2024年11月の映画  戻る
三万両五十三次 
1952年 日本 65分
監督・脚本 木村恵吾
原作 野村胡堂
メモ 2024.11.28(金) アマゾンプライム
あらすじ
時は幕末、黒船がやってきて脅しヤレ開国だ閉国だとてんやわんやの中、開国派の堀田備中守は反対派の京都の公家たちを懐柔するための賄賂資金三万両を京都所司代に送る策をたてる。備中守が自らその大任に指名したのはなんと”ひょうたん”こと馬場蔵人。蔵人は”やらかして”お役御免となり浪人の身であった。
感想
面白かった。楽しい。
家老が「お役目(の人選に)”ひょうたん”とは。殿は何を考えておられるのやら」と首をひねりながら夜食をとっている。
肝の据わった奥方がゆったりと「蔵人殿とは。小百合は見る目があったのですね」と言う。
えっと目を剥く家老。寝耳に水とうろたえる。
国を揺るがす大事なお役目より、わが娘の方が一大事なの。こうゆうユーモアが愉しい。
 
三万両を運ぶ一行、目くらましの花嫁行列、阻止しようとする佐幕派の一行、おこぼれをかすめとろうとする盗賊牛若小僧、一万両の瓢箪をとりもどそうとする茶屋女のお蓮、蔵人の身を案じ追いかける小百合、そして山際三左衛門が三島の宿、瀬田の唐橋とからみあう。
盗賊牛若小僧とお蓮はまあ別として、このお話には悪人がでてこないねん。それぞれがそれぞれの思う所のお役目をはたそうとしている。
山際三左衛門は逆恨みっちゃあ逆恨みなんやけど、本人曰く「大任を蔵人にとられ、妻にと望んだ小百合殿までも・・・(踏んだり蹴ったり)武士の面目丸つぶれ」と脱藩してまで蔵人を斬ろうと追う。
とお話がよくできている。
 
その上をいくのは目をみはる映像。1952年(昭和27年)の作品で大河内傳次郎さんは54歳くらいみたいなんやけど、なんやのこの身軽さは。
三島の宿の階段を滑り降り、がきんちょの手を取って走る! びっくり! バスター・キートンみたい。
大勢の敵に襲われるシーンでは右に左に剣をふるい、跳ねては斬る。乱闘では構えだの間合いだの呼吸をはかる、なんてよりも有効なんやね。
 
大河内傳次郎主演映画の再映画化だそうです。
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ロボット・ドリームズ ROBOT DREAMS
2023年 スペイン/フランス 102分
監督・脚本 パブロ・ベルヘル
アニメーション監督 ブノワ・フルーモン
原作 サラ・ヴァロン
メモ 2024.11.25(月) テアトル梅田
あらすじ
双子タワーの貿易センタービルがあり、携帯電話はなく、TVはブラウン管でラジカセがあった頃のニューヨークの街、DOGは友達も恋人もなく孤独だった。
感想
空を飛んでいる小鳥の目線が俯瞰図になっている。小鳥による空撮が面白い。
そして、ロボットと花々との踊り。実写では難しいことがアニメでは軽々とできる(ように見える)。楽しい。
ちょっとせつないけど相棒物語がいいな。ラスカルの仕事ぶりもよかった。ええヤツやねん(つくづく思うねんけど、、、、色々修理できるひとが好き)
 
スペインの監督さんによるセリフのないアニメーション作品
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ゴンドラ 
2023年 ドイツ/ジョージア 85分
監督・脚本 ファイト・ヘルマー
キャスト ニニ・ソセリア(ニノ)/マチルド・イルマン(父親の後を継いだイヴァ)/ズカ・パプアシヴィリ(駅長)
メモ 2024.11.18(月) テアトル梅田
感想
茶目っ気のある森のエルフ(妖精)がたわむれているお話。ビバ! 
 
いや、違うな。
赤いゴンドラが渓谷をとつとつと渡っていく絵を撮りたかった監督が、そのために作った物語。
ゴンドラはコスプレもする。面白いねん。むすっとしたおばあさんもいいな。娘やったんか。花束をぽいっとされる駅長さんはちょっとかわいそう。
ドイツ人の監督さんが、ジョージアで撮ったそうです。セリフのない総天然色の映画
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動物界 
2023年 仏 128分
監督 トマ・カイエ
脚本 トマ・カイエ/ポリーヌ・ムニエ
キャスト ロマン・デュリス(父フランソワ)/ポール・キルシェ(息子エミール)
メモ 2024.11.8(金) 大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
人間が徐々に動物に変化していくという奇病が世界中に広がっている。狼や豚、犬といった哺乳類だけではなく蛸、カメレオン、鳥と多様で”新生物”と呼ばれる。
ベルギーは人間と”新生物”の共存をめざしているらしいが、ここフランスでは家族から引き離されて施設に隔離され治療と言う名の薬漬けだった。
感想
とうもろこし畑の空撮と夜の森の映像があざやかで美しい。父が逃げる息子を抱きしめるシーンが胸をうつ。
 
新しいような、懐かしいような。久しぶりにランナウェイという映画を見たような気もする。
フランソワの息子エミールが森で”迷って”保護された時、憲兵隊は「(新生物に)襲われなくてよかった」という。襲っている(狩っている)のは人間の方やないの。
 
”新生物”は手塚治虫の「きりひと賛歌」とは違い、体のつくりの変化から徐々に言葉を離せなくなりペンを持つ事もできなくなっていく。
意思疎通も出来ているのやら出来ないのやら。
”新生物”にならなくても、精神の病気とか痴呆症、また怪我とかで体の機能が奪われていく時、人は健常者の枠からはずれていくねんなと思う。
それだけではなく周りとちょっと違う人、少数と思われる人を排除したくなる「料簡の狭さ」を言われてるのかもしれない。
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リトル・ワンダーズ RIDDLE OF FIRE
2024年 米国 114分
監督・脚本 ウェストン・ラズーリ
キャスト チャーリー・ストーヴァー(ヘイゼル)/スカイラー・ピーターズ(ジョディ)/フィービー・フェロ(アリス)/ローレライ・オリヴィア・モート(魔女の娘ペタル)
メモ 2024.11.7(木) テアトル梅田
あらすじ
ヘイゼルとジョディの兄弟にアリスを加えた3人は「不死身のワニ団」を結成しペイント銃を体にくくりつけ子供用バイクをかっとばす悪ガキ。
物は買う者ではなく盗むものという3人組のやらかすことは、子供のイタズラの範疇を軽々と越え「それ、犯罪ですよ」の域にある。
というちびっこギャングなもんで、ママのためのブルーベリーパイを作るのに必要な「ブチのある卵」の最後の1パックをかすめ取った男、許すまじ。
取り返そうと後をつける。
感想
最初は「ククーシュカ−ラップランドの妖精」みたいな女の子が出てきて北欧映画かと思ったら、映画「シェーン」のような山脈(ロッキー山脈?)が現われ舞台は米国の「ワイオミング州」らしい。次々流れる題字はウェスタン調(監督さんが作ったとか)。
16ミリフィルムの淡くそしてザラザラした雰囲気も楽しい。おおらかな人とこすっからいヤカラ、そして無法者が混在しているアメリカ西部の冒険物語。
ヘイゼルが銃を撃つ時、唾をつけていたように見えたけど。(映画「ヨーク軍曹」みたいに)
魔女団の魔女の弟マーティが監督さんらしいです。監督が好きなものを好きなように詰め込んでこれだけのものを作りだしたのは、たいしたもんだと思う。
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タイムカット TIME CUT
2024年 米国 91分
監督・脚本 ハンナ・マクファーソン
キャスト マディソン・ベイリー(ルーシー)/アントニア・ジェントリー(サマー)/グリフィン・グラック(クィン)
メモ 2024.11.1(金) NetFlix
感想
21年前4人の高校生が惨殺されるという事件が起きた。犯人は今もって捕まっていない
ティーンエージャーのルーシーの姉サマーは4人目の被害者だった。
2024年、姉が殺された日、殺された場所でルーシーは機械を見つける。それはタイムマシンだったらしくルーシーは21年前の2003年に飛ぶ。
高校に行くと姉はまだ生きていた。
そこで姉を殺人鬼から救い、めでたしめでたしとなるのを脚本家は凡庸と思ったらしい。
ルーシーは18歳くらいで姉が殺された時代にはまだかけらもない。
それはタイムトラベルしても過去の自分とあわないためかなと思っていたら、違っていた。
ルーシーはサマーがいなくなってぽっかり心に穴があいた両親が新たに作った子供だったのだ。
もしも姉サマーが殺されなかったら、私は生まれてこれないんちゃう?とルーシーは悩む。
 
まあここまではよかってん。
そこからがメタメタ
えっ、いったいどういうこと? とびっくりの場面が現われる。
どうもある時点で過去が変わったことで分岐してパラレルワールドもどきになったらしい。
わけわからない
そうやったら行方不明者1名とか最初からほのめかしておいた方がいいんじゃないの。
だいたいルーシーが見つけたタイムマシンのエネルギーは何故残っていたの? 題名TIME CUT(時間短縮)って何のこと?
一晩寝て思いついたのは、過去が変わりルーシーが過去に行く理由がなくなり一回目のタイムトラベルはなかったことになったのね。
(記憶は残っているけど)
 
20年前のイケテルファッションやガールズポップを「ママのティーンの頃はあんなんやったん」と母娘で楽しむことはできる 様に思う。