2025年11月の映画  戻る
爆弾 
2025年 日本 137分
監督 永井聡
原作 呉勝浩『爆弾』
出演 佐藤二朗(スズキタゴサク)/山田裕貴(刑事ルイケ)/染谷将太(刑事トドロキ)/坂東龍汰(巡査長ヤブキ)/伊藤沙莉(巡査コウダ)
メモ 2025.11.30(日)大阪ステーションシティシネマ
感想
呉勝浩『爆弾』の映画化」 日曜日の映画館は満員でした。
警察組織を翻弄し、警察官の体だけやなく頭脳、心をも試し揺さぶる。
爆弾をしかけた人々がなんでこんなことをしてはるのか・・・よくわからん と思って見てた。何を感じればいいの。
巡査たちの行動も不明やし。
が、なんとなくまとまった感じで終わった不思議な映画
 
宗教をみんなが信じていた頃は閻魔様に怒られ無間地獄に落ちるとかで人を傷つけ殺めるのを抑止してたかもしんないけど(織田信長を除く)
あの世の地獄が無くなったら、「失うものが無いと思っている自暴自棄な人」を何を持って推しとどめられるんかな。と思う。
★★★1/2戻る

国宝 
2025年 日本 175分
監督 李相日
脚本 奥寺佐渡子
原作 吉田修一『国宝』
出演 吉沢亮(立花喜久雄=花井東一郎)/横浜流星(大垣俊介=花井半弥)
メモ 2025.11.21(金)OSシネマズ神戸ハーバーランド
感想
さらなる高みへ、見果てぬ世界に
 
以前、関ジャニが女の子のカッコしてて(キャンジャニと言うらしい)、くらこ(大倉)が一番かわいく案外昴が思ってたほどやないな。顔が整っているからといって女装が似合うわけやないねんな。横浜流星と吉沢亮はどっちも端正やけど吉沢亮の方に軍配上がるかと思って見てた。
が、横浜流星の見せ場の凄みを見てると、万菊(田中泯)さんが吉沢亮に放った言葉『あなた、顔に食われないようにね』の意味がわかる。
顔やないというのが、ここに繋がるのか(と勝手に思う)
 
『鷺娘』って瀕死の白鳥みたいと思ったあたしって・・・日本人として恥ずかしい。
けど考えるにバレエの映画は割とあるけど、歌舞伎の映画ってそんなにあるかな。日本映画をあまり見ていないからかな。
動きのある華やかなシーンを繋げ、よったり離れたりできるのは舞台にない写真にもない映画の魅力と思う。
本作が世界中に向けて配信されるやろうことは、ほんま喜ばしい。
 
この子も男の子やったら運命変わっていたかもな、と思う。血もやけどまず男なんや。寺島しのぶさんはどう思ってはんのかな。美しく、やけどカストラートの様にいびつで残酷でもある。
★★★★1/2戻る

わたしは異邦人 昼のアポロン 夜のアテネ
2024年 トルコ 112分
監督・脚本 エミネ・ユルドゥルム
メモ 2025.11.17(月)第七芸術劇場
あらすじ
孤児として育ったダフネが、イスタンブールから一枚の古い写真を手に母を探して「古代の遺跡が残るシデという町」にやってくる。この町に母を見たという人がいるらしい。
感想
トルコのエミネ・ユルドゥルムという監督さんの初長編作品だそうです。
風変りな映画。口ばっかりのひと達やわ(^^)と思ってたら、言葉を忘れたひともいて色々。
悠久の映画というとインドや中国のお家芸かと思っていたけどトルコもか。
後ろをぼやかしていて、そこにぼやっとしたひとがちらちら映り、そちらに目が惹きつけられるというシーンが4つくらいはあったかな。
面白い。
落語の小言念仏のような口やかましいじっちゃんが住み着いているホテルの夫婦エピソードがコミカル。主人公がじっちゃんに秘密を知られたらややこしいとアタフタするのに笑った。喜劇やら悲劇やら様々。
★★★★戻る

火の華 
 
 
 
2024年 日本 124分
監督 小島央大(こじまおうだい)
脚本 小島央大/山本一賢(やまもといっけん)
出演 山本一賢(島田東介)/松角洋平(伊藤)/田中一平(田中)
メモ 2025.11.12(水)大阪ステーションシティシネマ
感想
2016年の自衛隊日報問題(イラクや南スーダンに派遣されていた時の日報を、防衛省と自衛隊が廃棄したと説明したのに存在していた)にインスパイアされて作成された映画だそうです。
日本政府、自衛隊、在日アメリカ軍の隠蔽体質と派遣された隊員のPTSD(阪本順治監督の『半世界』でも描かれていた)を問題提起する骨太な作品。
 
多くの人が疑問に思っている・・・だろう事「有事の際、自衛隊は敵と戦えるのか?人を殺せるのか?」を改めて思う。
地上戦は難しいかもしれない。英国やドイツがずっと軍を海外派兵しているのは軍の技術と歴史を存続させるためもあるんやろな。(人殺しの)
エマニュエル・トッドさんが言う「日本は核武装した方が攻撃に対しての抑止力は高く費用も効率的」なのかな。なんてちっぽけな頭は思ってしまう。
被爆国が核ミサイルを持ち日本海とか深い海に原潜を潜ませてええんやろか。「核をもたない国」やからこその信頼は消える。
それとも『ハウス・オブ・ダイナマイト』が言っている様に「”核兵器を削減すれば世界は平和になる” そんな時代は終わった」んかな。
 
打ちあがる花火を見ていて2024年にカナダのモントリオールで開催された国際花火大会で大曲の花火が3位になったとか。上位の国は音楽とか合わせてパフォーマンスが高いとか読んだけど、日本の花火は鎮魂なんやとあらためて思う。思って見てた。
が、最後の花火は「ダモクレスの剣」の様でした。
★★★★戻る

ナイトコール 
ベルギー マグリット賞作品賞
2024年 ベルギー/仏 90分
監督 ミヒウ・ブランシャール
音楽 ペトゥラ・クラーク「La nuit n'en finit plus」終わりのない夜・・長い夜・・なかなか終わらない夜 かな
キャスト ジョナタン・フェルトル(鍵屋マディ)/ジョナ・ブロケ(テオ)/ロマン・デュリス(ヤニック「動物界」)/ナターシャ・クリエフ(クレール・ジェリー)
メモ 2025.11.3(月)テアトル梅田
あらすじ
「ブラック・ライヴズ・マター」のプラカードを持ったデモの人波でブリュッセルの夜は騒然としている。若い黒人が警官に射殺されたらしい。
その夜、鍵を紛失した人のために錠前屋の商売をしているマディは女性からの依頼電話を受ける。
感想
ベルギー発夜の街を駆けるサスペンス。黒人を含む非白人への人種差別、デモに参加する人、暴力、そして非情になり切れない人々の一夜
自転車で地下鉄に逃げるシーンがとってもスリリングで、あの下りのスピードをどうやって撮ったのかな。ドローンかな。
ベルギーのミヒウ・ブランシャールという監督さんの初長編監督作品だそうです。
 
ベルギーというとエルキュール・ポワロやねんけど、知人が旅行中子供達に囲まれウエストポーチからごっそり抜かれるというスリにあった(30年くらい前)と聞いたことがある。夜の電車で眠りこけていてもたいがい無事な日本とは違うんやろな。先日三ノ宮で斜め掛けしていたポーチのファスナーが開いていると教えてくれる人がいて。知らない男の人やったけど、仕事で中国と日本を行き来してるんやって。(平和ボケした日本人のアタシを反省しました)
★★★★戻る

サムシング・ハプンズ・トゥ・ミー QUE NADIE DUERMA 誰も眠てはならぬ
2023年 スペイン/ルーマニア 122分
監督 アントニオ・メンデス・エスパルサ
原作 フアン・ホセ・ミリャス
オペラ「トゥーランドット」アリア「誰も寝てはならぬ」
キャスト マレーナ・アルテリオ(ルシア)/ロドリゴ・ポワソン
メモ 2025.11.1(土)テアトル梅田
感想
うーん不思議な映画やった。古風な感じもする。オペラと絡めて実験的・・・なのかな。
タクシードライバーの話と聞いて「ナイト・オン・ザ・プラネット」みたいかなと思っていたけれど、違うか。
『ヒッチコック経由のシャンタル・アケルマン』というどっかの書評はイミフやけど、確かにシャンタル・アケルマン(「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス湖畔通り23番地)かもしれん。
 
20年勤めた会社が倒産したルシアは、生活のためタクシー運転手になりマドリードの街を走る(個人タクシーの営業がすぐできるらしい)。
老いて介護の必要なお父さんと暮らしているが上階からオペラが流れ、導かれるように部屋を訪ねると素敵な男性が現れる。
その男性はすぐいなくなっちゃった。でもタクシーにいつか乗って再会できるかもと夢見てる夢子ちゃんやねん。妄想型とも言える。
その思いは募り、アリアを習いだしチャイナ服のようなものを身に着けだす。頭はお団子にしてかんざし(箸に見える)をさす。
面白いねんけどなんだか怖くなってくる。
 
階上から聞こえてきた曲はオペラ「トゥーランドット」のアリア「誰も寝てはならぬ」らしい。
「トゥーランドット」って曲名は2006年トリノ五輪アイススケートの荒川静香さんの演技曲ってことで知ったんやけど、今回どんなお話なのかグーグルさんに訊ねてみた。
 
中国の絶世の美女トゥーランドット姫は心は氷の様に冷酷で、求婚者に3 つの謎を与える。その謎が解けなければ斬首!(すでに何人もの男が露と消えている模様)。姫の美貌にとらわれた王子カラフは全ての謎を解くんやけど、お往生際の悪い姫が渋り、カラフは「翌朝までに私の名前をあてれば身を引きましょう(潔く斬首されましょう)」と告げる。そこで姫は「名前がわかるまで寝たらあかん」と国中にお触れを出す。(寝なければ翌朝にならないのか)
それを知ったカラフは「誰も寝てはならぬ」と歌い♪勝利宣言する。とかなんとかロマンティックかつ残酷な話らしい。(「カラフ王子と中国の王女の物語」「謎かけ姫」)
なるほどねえ。恋って残酷なのね
★★★★戻る