ピエール、クララ、クロードの母親が亡くなる。遺産は100万ユーロと70万ユーロのお屋敷(1ユーロ160円として、約2億7千万円!)だったが、相続には条件が付いていた。3兄弟
そろって、フランスのル・ピュイからスペインの西の果て聖地サンティアゴ(サン・ジャック)までの1500キロを、
徒歩で
2ヶ月かけて、巡礼の旅をまっとうせよというものだった。「お袋の強制だ。死んでもこれだ!」と長男のピエールは怒り狂う。出世フリークの兄、歯に衣着せぬ厳しい妹、アル中の弟の3人組だ。
しかし金のため犬猿の仲の3兄弟は、ガイドのギイ、キリストの聖地になぜかイスラム教徒のサイードとラムジィ、フランス人の女の子カミーユとエルザ、そして頭にネッカチーフを巻いた謎の女性マチルドの総勢9人で旅に出発する。
感想
映画冒頭、3兄弟のところへ黒枠のついた手紙が別々の電車に乗って、
旅をする。手紙ひとつでも手元に届くまでは、大変なんだな。仕分けしたり配達したりの
色々な人のおかげで、目的地にたどりつくのだ。この最初のシーンが映画のすべてを凝縮しているようで、そのシャレたテクに感心した。
恐いお顔のクララは、公立高校の先生。最初は「コワイセンセやろな。こんな先生に習うのいややなぁぁ」と思っていた。ところが彼女はとっつきにくく頑固だけれど、以外に愛情深いのだ。最初は拒否っていたが、失読症のラムジィに字を教え始めるのである。それがまた忍耐強く良い先生なのだ。クララ自身も、荷車に家族を乗せてひとりでひっぱっている夢を見るほど、失業中の夫と子供達の生活に疲れきっていた。が、徐々に回復し、家族と歩く夢に変わっていく。
長男のピエールが変わっていき「俺たちは兄弟なんだ。」という所で思ったんやけど、兄弟仲のよさというのは、上の子の性格に左右されるところが大きいんじゃなかろか。小さい頃は力があるもんな。かわいげのある弟妹か? 親の兄弟に対する姿勢は? 年子は軋轢が大きいやろなという所もあるけど。上の子の度量が広く、愛情深く面倒見がよければ、そこそこ兄弟は仲は良いのかも。ところが上の子は、一人っ子でしばらく育っているからムツカシイのよねぇ。