2024年2月の映画  戻る
落下の解剖学 ANATOMIE D'UNE CHUTE
カンヌ国際映画祭パルムドール賞
2023年 仏蘭西 152分
監督 ジュスティーヌ・トリエ
脚本 ジュスティーヌ・トリエ/アルチュール・アラリ
キャスト ザンドラ・ヒュラー(サンドラ「希望の灯り」「ありがとう、トニ・エルドマン」)/スワン・アルロー(弁護士)/ミロ・マシャド・グラネール(息子ダニエル)
メモ 2024.2.21(水)シネ・リーブル梅田
感想
夫婦とひとり息子の生活や関係が赤裸々に暴かれていく。しかもそれが真実かはわからず様々な人々の憶測が入っている。
特に夫の精神科医だかセラピストだかの専門家が冷静に語る断定が恐ろしい。
 
妻が語るのを聞いていると、この一家がいかに複雑なのかがわかってくる。
夫は元教師で作家志望、一方妻は既に4冊本を出している。その本は私小説らしく自らの体験を掘り下げおおやけにしている。
夫婦の間には映画「イカとクジラ」のような問題がある。
加えて夫はフランス人で妻はドイツ人、ロンドンで暮らしていたが今は夫の故郷のフランスの山で生活している。
ドイツ語英語は話せるが、フランス語はまだ流暢にあやつれずもどかしそうな妻は何語で小説を書いてはるんやろう。。。
そして11歳の息子は事故により障がいを持つ。その治療にお金もかかっている。
 
妻役は「希望の灯り」で主人公が恋心を抱く人妻役やったひと。
「希望の灯り」でもあいまいでとらえどころのないひとを好演してはったけど(まあ人妻やから)、本作でも心の内を明かさないひとやったな。
そやから小説を書くのかもしれない。
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梟ーフクロウー THE NIGHT OWL
2022年 韓国 118分
監督 アン・テジン
キャスト リュ・ジュンヨル(ギョンス)
メモ 2024.2.21(水)シネ・リーブル梅田
あらすじ
朝鮮第16代国王仁祖(インジョ)の時代、8年間後金(清)の瀋陽で人質となっていた世子(セジャ・世継ぎ)が1645年国に帰ってきた。
世子が人質となったのは、国王仁祖が親明反後金政策で南漢山城に立てこもり後金(清)のホンタイジに逆らったと交戦したためだった。
感想
圧倒的な国力を持つ中国への複雑な感情と権謀術数渦巻く朝鮮宮廷内という韓国歴史ドラマのまんまやねんけど、
月明かりやろうそくの灯の薄暗い中、欲が蠢きどう転ぶかわからないスリリングさがいいな。
大義はもしかしたらどっかにはあるんかもしれんけどみえない。ここもスリラーとして余計なもんがなくていい。
男ははいつくばりしのぎ逃げる。8割灰色の映像やったんちゃうかな。
というくらい映像が暗い。お話も暗い。 前半は韓国ドラマらしくコミカルなところもある。
主人公は盲目の鍼灸師。腕を買われて宮廷に召されたが心臓をわずらっている幼い弟がおり生きて故郷に帰らねばならぬ。
結末は賛否分かれるところやろうけど、私は違う方がよかったな。
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レプタイル −蜥蜴− REPTILE
2023年 米国 136分
監督 グラント・シンガー
キャスト ベニチオ・デル・トロ/ジャスティン・ティンバーレイク/アリシア・シルヴァーストーン
メモ 2024.2.15(木)Netflix
あらすじ
不動産屋の女性がセール中の家で惨殺されていた
感想
ベニチオ・デル・トロが渋くて、それだけの映画なんやけど見とれてしまった。2回見た。
恋人役のアリシア・シルヴァーストーンはちょっと年増でおおらかで、これもまたいい。
お話は目新しいところはないねんけど、西部劇みたいなところもあり面白い。
行ったことはないし住んだこともないけど、米国って仲間や所属するコミュニティがないと変人って思われる文化があるんやろね。
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千年女優 CHIYOKO MILLENNIAL ACTRESS
2001年 日本 87分
監督・脚本 今敏(こんさとし 「パプリカ」 「東京ゴッドファーザーズ」 「パーフェクトブルー」)
メモ 2024.2.8(木)シネ・リーブル梅田
あらすじ
30年前に映画女優、藤原千代子は姿を消す。
映像製作会社の立花社長は千代子を探しだし、ドキュメンタリー制作のため若いカメラマンと奥京都に隠遁している千代子を訪ねる。
そこで語られた千代子の半生とは。
感想
もはや千代子の想いは狂気とすら感じる。
 
現実世界と映像世界は入りまじり、千代子は時代を越え国を越え地球を越えて追い求める。
アニメの世界のさらなる高みへ上りたい今監督自身を投影しているのは千代子なのか、それとも千代子を思う立花なのか、両方か。
見果てぬ世界を追って千代子も立花もカメラマンも走る。
 
今敏監督が2010年に46歳で亡くなられたのは本当に残念です。
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