セックス、金、殺人、
血、そして警察の捜査というわくわくする小説を書いているサラ・モートン。シリーズは快調だが本人いささかよどんでいる。
オールドミス、
ハイミスいまだ摘まれざる花でありロンドンの気候は陰鬱だし年老いた父との生活は単調だし、出版社の社長ジョンは新人作家にばかり肩入れしているし、そのクソ新人作家に「母があなたのファンなんです。」と3回も言われるし。
面白くない。 そんなサラにジョンは「南フランスの私の別荘でゆっくりしておいで。私も後から行くかもしれないしぃ。」と厄介払いをする。明るい南フランスの陽光の中気持ちがほぐれ始めた頃、ジョンの娘ジュリーが現れた。それはそれは奔放なブロンド娘だった。静かな生活を乱され心を乱されるサラだが、ただでは起きない作家魂。ジュリーの夜を覗き見日記を盗み読み小説を書き始める。
感想
期待たがわぬ傑作・・・という事はなかったかな。「8人の女たち」でも思ったけれど監督は
ミステリにはそれほど思い入れはないみたい。風来坊みたいな女の子がやってきて奇妙な女ふたりの生活が始まるのが
「海を見る」にちょっと似ている。プール、窓からじっと見つめる女がアンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督の「悪魔のような女」かな。
ねたばれ
ラストおいてきぼりになった観客は、結局のところ「どこまでが現実でどこからが創造の世界だったのであろうか」と思う。思うはず。ジュリーは別荘に来ていたのか? 殺人はあったのか?
さぼてんがずばり真相を語りましょう。ジュリーは別荘にこなかった。殺人はあった。いかに田舎で若い男ひでりかもしれんけど、ジュリーが連れ込む男達がいやにおじさんだと思うんだな。つまりアバンチュールを毎晩楽しんでいるのは実はサラなわけだ。そしてある日男ともめて殺してしまった。ひぇーどうしよう。人のせいにしようー。というわけだな。母を事故で無くしたというジュリーのトラウマも実はサラの過去の話なんだな。いやもしかしたら「こんな娘が欲しい」というサラの願望が実体化したのかもしれん。多重人格物でしかもそれをちょっと高みから小説に書き、ついでに憎い人のはなをあかしふっきれてみずみずしくなって
微笑むという詰め込んだ複雑なプロットなのである。両極端だったふたりの人格は徐々に歩み寄りちょうどいい所で融合する。