2025年10月の映画  戻る
見はらし世代 
2025年 日本 115分
監督・脚本 団塚唯我(だんづか ゆいが)
出演 黒崎煌代(蓮)/遠藤憲一(高野初はじめ)/木竜麻生(恵美)/井川遥(母)/菊池亜希子(さくら)/中村蒼(恵美の彼)
メモ 2025.10.30(木)テアトル梅田
あらすじ
花屋で配達の仕事をしている蓮は、配達先で疎遠になっている父を見る。
感想
登場人物は寡黙で説明は少ない。そうなんや、昔の日本映画(小津作品とか)みたいと思ってたら説明の必要がないというか、出来ないのがわかってくる。
最近ネットで「中国人には自分自身と国家しかない(だから愛国心がやたら強い)」と書いてあるのを読んでんけど、この映画をみると日本人にはまだ家族、友達、会社、地域と所属するものがあるのかもしれない。
 
カメラは、横に縦にと移動するのを見る側に意識させる様に動き、『見はらし世代』という題名がどういう意味かはわからないけど、自然であれ人工であれ街は平面ではなく立体なんやというのが感じられる。映画を見る前は「東京を見てもなあ」と思っていたが良かった。
 
蓮役の黒崎煌代は、『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』のひょうきんな役とは異なっていて大したもんです。
物語とは関係ないですが、設計事務所で思いだすのは就職した当時安藤忠雄の事務所ではエアコンは使わせてもらえない、月給は5、6万円と言われていたこと。徒弟制度ねえと思っていたけど今はどうなんかな。
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ハウス・オブ・ダイナマイト A HOUSE OF DYNAMITE
2025年 米国 112分
監督 キャスリン・ビグロー
脚本 ノア・オッペンハイム
キャスト レベッカ・ファーガソン(ホワイトハウス危機管理室のオリビア大佐『DUNE/デューン 砂の惑星 』)/ガブリエル・バッソ(安保副補佐官ジェイク・バリントン『ナイト・エージェント』)/イドリス・エルバ(大統領『刑事ジョン・ルーサー』)
メモ 2025.10.28(火)Netflix
感想
「”核兵器を削減すれば世界は平和になる” そんな時代は終わった」で始まる本作は、
  『傾斜が水平に INCLINATION IS FLATTENING』
  『弾丸で弾丸を撃つ HITTING A BULLET WITH A BULLET』
  『爆薬が詰まった家 A HOUSE FULLED WITH DYNAMITE』
の3章仕立てになっていた。続けて2度見る。
 
アラスカのミサイル防衛基地(迎撃基地)の警報が鳴り、午前9時33分(ワシントンDC時間)ミサイル(ICBM)が米国本土に向かって飛行しているのが探知される。水平飛行に移り着弾まで19分。戦闘体制の状況と人々の絶望、諦念、そして行動が描かれた本作は、『未知への飛行 FAIL-SAFE』と似ているかなと思いながら見る。
大統領夫人はアフリカで象の保護中と海外にいて、タカ派は軍人というのは違うかな。
緊迫した場面だけではなく、大統領が平和に女子バスケットチームを訪問している時も怖い。
ミサイルの迎撃は一回しかチャンスがないというのも怖い。500億ドルもするのに勝率は61%
「報復しなければ降伏ですが、報復するのは自殺です」と伝える人もいれば、口には出さねど「この際、敵国は殲滅してしまいましょう」と思っている人もいる。大統領は大量殺人者となる決断に苦悩する(トランプ大統領はやり返しウェルダンと迷わないんちゃうかな)
本作はマニュアルが多く出てきて電話の使用率が高い。電話についてはやはり電話が確実で早いのか映画だからか。マニュアル(ルール)は初めての経験でパニくっている時は特に大事なんやと思う。
振り返って日本人はマニュアルの整備とメンテナンスがヘタって言われているけど(同一性が高いから作る手間を省きたがる)、有事の際は大丈夫なんやろか。
 
10月18日の土曜日の朝9時20分からの映画を見るため眠い目をこすりながら地下鉄に乗り、イオンシネマ大日のチケットを取ろうかと映画館のサイトに行ったら土日は21時からのレイトショーに変わっていた! 仕方なく千林大宮ですごすごと引き返す骨折り損のくたびれ儲けで、映画館で見るのを断念した作品です。
輻輳していて難しいから家で何度も見直せて、これはこれでよかったと思う。
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グランドツアー 
カンヌ国際映画祭監督賞
2024年 ポルトガル/伊/仏 129分
監督 ミゲル・ゴメス
キャスト ゴンサーロ・ワヂントン(エドワード)/クリスタ・アルファイアチ(M モリー)
メモ 2025.10.14(火)テアトル梅田
感想
ビルマのラングーンで働いているエドワードは、ロンドンにいる婚約者のモリーから会いに行きますとの手紙をもらい駅で花束を持って待っていた。が、七年ぶりに会うモリーの顔が思いだせない。迫りくる「結婚」・・・の二文字がイタイ(>_<)。 後先考えずシンガポール行きの列車に飛び乗ってしまう。それは1918年1月14日のことだった。
それからマンダレイ、シンガポールのラッフルホテル、タイのバンコクでは殿下に会い、ベトナムのサイゴンでバイクの洪水、フィリピンのマニラ、大阪のうどん屋、上海のホテル、重慶、成都と巡る旅が始まる。
監督さんがアジアの面白いものを撮り、物語で繋いでいる。
先日観た「ザ・ザ・コルダのフェニキア計画」にはアジアはでてけーへんかったな。(しょっぱなの操縦士のオジサンは中国系みたいやったけど)
と思ってたもんで、この映画でアジアを堪能した。
 
なかでもひと昔前の北京の自転車の洪水みたいなサイゴンのバイクの波(バイクはホンダって呼ぶって聞いた)とタイの影絵芝居のインパクトが強い。
カラオケとかスマホも出てくるモノクロで幻想的で不思議な映画。川のほとりでおじさんが歌っているのが「恋をしたからしかたがない(サンダースの心情)」に聞こえてせつない。
最後はミトコンドリアは繋げられへんかったけど、生き切ったな と光がさした様。これをあざといと思うのをライトを写すことで軽減させていたのはすごいな
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ワン・バトル・アフター・アナザー ONE BATTLE AFTER ANOTHER 次から次へとバトル
2025年 米国 162分
監督・脚本 ポール・トーマス・アンダーソン
音楽 ジョニー・グリーンウッド
キャスト レオナルド・ディカプリオ(ボブ)/ショーン・ペン(警官ロックジョー)/ベニチオ・デル・トロ(空手のセンセイ)/テヤナ・テイラー(革命家)/チェイス・インフィニティ(ウィラ)
メモ 2025.10.7(火)大阪ステーションシティシネマ
感想
『マグノリア』『ブギーナイツ』のポール・トーマス・アンダーソン脚本、監督作品
ディカプリオ(ボブ)のほふく前進に笑った(^^)
 
「極右白人男性至上主義の秘密クラブ」対「極左集団」のバトル。今の米国では「政府」VS「反政府」でもある。
ちょっとビビリの男、いっちゃってる男、肝のすわった男の3人が登場する。
いっちゃっている男がむやみやたらに人を殺すわけではないという自分なりの規範を持っているのがまた不気味。
そのいっちゃってる男に対する女の方のイカレ具合もすごい。このひとは革命を起こしたいのか、単に自分の中の怒りエネルギーをぶちまけたいのか。わからない。
(「あたしのプッ●●はあんたのじゃない」(**))
 
くねくねと場所を移動するっていう映像が3か所ありここ見どころ
ひとつはベニチオ・デル・トロが違法移民を匿っている建物、ふたつめはワシントンDCに実際あるんちゃうという地下の秘密クラブ、そしてハイウェイ。
特に高低のあるハイウェイのシーンはスリリングやった。『続・激突!/カージャック』やったか『地獄の逃避行(バッドランズ)』を思いだす。(どっちかわからない)
加えて印象的なのは音楽。とっても変わっている−−−個性的。
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プロセキューター 誤判 THE PROSECUTOR
2024年 香港/中国 117分
監督 ドニー・イェン
キャスト ドニー・イェン(霍フォク)/マイケル・ホイ(判事)/フランシス・ン(検事)/ケント・チェン(オジちゃん検事)
メモ 2025.10.2(木)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
警察官の霍(フォク)達は悪者を捕まえて裁判所に送るが、首謀者は無罪となり刑務所送りとなるのは手先の小物ばかり。
色々と限界を感じた霍(フォク)は、艱難辛苦の七年後新任検事となる。
感想
格闘戦と法廷闘争が入り乱れて楽しかった。
麻薬の大物をやっつけるために検事になったはず、やのに冤罪事件に熱くなったりしてる〜と思ったら繋がっていて、みんなには見えないものが見えてたのね。
廃墟での銃撃戦、階段を転げ落ちる追跡、駐車場での襲撃、クラブでの奮闘、地下鉄の死闘と迫力あるアクションシーンが5回あり、
主人公は検事やから銃撃戦が少ない。これいいな。体をはった切れのいい格闘シーンの連続やけど、ユーモアもあって楽しい。
ローレンス・フィッシュバーンの様な殺し屋がダイハードしたり、安全靴みたいなのでボコしたり。紳士然としたふたりも結局は男で解決策は殴り合いかいってのが面白い。すっきりするんかな。
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