2025年6月の映画  戻る
親友かよ NOT FRIENDS
2023年 タイ 130分 
監督・脚本 アッタ・ヘムワディー
キャスト アンソニー・ブイサレート(ペー)/ピシットポン・エークポンピシット(ジョー)/ティティヤー・ジラポーンシン(ボーケー)
メモ 2025.6.30(月) 大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
大学受験を控えている高校生が、それぞれの思惑から力を合わせて短編映画作りに没頭する。
撮影監督、編集兼役者、録音、小道具何でも屋のふたり、そして監督ペーの総勢6人にエキストラの級友たち。
仲間のひとりボーケーは映画撮影監督のお母さんから機材を借り、予算は2万バーツ(約9万円)だ。
まずは本だ、脚本だと悩むペーは天命か物語を発掘し、6人であれこれ知恵を出し合いながら撮影を進める。
それは「想像力は知識よりも重要だ」(アインシュタイン)やし、(自分たちは)花火の火花に過ぎない かもしれんけど映像は残る なのだ。
感想
前半の効果音と音楽がコミカルで先生たちも面白い。インド映画もこういうとこあるしアジア映画独特のノリかもと思いながら映画への没入を始める。
ジョーのおおらかさや人懐っこさを見ていると似た同僚いたなーと思い出す。おおらか過ぎてやらかしたらしく上司に「君の常識は普通の人の常識と違う」と怒られてはった。おかしかった。
映画の中の映画作りはままごとのようでも、結構本格的な撮影シーンがかっこいい。レニ・リーフェンシュタールもあんな風に撮ったのかな。
「ミッションインポッシブル」と「テネット」のまねにも笑った。素朴で根源的な映画作りの楽しさを見た。
が、短編映画が完成まじかというところで転調するの。すったもんだの結末はいかにとドキドキ。映画を2つ見たような気持ちがする(もっと言うと、いっぱい見た)。
 
ボーケーのほっぺにホクロがあるのを見て、「ふたごのユーとミー」のミーとわかる。
監督のペーは「ふたごのユーとミー」の急に名前を変えたマークやったわ。雰囲気が違ってる。
観客をしんみりさせたり笑わせたりと巧みな映画やのに、またしても映画館はふたり。
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今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は 
2024年 日本 127分 
監督・脚本 大九明子(おおくあきこ)
原作 福徳秀介 『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』
出演 萩原利久(はぎわらりく・小西徹)/河合優実(かわいゆうみ・桜田花)/ 黒崎煌代(くろさきこうだい・山根)/伊東蒼(さっちゃん)/古田新太(風呂屋の主人)
メモ 2025.6.23(月) テアトル梅田
あらすじ
大学二回生の小西徹は雨も降っていないのに傘をさしてキャンパスを歩く。彼にとって傘は盾らしい。学食で凛々しくひとりご飯を食べているお団子頭の女子が気になる。
総合大学はサークルに入ってないと友達づくりが難しい。
感想
ジャルジャルの福徳秀介『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』が原作、『私をくいとめて』『勝手にふるえてろ』の大九明子脚本、監督作品
鴨川みたいやし今出川ということはこの学校は同志社なのかな?と思っていたら、千里山の関大が現れ、坂が見えるから文学部か。と当初混乱する。
しばらーくして若い女性がふたりいるのが、やっとわかる。髪型ちゃうのに寄る年波でとうとう若い子の区別がつかなくなったか・・・・
青い映画を見る感性ないかも。が、後から思い返せば結構重要な導入部であった
 
喫茶店でパンケーキ(やったかな)食べてまったりしたり、風呂屋の掃除をノリよくしてたから、いなくなったひとが今もいるみたいなさみしいところはあるけれど平和かー
大九明子監督は脳内会話とか、実際話し出すまでのタイミングが絶妙なひとやなあとかのんびり思っていたら、直球シーンで凍りつく。
血まみれの矢かナイフがびゅんびゅん飛んでくる。見ている方にも突き刺さる。痛い。
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あの娘は知らない 
2022年 日本 76分 
監督・脚本 井樫彩
出演 福地桃子(中島奈々)/岡山天音(藤井俊太郎)/安藤玉恵/諏訪太朗/久保田磨希
メモ 2025.6.20(金) アマプラ
感想
心にぽっかりと穴が開いたふたりが、次の頁を開こうかなとなっていく かもの数日間の物語
主演二人の雰囲気もいいし(福地桃子って俳優さんは少女にもおばさんにも見える)、映像もきれいやねんけど、76分が長く感じる。なんか乗れない。合わないみたい。岡山天音を配してもったいない。
 
何が合わないのか? 考えてみる。
笑わないのはいいけど、欠片もユーモアがないねん。
そもそも「あの娘は知らない」の「あの娘」って誰? 主役二人が好きだったそれぞれの相手のこと? 何を知らんの? 主役ふたりの相手への深い気持ち?それとも今の二人を知らないってこと?
もしくは運命の相手ってことをまだ知らない?
夜の海とか砂浜とか坂道とか畳の部屋とか陽光とか監督さんが撮りたい画と、その画の中に入れたいふたりのためにあちこち巡るストーリーを作ったみたい。映画というより作家会心の絵画か写真を連続で見ている様に感じる。
すべての画が決まっていて、どやと言われているみたい。それもさりげなく、花束を置くように。
 
エンディングを眺めていると最後に「監督 井樫彩」の字が流れる。井樫って名前、さっきも見たな。
映画中の「なんちゃら姫が島に流れ着いた」の紙芝居を描いた人も「井樫」さんやったし同じ苗字は身内の方なのかな。
彩って名前からも絵に秀でた一族なのかもしれない。
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アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓 AMERIKATSI アルメニア系アメリカ人
2022年 アルメニア/米国 121分 
監督・脚本 マイケル・グールジャン
キャスト マイケル・グールジャン(チャーリー)/ホヴィク・ケウチケリアン(絵描き)
メモ 2025.6.16(月)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
米国に渡って30年後の1948年、チャーリーはソ連政府のプロパガンダに誘われ、アルメニアに帰る。
それは北朝鮮への帰還事業と同じく聞いて極楽来てみて地獄の始まりだった。
感想
第一次世界大戦の頃、オスマン帝国の土地(と線引きされた)に住んでいたアルメニア人が殲滅されたとのあらすじを読んで、英国がバトルオブブリテンとかダンケルクの戦いの映画をとるんやから、資本や影響力のある国や人種だけやなく、世界中の国々があんなことされた、こんなことされた歴史を世界に教えるのはえーことなんちゃう。と思ったので見る。
が、トルコやソ連のことは確かに世界に広く伝えたい出来事ではあるやろうけど、うらみつらみは描かれない。賢い。
 
映画『裏窓』とか、バート・ランカスターのなんだっけ?(お茶友のことは言えない。調べました。『終身犯』でした)みたいでもあるし、見ようによっては『関心領域』でもあったりする展開。
囚人仲間のオジちゃんがアルメニアおたくで石を運びながら「キリスト教が国教になったのはアルメニアが最初」とか「ワインを作ったのはアルメニア」とか「聖書を漢訳したのはアルメニア」(←ちょっと笑った)ってあらゆることを自慢する。脚本・主演の監督さんは、じっちゃんがアルメニアから米国に渡った人とか。面白く見せてアイデンティティを誇り、ルーツの国の紹介が巧みなん。
そしてアルメニア人でありアメリカ人でもある自分を指すスラングの映画名がいいな。(コウノトリと幸せな食卓って邦題のおまけはまあ、なんというか。。。なんとも言えない)
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テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ THELMA
2024年 米国/スイス 99分 
監督・脚本・編集 ジョシュ・マーゴリン
キャスト ジューン・スキッブ(テルマ「アバウト・シュミット」のジャック・ニコルソンの奥さん)/フレッド・ヘッキンジャー(孫のダニエル)/リチャード・ラウンドトゥリー(ベン)/マルコム・マクダウェル/トム・クルーズ
メモ 2025.6.9(月)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ 
2年前に連れ合いと死に別れたテルマ93歳は一人暮らし。スマホにかかってきた”孫の危機”電話を信じてしまいへそくりをかき集め、1万ドルの入った封筒をポストに投函した。
ミスしちゃったとしょげるが、トム・クルーズに感化されたテルマはお金の奪還を自分のミッションとする。
感想
電動カートでのチキンレース、旧友の家のベッドで披露するアクションが楽しい。
年寄りには年寄りならではの戦い方があるんや。
パソコンも「わからないー。できないー」とは言わず孫に教えてもらいながら操作する。かくありたい。
 
テルマに引きずられるベン役のリチャード・ラウンドトゥリーって役者さんは「黒いジャガー」のシャフト役の方だったみたい。
テルマより若く見えるなと思っていたのですが、本作が遺作だそうです。
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秋が来るとき QUAND VIENT L'AUTOMNE
2024年 フランス 103分 
監督 フランソワ・オゾン
脚本 フランソワ・オゾン/ フィリップ・ピアッツォ
キャスト エレーヌ・ヴァンサン(ミシェル「セラヴィ!」)/ガーラン・エルロス(孫ルカ)/リュディヴィーヌ・サニエ(娘ヴァレリー「スイミング・プール」)/エレーヌ・ヴァンサン(親友マリ=クロード)/ピエール・ロタン(マリ・クロードの息子ヴァンサン「アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台」)
メモ 2025.6.4(水)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ 
ブルゴーニュの田舎で暮らすミシェルは家庭菜園や旧友のマリ=クロードとキノコ狩りの毎日。パリに住む娘と孫が訪ねて来るのを楽しみにしている。
感想
美しい映像に緊張をはらむ物語。サスペンス映画の様。
仲良しのふたりがきのこ狩りをしている所や、パリのアパート前でヴァンサンとルカが交差するシーンでこちらに起こるざわざわ感。
ほのぼのしてたり、なんてことない場面のはずなのに事が起こる前に不安を感じさせる手腕のフランソワ・オゾン監督。健在やわ。
 
秋は実りの季節。家庭菜園ではラディッシュやかぼちゃを収穫し、森ではきのこ狩りの頃。
子供を育てあげ働き終えたミシェルとマリ・クロードは人生の円熟、黄金色の実りを迎えているはずが、それぞれ子供に苦労し悩みがある。
子供は野菜やきのこの様にはいかない。
赤の他人に悪意を持つ人々がいる世の中、生き抜くためにそれぞれがとった選択やったな。
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