2020年8月のミステリ 戻る

本と鍵の季節 
米澤穂信著 集英社 296頁
あらすじ
高校2年生の図書委員、松倉詩門しもんと堀川次郎はカウンターの内側で本に背ラベルを貼ったり、返却本を書架に戻したりの当番の仕事はすぐに済んでしまう。
ふたりは暇にあかせて頼まれた謎を解く。
「913」 「ロックオンロッカー」 「金曜に彼は何をしたのか」 「ない本」 「昔話を聞かせておくれ」 「友よ知るなかれ」
の6編からなる短編集。
感想
背が高くかっこいい松倉とちょっとおっとりした堀川のどっちが名探偵なのかな。と思って読んでた。
米澤穂信の小説は好きやねんけど、いつもちょっと暗い。さみしい。
アリバイを探す「金曜に彼は何をしたのか」がよかった。
「昔話を聞かせておくれ」 「友よ知るなかれ」もいい。ちょっとムリクリ(誰が駐車代を払っていたん)なところもあるけれど。
男子高校生の互いに認め合いながらも、クールで距離を詰めないほどよい関係。のはずが。。。
新シリーズなのかな? と思ったら、そうでもないみたい。「隅の老人」に近い。
「いまさら翼といわれても」と同じく女か虎かで終わる。せつない。
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生命式 
村田沙耶香著 河出書房新社 268頁
感想
「コンビニ人間」の村田沙耶香によるタブーに挑んだ12編からなる短編集。
アステカ文明のカニバリズムのような「生命式」と「素敵な素材」が印象に残る。
特に「素敵な素材」にはちょっとショックを受ける。
ドイツの強制収容所で刺青をした囚人の皮膚でブックカバーを作ったりしていたという話を思い出すからかな。
 
興味深く読んだんやけど、あんまりピンとこない。
焼き場の残骨は肥料とか模造真珠になったりするとニュースで見たし。
父が亡くなった時に、お寺さんが「エィッ!」と言うかけ声と共に位牌に魂かな?を移しはったし。
死後は海か山に散骨(パウダー状にしてからね)がいいな、と思う人間やし。骨に何か意味があるのか?
死んだ後はどーでもいいの。いややっぱり食べられたり家具になるのは堪忍してほしいかな。(大飢饉やったらこの身を捧げます)
ひっそり消え去りたい。ジェダイの騎士はええな。
それより死ぬ時が心配。
犬や猫には安楽死は認められるのにヒトには許されない国やから。
たぶん多くの人が望んでいるのに公に支持することも難しい。ひっそりと望むだけ。
(ここんとこ、「トランプ氏を支持します」と公言する人は少ないみたいやけど、根強い人気があるのと似ている)
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罪人の選択 
貴志祐介著 文芸春秋 321頁
感想
「夜の記憶」「呪文」「罪人の選択」「赤い雨」4編からなるSForミステリの短編集
雰囲気があって面白くはあるんやけど、「罪人の選択」ってな地味な題よりインパクトのある「赤い雨」の方がよかったんちゃうかなあ。