2018年6月のミステリ 戻る

コンビニ人間 
第155回芥川賞
2016年 村田沙耶香作 文芸春秋
あらすじ
36歳の古倉恵子は大学時代のアルバイトのまま同じコンビニに勤め続けて18年。店長は8人変わった。
幼い頃、小鳥が死んでいるのを周りが驚き悲しむのを傍目に死んだ鳥を母に差し出し「今夜はこれを焼き鳥にしよう。お父さん焼き鳥好きだし」と言った子だ。周りの大人はあわてふためくが、恵子にとってはみんなが「かわいそう」といいながら小鳥のお墓に供えるために「花をちぎって殺している」方が不思議だ。
感想
ちびさぼが中学3年の進路説明会の時の事。担任の英語の男の先生が「子供たちみんな世の中に自分の居場所を見つけてやりたい(だったか、作ってやりたいだったか)と言われたのに目が覚めるようやった。齢40にして、学校で学ぶ意味はそうだったのか。という事がわかった「おまえはあほか」状態。
世の中の自分の居場所なんて考えたこともなかった。
 
という事を思い起こさせる小説。主人公は喜怒哀楽が無く物の考え方はあまりに合理的で、周囲とは違っていて生きにくい。世の中の仕組みや人の気持ちがさっぱりわからない。暗黙のルールなどカケラもわからない。人のまねをして仮面をかぶって生きている。
 
最近発達障害とかよく言われる。会社にも「この人、知能は高いアスペルガーちょっと入っているな」と思う人はいる。兄は5歳までしゃべらず心配した母が大学病院に連れて行ったがどっこも悪いとこはなく、近所では知的障害っぽいとも思われていたが知能指数は高かったらしく妹から見て空間把握能力がとても優れていた。(うちはさっぱりだめ)。建築の仕事に就いたのは向いていたと思う。会社の人も兄も人と違った傾向が少しあるくらいで教育と経験からスイッチが入っている時はほぼ普通に見える。仕事に関してはどちらかというと優秀だ。
スイッチが入っていない時の会社の人は多動性になったり、1か0かの極端な判断しかできなくなっている。
そして兄からたまに来るメールは電報か業務連絡かという内容でその愛想も何もないメール文を見ながら「この人は何かが足らん」と思うの。妹にはスイッチが入らないのね。
 
主人公は明確なルールと合理的なコンビニの仕事が性にあっている。天職についた。結果周りも平和で本人も心安らかに生きていける。
お薦め度★★★★戻る