2024年5月の映画  戻る
殺人鬼の存在証明 Kazn
2021年 ロシア 138分 
監督 ラド・クヴァタニア
脚本 ラド・クヴァタニア/オルガ・ゴロジェツカヤ
キャスト ニコ・タヴァゼ(イッサ)/ダニール・スピヴァコフスキ(イワン)
メモ 2024.5.15(水) T・ジョイ梅田
あらすじ
ロシアに現われたシリアルキラーは3年経っても捕まらない。
1981年に捜査班のリーダの首がすげ替えられ「チェスプレイヤー」を捕えたイッサが班を率いることになる。
それから7年苦しみ1988年、やっと犯人を捕らえ刑務所に送った。が、3年後の1991年新たな犠牲者が出る。
感想
有名なシリアルキラーと言えば、英国にはジャックザリッパーがいて韓国には「殺人の追憶」とそれぞれお国の小説、映画の題材になる。ロシアにはチカチーロ(「チャイルド44」「市民X−チカチーロ−」がいた。
と、「知ってる」と甘く見始めたんやけど、しょっぱなからなんか変。よくわからない状態となる。
(最終的にはちゃんと回収される大きなヒントであった)
犯人を追う方もだんだん狂気にかられていくのは「殺人の追憶」に似ている。
「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」みたいな。
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(ここからややネタバレ)
話は脱線するねんけど、書道の小さな会の展覧会の題材は昨年は老子で今年は荘子(そうじ)となる。(来年は論語らしい。やれやれ)
『胡蝶の夢』(夢に胡蝶となる)を書かれた方がふたりいてはった。(・・・荘子の言葉と知る)
「はて、(わたし)荘周(そうしゅう)が夢で胡蝶となったのであろうか。それとも、胡蝶が夢で荘周となったのであろうか。」
と言う一節があって、わけわからへんねんけどわけわからないところが哲学というか詩みたい。
続いて「荘周と胡蝶はたしかに別の存在とされる。だが荘周は胡蝶となって空を舞う。これを『物化』という」で終わる。
『物化(ぶっか)』には「物が変化すること」の他に「天命を終えて死ぬこと」の意味がありこの映画にふさわしいと思う。
パスト ライブス/再会 PAST LIVES
2023年 米国/韓国 106分 
監督・脚本 セリーヌ・ソン
撮影 シャビアー・カークナー
キャスト グレタ・リー(ノラ)/ユ・テオ(ヘソン)/ジョン・マガロ(アーサー「ファースト・カウ」)
メモ 2024.5.7(火) TOHOシネマズ梅田
あらすじ
韓国の小学生12歳のふたりはほのかに思い合っていたが、女の子の一家はカナダに移住してしまう。
それから12年後、徴兵の終わったヘソンはN.Y.のノラとネットで再会する。が、24歳のノラはまだまだ発展途上。遠恋している場合ではなかった。
それから12年たち、36歳になったヘソンは休暇をとってN.Y.に遊びに行きノラと再会する。
感想
小学生のふたりが三叉路で別れそれぞれの家に帰る、ノラがN.Y.の横断歩道を渡る、と「道」が出てくる映画なんかなと思ってた。が、N.Y.の遊覧船にふたりが乗ってるところで、流れを感じる。公園で遊んだり、バーで三人が飲んでいる「点」と歩いたり船に乗ったりと流れている「線」。「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。」という時の流れ、うつろいを感じた。
 
ノラはひとつ間違うと「デッドゾーン」の様なちょっとなーどうかなーとヤナオンナになりかねないところを本作はみごとと思う。ノラは36歳になって再会する時に気合の入ったおしゃれをしてこない。これが今の私と自然体。よー我慢したな。映画「逢びき」の様なラストもせつない。
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