2009年9月のミステリ 戻る

新世界より
2008年 貴志祐介著 講談社ノベルズ 953頁厚さ4.5cm 1900円
   第29回日本SF大賞
イントロ
千年後の日本。神栖(かみす)66町は、周囲50kmほどの地域に点在する七つの里からなっている。外界とは八丁標(はっちょうじめ:しめ縄)で隔てられていた。外の世界には「悪鬼」「業魔」がいるという伝説があり、子供は外に出てはいけないと強くいましめられている。神栖(かみす)66町には縦横に水路があり、人々は舟で行き来している。渡辺早紀(さき)は、水車の郷に生まれた。幼馴染の赤毛の真理亜、減らず口をたたきあう覚(さとし)、みんなからは超越している瞬(しゅん)、おとなしい守と『和貴園(わきえん)』に通っている。
感想
とうとう「クリムゾンの迷宮」を超えた。
だいぶ暗めの和製ハリー・ポッターの様なところもある成長物語であるが、「真言(まんとら)」のひびき
護摩を焚いた燃えさかる炎が読み終わった、今、脳内に残る。
(実家が高野山真言宗なもんで、親孝行のためお彼岸のせがきや、お盆に訳わからんとまんとらをとなえるんやけど、他の宗派もそうなんかな)
作者はおどろおどろしくもすごい世界を構築したんだ。
 
安全保障のお話だと思う。
「業魔」は、チャイナシンドロームを起こした原子炉であり、「悪鬼」は無差別テロなんだな。
核による「人類滅亡」への抑止力は、両刃の剣。カリスマ主導者は、「権力は必ず腐敗する」ことから持ってはいけない。人類の明日のためには、英知を集めろ変化を恐れるなと言う事なんだと思う(人類が平和に生きるには、今のままでは限界があり、日本国も自給自足できるくらいの人口に激減しなければ救われない、と言われているような気もするな)
お薦め度★★★★★戻る

狐火の家
2008年 貴志祐介著 角川書店 349頁 
感想
「ミステリーが好きな方、特に昔の本格ミステリーの、非常にクラシックなフェアプレーの、そういった作品の興奮をもう一度味わいたい方に、ぜひ読んでいただきたいと思います。」(作者談)の密室物4作品
探偵は「硝子のハンマー」の弁護士・青砥純子(あおとじゅんこ)と防犯コンサルタントの榎本径(えのもとけい)。