2010/12/05
何をするにも言い出すのが唐突な民主党政権によって、家電エコポイントが12月よりほぼ半減になると突如10月になってから発表され、そのため11月末は、液晶テレビに代表される薄型テレビがかつてないほどの駆け込み需要で大変だったそうである。大型家電量販店では、店員への相談に整理券が配られ、売れ筋商品は店頭から払底し、折角購入しても現品が届くのは年末か、下手をすると年明けというような状況とのことである。
そういうニュースを見るにつけ、今年に入ってすぐに購入したのは、我ながらなかなかいいタイミングであったと思う。もっとも私が購入したあとも、薄型テレビは更に値下がりを続け、結果的には夏ごろの購入がもっともリーズナブルだったかも知れないとは思うが、まあそういうことを言い出したら切りがない。
とは言え、液晶テレビなどの薄型テレビは地上デジタル放送への完全移行直前くらいになれば、普及型がかつてのブラウン管テレビ並の値段で買えるようになるだろうという数年前の目論見は、今やほぼその通りになってくれた。そのくらい液晶ディスプレイというものは、以前に比べるとはるかに低コストで生産されるようになり、今やテレビに限らず、およそカラー表示ができるものについてはすべて液晶にとって替わったと言ってもいいくらいである。
それが証拠に、今我が家に液晶カラー表示ができる機器がいくつあるか数えてみたら、呆れたことに、これが何と11もあった。内訳は、テレビが1台、パソコンのモニタが5つ(デスクトップ用のもの2つ、ノートパソコン3つ)、携帯電話2つ、デジタルカメラ2つ、デジタルフォトフレーム1つである。
これらはすべて液晶と名のつく画面を持っているが、実際のところそれぞれの機器で使われている液晶画面は、どのくらいの解像度があるものなのだろうか。参考までに手元にある液晶カラー表示ができる機器の、それぞれのディスプレイ部の解像度を比較することにした。
液晶ディスプレイの物理的なサイズは、アスペクト比はそれぞれ異なるものの、大抵はディスプレイの対角線の長さをインチ単位で言うことで表示する場合が多い。4:3のテレビの時代からそのように言われているので、それがそのまま踏襲されているのであろう。
液晶の解像度は、単位長さあたりにどれだけのドットがあるか(dot per inch=dpi)で表示するのがよさそうである。対角線あたりのドット数は、三平方の定理により、(縦のドット数の二乗)+(横のドット数の二乗)の平方根を取れば出てくる。この数字を先ほどの「ディスプレイのサイズ(インチ)」で割れば、液晶ディスプレイのdpiがわかるわけである。
という計算のもと、手元にある液晶ディスプレイの解像度を計算したものが以下の表である。
製品 | 縦ドット | 横ドット | 対角インチ数 | dpi |
液晶テレビ | 768 | 1368 | 32 | 49 |
デスクトップPCモニタ1 | 1024 | 1280 | 19 | 86 |
デスクトップPCモニタ2 | 768 | 1024 | 17 | 75 |
ノートPC1 | 480 | 640 | 9.5 | 84 |
ノートPC2 | 600 | 800 | 8.4 | 119 |
ノートPC3 | 768 | 1024 | 12.1 | 106 |
デジタルカメラ1 | 288 | 384 | 2 | 240 |
デジタルカメラ2 | 414 | 552 | 2.7 | 256 |
デジタルフォトフレーム | 480 | 800 | 7 | 133 |
携帯電話1 | 240 | 320 | 2.4 | 167 |
携帯電話2 | 480 | 800 | 3 | 311 |
こうして見ると、液晶テレビは実サイズこそ大きいが、解像度としては一番大したことはなく、50dpi程度である。デスクトップPCの液晶ディスプレイも、大きさこそ大きめだが、解像度的には80dpi前後、ノートPCのそれでも100dpi前後である。昔はこの手の製品では「1つか2つ程度のドット欠けは仕様です」などと嘯いていたものであるが。
意外に健闘しているのがデジタルカメラのディスプレイで、私が持っているものも、決して新しいものではないのだが、それぞれ240dpiくらいあるから、小さいものとは言えなかなか大したものである。
そして、これらの中でも群を抜いて高解像度なのが、携帯電話2と書いたものであるが、これは実はアドエスである。最近、iPhone4が「網膜ディスプレイ」として高解像度液晶ディスプレイを売りにしていたが、このディスプレイは、640×960の3.5インチで、同じ計算式で比較すると330dpiである。これに匹敵するディスプレイを、シャープは既に3年前に世に出していたのだから恐れ入る。