2024年7月の映画
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メイ・ディセンバー ゆれる真実
MAY DECEMBER
2023年 米国 117分
監督 トッド・ヘインズ(
「キャロル」
)
キャスト ナタリー・ポートマン(女優エリザベス)/ジュリアン・ムーア(グレイシー)/チャールズ・メルトン(ジョー)/コーリー・マイケル・スミス(昔の家族・グレイシーの息子)
メモ 2024.7.29(月) 大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
メイ・ディセンバーというのは歳の差のあるカップルを指す慣用句とか(5月と12月みたいに離れているということかな)
息子と同級生の13歳と関係を持った36歳の女性は、刑務所へ送られ獄中で出産する。刑務所を出た後、ふたりは結婚し双子の子供も生まれ
23年たち双子の子供たちはハイスクールを卒業する時期。
そこに映画化の話があり、主演女優が役作りのため新しい家族もとを訪れ、今の家族、その友達、前の夫、前の夫との息子、弁護士にリサーチする。
感想
鏡がたくさん使われている。グレイシーとジョーが揉めるシーンは窓に映ったふたりなのか。
娘が卒業式に着るドレス選びでは言葉巧みに自分色に誘導し、女優とグレイシーのふたりは自分たちが映っている鏡としゃべっているという異常さ。ありのままを見せているとは思えない。
こわい。
しかも”昔の家族”の子供たちの成長を見守るために新旧の家族は同じ町で暮らしているという。
”昔の家族”の息子は産みの母を「あの女は狂っている」と言いながら「あんなおかん、いらんわ」と町を出ていくこともしていない。
いやがらせをしているのか依存しているのか。
グレイシーは支援者も新旧の家族も何もかも手放したくない獲物を捕らえるハンター・・なのか。
そして年若い夫とふたりになった時は泣く。これはグレイシーの幼児性なのかそれとも「君の素顔を知っているのは俺だけ」「守ってやらなくては」
という男の
あほさ
保護欲を刺激して夫は捕えられているのか。
若い夫のジョーが「おとなは好きでなくても、運命を感じる相手でなくても寝るんだ」とわかるシーンが衝撃的やった。
”不倫”なのか”純愛”なのか。純愛なら許されるのか
ということを探るのは
どーでもいいというか、人のこころはわからないねん。
ということがわかってくる。ジョーは自分でもわからない。
当事者でない第三者がどーのこーのいう話やない。というのがわかってくる。
卵が孵化して青虫になって蛹になり、蝶になる期間くらい当事者と一緒にいて同じような化粧をして同じような服を着てお菓子作りをしても
わからないねん。
(だんだんナタリー・ポートマンが映画「ルーム・メイト」のジェニファー・ジェイソン・リーみたいになっていく)
そして
女優は見切ったと思った時に落とされ、2時間程度の映画は万人にわかりやすい解釈となっていく
。
★★★★
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密輸 1970
2023年 韓国 129分
監督 リュ・スンワン(「モガディシュ 脱出までの14日間」)
キャスト キム・ヘス(海女チュンジャ「ハイエナ」)/ヨム・ジョンア(海女ジンスク「SKYキャッスル」)/パク・ジョンミン(地元のチンピラ・ドリ「それだけが、僕の世界」)/チョ・インソン(ベトナム帰りのクォン軍曹「モガディシュ 脱出までの14日間」)/コ・ミンシ(喫茶店の店主オップン)
メモ 2024.7.18(木) 大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
1970年代の韓国、工場が廃液を川や海に垂れ流していた。
感想
すごかった。痛快
密輸王、地元のチンピラ軍団、海女と言う名の潜水隊、税関そしてサメという五つ巴のバトル。騙し合い、出し抜きあいのゲーム。
海の中のバトルは地の利がある方が有利やなあ、ウニもタコも活躍。男の腕力も水の中では形無しやなあとうまく作ってある。
「自分が一番エライ」と思っている国民性と噂される国にたがわず、その個と個のぶつかり合いが激しい。モブさんたちもいい。
その中間の喫茶店のオップンがくせ者で印象深い。ええ役やったね。
『八月のクリスマス』(1998)が公開された時やったと思うねんけど、「韓国映画はきれいになった」と嘆いてはる映画評論家がいてはった。
そのきれいになる前の韓国映画っぽい(のとちゃうやろか)。韓国の演歌・ムード歌謡(トロット)もよかった。そしてディスコ! 新しかったのに今ではレトロ
海女さんの映画というと『人魚伝説』(1984)が思い浮かぶ。本作も海中の白い足が健康的でかつなまめかしい。人魚のよう。
調べたところ素潜りであわびとかの貝を採るのは世界で韓国と日本だけらしい。
★★★★
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ふたごのユーとミー 忘れられない夏
2022年 タイ 122分
監督・脚本 ワンウェーウ・ホンウィワット/ウェーウワン・ホンウィワット
キャスト ティティヤー・ジラポーンシン(ユーとミー)/アンソニー・ブイサレート(マーク)
メモ 2024.7.11(木) 大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
双子の監督さんによるタイの映画
時は1999年。ノストラダムスの大予言では21世紀は迎えられない。離れ離れになったりどちらかが死んじゃうくらいなら世界が滅亡した方がまし、と思っている「ヘッケルとジャッケル」の様なユーとミー。崩壊しそうなのは世界だけでなく家内も両親の喧嘩がたえない。
感想
双子の監督さんによるタイの映画。
「孔雀の家」
を見た時にも思ったけど、タイの言葉は優しく響く。
タイの田舎の風景も気持ちがいい。YOU&MEというアイデンティティ(自分が自分であること)の映画でもある。女性の監督さん達は思春期の成長へのなまなましさにも恐れず踏み込む。
最初は混乱したけど、ミーは左のほっぺたにほくろがあり少し活発。服も基本ユーが青、ミーが黄色と工夫されている。
それでもひとりの役者さんがふたりの違いを表現している姿にうなった。
出会いのシーンの脚本もよく出来ている。ユーとミーが恋心をいだくマークがとまどうのもわかる。ちょっとこわいよね。悪夢やわ。
映画には子供たちが弾くピンというタイの伝統楽器もでてくる。これもいいな。3弦らしいけどヘッドがギターぽい。検索してみると高そうなのは龍みたいな彫刻がされていた。
大阪ステーションシティシネマに17:40の回を見に行くとふたりっきり。何故? いい映画なのに。
★★★★
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