保険と自費

自費診療との違い2

詰め物

 詰め物は保険に適用されている材料で作製する以外は自費になります。一般に、自費の材料は保険よりも高価でより良い性質を持った貴金属(腐蝕しにくく、硬すぎず、適合の良いもの)や、より審美的な材質(より天然の歯に近い色調や透明度のあるもの)といえます。

保険 自費
アマルガム
水銀と金属を練り合わせて合金にした詰め物です。削った穴に直接詰めます。どの歯にも行うことが可能です。

コンポジットレジン
プラスチック状の詰め物です。現在は光で固めるタイプが主流です。どの歯にも行うことが可能ですが、かみ合わせの面では長期間で磨耗してきます。

グラスアイオノマーセメント
詰め物用のセメントです。かみ合わせの面には強度が足りないため、使用できません。

光重合型充填用レジン強化グラスアイオノマー
コンポジットレジンとグラスアイオノマーの合いの子です。

インレー
金属を鋳造する詰め物です。削った後に型取りをして、石膏模型上で作製します。
金銀パラジウム合金、ニッケルクロム合金、銀合金が保険で認められています。
セメントで歯に付けます。

CRインレー
コンポジットレジンでインレーを作り、セメントで付けるものです。

セラミック(インレー)
セトモノです。磨耗せず、天然歯に近い透明感がありますが、破折する危険性もあります。

ハイブリッドセラミック(インレー)
コンポジットレジンとセラミックの合いの子です。

インレー
高カラットの金合金、白金加金などの貴金属は自費になります。

 

被せ物

 被せ物も詰め物と同様、材料によって保険と自費に分かれます。詰め物と同様、保険で使用できる金属は金銀パラジウム合金、ニッケルクロム合金、銀合金となります。

保険 自費
3/4冠
前歯に適用されます。歯を表、裏、両隣の4面に分けた場合、表側以外の面を削って金属を被せます。

4/5冠
小臼歯に適用されます。上記の他にかみ合わせの面を加えた5面のうち、頬側以外の面を削って金属を被せます。
神経が生きている歯でブリッジの土台になる場合には、大臼歯にも行なえます。

全部鋳造冠(=ぜんぶちゅうぞうかん)
いわゆる銀歯です。全ての面を削って金属を被せます。

硬質レジン前装鋳造冠
(=こうしつレジンぜんそうちゅうぞうかん)
金属の被せ物ですが、表側に硬質レジン(プラスチック)を用い、白くみせます。前歯(糸切り歯まで)のみが適用となります。

レジン・硬質レジンジャケット冠
金属を使わずに、レジン(硬質レジン)のみで被せ物にします。
基本的に前歯のみ適応ですが、適応と判断した場合は小臼歯まで可能です。金属に比較して強度が弱く、長期間の使用で磨耗してきます。

メタルコア・レジンコア
根の治療が終了し、被せ物をする際に、根の中に土台を補うものです(歯の治療についてに説明があります)。

3/4冠・4/5冠・全部鋳造冠・硬質レジン前装鋳造冠
高カラットの金合金、白金加金などの貴金属は自費になります。
また硬質レジン前装鋳造冠を糸切り歯よりも奥側に行なう場合も自費になります。

ハイブリッドセラミック前装鋳造冠
陶材焼付け鋳造冠(メタルボンド)
前装する部分にハイブリッドセラミックや陶材(ポーセレン)を用いたものです。

ポーセレン・ラミネートベニアクラウン
前歯の表側だけを削り、付け爪のようなポーセレンを貼り付けます。主に審美的な改善を目的として行なわれます。

メタルコア・レジンコア
被せ物が自費になる場合、コアも自費になります。
コアを保険、被せ物を自費という混在は認められて
いません。カーボン製のファイバーポストも自費で行なわれます。

 金属の表側を白くしたもの(メタルボンド)と硬質レジンのみのもの(ジャケット冠)の違いを示します。

前装冠(メタルボンド) ジャケット冠

 

ブリッジ

保険 自費
保険のブリッジは以下の式によって算定します。
まず、上の歯と下の歯にそれぞれ指数が割り当てられます。
上顎指数 2 1 5 4 4 6 6 4
歯の種類 1 2 3 4 5 6 7 8
下顎指数 1 1 5 4 4 6 6 4

ブリッジの抵抗力を次の式に代入します。

(r)=R-(F+FS)

(r)=ブリッジの抵抗力
R=土台になる歯の抵抗力
F=ダミーになる歯の疲労
FS=補足疲労

土台になる歯の両側がダミーとなる場合、その土台のRは1/2として計算します。

補足疲労は2歯以上連続するダミーとなる場合、その数が追加されます。
前歯で糸切り歯より手前の歯(左右両側の1番と2番)が連続して4本ない場合は保険で認められていますが、それ以外で連続して3本以上のダミーは認められていません。

延長ブリッジでのダミーの補足疲労は1/2になります。ただし、保険で認められる延長ブリッジのダミーは2番、4番、7番のみになります。

(r)が0以上の場合、保険でのブリッジが可能です。
具体的な算定例として、
上顎の12345ブリッジ(赤がダミー)の場合、
R=2+(5/2)+4(1、3、5番の指数。3番の両側がダミーのため、1/2として算定します)=8.5
F=1+4(2、4番の指数)=5
FS=0

(r)=R-(F+FS)=8.5-(5+0)=3.5
(r)=0以上のため、保険適応のブリッジとなります。

土台になる歯には上記の被せ物が適応されますが、レジン・硬質レジンジャケット冠はブリッジの土台として認められていません。
ダミーを前装鋳造で作る場合、3番までしか認められていません。
ただし、3番と4番が連続してダミーになる場合には4番も前装鋳造できます。

保険での計算式に当てはまらないブリッジは自費になります。

また、土台になる歯の被せ物が自費となる場合には、ブリッジ全体も自費になります。

 硬質レジン前装冠(金属部分は金合金)と陶材焼付け鋳造冠を用いたブリッジを示します(両方とも自費のブリッジ)。硬質レジンの場合、かみ合わせの面は金属になります。

硬質レジン前装冠 陶材焼付け鋳造冠


 

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最終更新2006. 4. 1.