にシンプル。オーディオ機器的な雰囲気を持っていてくれて自己満足。音については昨日完成したばかりなのであまり浮かれた表現はできないが、幸いなことに楽器や声の表現がこうあって欲しいという次元に近づいたように思う。従来何となく感じていた「晴れ渡るような音の抜けの不足感」が改善されて、音の自然さと音色の気持ち良さが増し、しっかりとした楽器の存在感にも心を奪われる。これは今まで悪戦苦闘しつつ到達できなかった音楽表現だと感じている。また、一聴しただけで「音がとても綺麗」と云ってくれた家内の感想にも実のところ(本音で)ちょっぴり安堵。

さて、まだまだ未完の「究極のデジタルトランスポート」に向けたチャレンジであるが、やるべきことは多い。次はNASをターゲットとしてあれこれと工夫を加えてみたいと考えている。


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