1本あるいは数本の歯がなくなったときには、何もしないでそのままにしておくこともあります。奥側の歯がないものを、専門的には短縮歯列弓(たんしゅくしれつきゅう)といいます。
そこに人工の歯をつくるためには、前後の歯を削ったり、人工物のせいでかみ合わせが変わるなどのデメリットもあります。機能的に問題がなければ、できるだけ他の歯には処置を加えないといった考え方に基づいています。ただし、機能や審美で問題がある場合には、下記に説明するいずれかの処置を用いる必要があるといえます。
前後の歯を削って、歯が並んでいるような連続した被せ物をセメントで付ける方法をブリッジといいます。変則的に、一番奥の歯などを手前の歯を土台として支える方法を延長ブリッジといいます。つくる手順は被せ物に準じます。
ブリッジのために歯を削る際には、平行性に注意しなければなりません。
神経が生きている歯と、神経が死んでいる歯をブリッジでつなぐこともあります。また、平行性を確保するために、削ったときに神経が出てしまうような歯は、虫歯でなくても神経を取らないといけないこともあります。
保険と自費のブリッジに関するページもご参照ください。
うしなった歯の数が多いと、ブリッジでは無理な場合があります。その際の一般的な選択肢は部分入れ歯です。残っている歯にバネをかけたり、特殊な装置を組み込んだりします。
1回目で型取りをします。あるいは1回目の型取りでその人専用の型取りの枠をつくってから、2回目に精密な型をとることもあります。
2回目にワックスの塊でつくった入れ歯の元になるものを口の中で調整し、かみ合わせの高さや位置を決めます。
3回目にワックスに人工の歯を並べた仮の入れ歯を入れて、歯の位置や入れ歯の大きさなどの調整をします。
4回目に完成した入れ歯をいれます。入れ歯に大きさや装置によって、多少方法は異なります。
入れ歯は専門的には義歯(ぎし)といいます。人工臓器ですので、体に合った状態で機能させるためには、何度か細かい調整が必要となります。
保険と自費の部分入れ歯に関するページと入れ歯ができるまで(全部入れ歯の場合)も、ご参照ください。
人工の根を骨の中に埋めて歯の形をつくるといった方法はもあります。
骨の高さや幅によっては、インプラントが難しい場合もあります。
基本的な方法は、人工の根を骨の中に埋めてから、上顎では6ヵ月、下顎では3ヵ月待って骨とインプラントがしっかりとくっつくのを確認してから、歯の部分をつくります。
現在はインプラントを埋めて、すぐに歯の形のものを入れる製品も出ていますが、成功するための条件は限られているといえます。
専門的にインプラントを解説したページもご参照ください。
口の中の状態や希望によって、後から違う方法を選択することもあります。
(左 : 延長ブリッジ、中央 : 部分入れ歯、右 : インプラント)
うしなった歯の状態から、ブリッジと部分入れ歯を組み合わせるといった治療法もあります。
最終更新2005.4.8.