ボタンは見つからないしスケジュールもおして心がざわついているのに、カナダにいる妹はどこに来ていったらいいのかわからないやたら派手なブラウスを送ってくるし、客は
いらんことに時間をかけるし、終わってもすぐに帰らないみたい。またじゃがいもが茹ですぎになってしまう。ああまだ皮も剥いていなかった。それでも帰ってと言えない。これはないはずのものだから。
193分ほぼ会話がないのに、これだけのことを想像してしまう映像作品。すごい。赤ん坊をあやしているシーンに肝が冷えた。
電話は誰に助けを求めようとしたんやろう。
題名の「ブリュッセル1080、コメルス湖畔通り23番地」は新聞広告と思う。
岩下志摩さんが昔自分にとって一番難しい演技は主婦役で台所で包丁を使うシーンと言われていた。
夫の篠田監督が「きみは女優なんだから」と一切の家事禁止やったらしい。
岩下志摩さんほどやないかもしれんけど、女優さんが毎日やってますわと朝コーヒを作り、ベットメイクをし、洗い物をして買い物に行き、バスタブを洗い、じゃがいもの皮をむいて夕食を作る。主婦の鏡みたいに家事をこなしていく演技はたいへんやろなと思う。これもすごい。