若干の手間はかかったが、電電系ノイズ対策に関する多少のやっつけ勉強をしながら随分と楽しめた。NASについてはDELA N1Aを購入するつもりでいたのだが、現状はもうちょっと試行錯誤して対策と効果の因果関係を自分なりに整理してからにしようと思いとどまっている。また、追加のチャレンジとしてNAS筐体の強化、防振対策をやってみるつもり。また、搭載しているHDDをSSDに換装するというアイデアもあるのだが、容量として2TBはどうしても必要となるので、ちょっと躊躇している。SSDはやはりこの容量となるとまだまだかなり高価なので、適当な容量のもので試行してみるという手はあるのだが。
肝心の音なのだが、どう変わったのか、どう改善されたのか、言葉ではうまく表現することが難しい。強いて云えば、従来より当方のシステムにおけるデジタル音源再生で時に感じていた居心地の悪さ(アナログ再生に対するビハインド感と表現していたもの)がかなり解消して、より「素直な」音楽になってきたと思う。高域の透明感が上がったとか、より静寂感が増した、という積極的な音の改善の評価とは少し違うようにも思うのだ。ある意味では自然な音に近づいたのかもしれないが、そうだと云い切れる自信は無い。残念ながらまだまだ「オーディオの音」が歴然としてここに存在しているのだ。しかしながら、このいろいろな対策以前の音には決して戻りたくはない。大変ありがたいことにそう思わせてくれるチャーミングな音楽をここでは感じられるのだ。
より具体的な感想として、DSD音源の音は従来176.4KHz/24bitにダウンコンバートしたものをデジチャンにPCM入力しており、その方が音が良いと感じていた経緯がある。しかし上記の対策を行った現状の構成ではDSDのまま11.2MHzにアップコンバートし、USB DDC/DACにてD/A変換、デジチャンにはアナログ入力する時の方が音楽として何故かほっとするような感触がある。デジチャンへのPCMデジタル入力に随分と拘ってきた当方としては、実のところ少し(どころか大いに)困惑しているのだ。この理由、原因が今回の一連の対策のどこかにはあると思うのだが、決定的なところはわからない。PCオーディオ周り全体のクォリティが向上したことによって、USB DDC/DACが元々持っている能力が顕在化し実力発揮できるようになったとも考えられなくはない。元々アナログディスクの再生に於いては、デジチャンにアナログ信号入力をしており、それでもデジタル音源の再生よりは何故か優しい、と感じてきた訳だ。分析的に考えれば、DSD再生において従来の我が家の環境では何かボトルネックになるようなところがあったのではないか、との推測もできる。若干でもそれが解消された故に、本来のDSDとしての良さが感じられるようになったのかもしれない。もちろん冷静に考えれば、DSD音源をわざわざダウンコンバートすることで本来的には音が良くなる理屈はないし、VoyageMPDにおけるDSD音源を176.4KHz/24bitへダウンコンバートした音は(理由は不明であるが)感覚的に的に受け入れられずこれを避けてきた経緯がある。
率直に云えば、一連の対策と効果を含めて、またこのDSD周りの件も少しもやもやっとした消化不良で、自分自身を納得させられるような理屈が困ったことにつけられていない。そんな訳でこの対策を行ってからはDSD音源を(アナログ入力で)聴く比率がとても高まっている。やっとながら少しはDSDの魅力の一端を感じられるようなシステムになってきた、ということだろうか。しかし、DSDフォーマットの本領発揮にはまだまだ至っていないと思うので、さらにDSD周りの試行錯誤を続けてみようと思う。
一方で、44.1KHz/16bitのCDリッピングの音源である。このところ70年代あたりのJ-Folk(や他のオールディーズ)を中心にアナログ音源と音を聴き比べているのだが、結構いい感じかなと思う。もちろん、マスタリング等が同一ではない可能性もあるのであまり厳密な比較は意味がないだろうけれど、古い音源であっても声の魅力をある程度堪能できるようになってきてあまり分析に聴くのではなく「懐かしさ?」に浸れるのだ。デジチャンへはデジタル入力する方がキレとか押し出し感はあるので、やはりPCM音源はデジタル入力なのかな、と微妙な判定をしている。はてさて、この先どうなるか。
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