2007年9月の映画  戻る


シッコ SiCKO −(医療制度が)病人、(病的な)変態野郎−
2007年 米国 123分
監督・脚本 マイケル・ムーア
メモ 2007.9.30(日) 千日前・敷島シネポップ123
あらすじと感想
「華氏911」のマイケル・ムーア監督が、アメリカの医療制度という現代版ホラーを切る!
日本のように「国民皆保険加入、私企業の生命保険・傷害保険はそれを補うもの」という制度・考え方はアメリカにはないらしい。すべてが私企業の保険であり、加入している保険により受けられる医療が変わってくる。そこは弱肉強食の世界。株主の利益のためには「将来病気になりそうな太った人、痩せた人は門前払い」 「いざという時は、せっせとあら探しをして保険を支払わない」という乱行がまかり通っている世界。しかも「9.11」の時にボランティアで参加した消防士達が、肺を病んでいるのには手当てされず、犯人達の方は手厚い診療を受けているという奇奇怪怪。アメリカに「国民皆保険制度を」と戦い、破れたヒラリー・クリントン上院議員は、「国民は皆保険を望んでいないのね」と悟り今は敵の牙城に落ちる。
 
武見太郎という傑物が、日本医師会に長い間君臨し、その強権姿勢から日本医療の悪の権化のように言われていたけれど、どうだったんだろう。今はよくなっているのかな。無駄が多く、過剰医療、過剰投与で医院が肥え太ってたとしても、治療が受けられないよりましよね。
隣に座っているおねーさんは退屈そうで、2回も携帯メールチェックをしていたが、アナタが子供を持って、熱出したあかんぼと夜中に走り回る事態になったら、フランスの「少子化対策・夜間往診」を思い出すかもしれないね。この間ネットで読んだけど、市場原理の行き過ぎた共産主義国の中国では、苦しんでいても出産間際でも、現金前払いでないと診療すらしてもらえないらしい。おそろしい話だ。
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リード・マイ・リップス SUR MES LEVRES
  2001年 セザール賞
2001年 フランス 119
監督・脚本 ジャック・オーディアール(「天使が隣で眠る夜」)
脚本 トニーノ・ブナキスタ
キャスト ヴァンサン・カッセル(ポール「ジェヴォーダンの獣」)/エマニュエル・ドゥヴォス(カルラ「そして僕は恋をする」)
メモ 2007.9.21(土) レンタルDVD
あらすじ
カルラは個人経営の土地開発業の会社に勤めている。30代。難聴ながら頭の回転がよくテキパキ仕事をこなす秘書だ。友達はひとりしかいない。その友はカルラにないもの、夫と子供を持ちながらも愛人を作り奔放に人生送っている。 地味でおしゃれもせず笑いもしないカルラは、バカにされまいと片意地はって生きている。そのストレスのために職場で気を失ったカルラは、社長から助手を雇うように命ぜられる。ライバルとなるような若い女は雇えない。カルラの御めがねにかなったのは、ポールという粗野ですさんだ若い男だった。ムショ帰りでその臭いと野性味に惹かれるカルラ。
異質なふたりは手探りながら、お互いに利用しあう。
感想
日本女子大学(ぽんじょ)で幼児教育を学んで、若くして病魔で亡くなった会社の友が言っていた事がある。「目の不自由な子と耳の不自由な子では、目の不自由な子の方が育てやすい。機嫌がいい。耳の不自由な子は疑心暗鬼にかかり、ひがみやすい」 耳の不自由な子の方が社会に出て働きやすいんやけどね。
カルラがバーで音楽が騒音にしか聞こえず、補聴器をはずすシーンを見て思う。「音楽が楽しめないんか・・」 人生の楽しみがひとつ少ない。
 
ポールとカルラ、ポールの保護司とその妻、バーの経営者とその妻。世代の異なった3組の男女が登場する。男と女はお互い惹かれ合い、いくつになっても枯れる事なく現役、色々な事には目も耳もつむって・・・最後まで寄り添いたいという事もなく、今を生きている。破滅と紙ひとえ。これは、あやういフランス映画なんだなと感じた。
 
ヴァンサン・カッセルが危機を救ってくれた女にキスするシーン、いいよね。自分のために生まれてきた女だと慈しむ。・・・・いつまで続くかわからんけど。
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残酷な記念日 The Anniversary
1968年 英国 95分 ハマープロ
監督 ロイ・ウォード・ベイカー(「ノックは無用」)
脚本 ジミー・サングスター(「妖婆の家」)
キャスト ベティ・デイヴィス(タガート夫人)/ジェームズ・コシンズ(長男・ヘンリー)/ジャック・ヘドレー(次男・テリー)/シーラ・ハンコック(カレン・次男の妻)/クリスチャン・ロバーツ(三男・トム)/エレン・テイラー(シャーリー・三男の婚約者)
メモ 2007.9.15(土) レンタルDVD
あらすじ
今日はタガート家の記念日。他界した父と今だ現役で支配欲の強い母の結婚記念日だった。タガート家は住宅建築をなりわいとしている。父の死後、母が女社長となり配管工の長男ヘンリー、大工の次男テリー、電気工の三男トムは母親にこき使われていた。安普請の家を量産し、全ての利益は母親がにぎり3人とも頭が上がらない。とらわれ人。長男ヘンリーは結婚もできない。それは倒錯した趣味のせいか、母の呪縛から逃れ一人前の男になれない事が女装趣味に走らせたのかは不明。次男の妻・カレンは強い人だ。子供を多産し姑に対抗している。結局男は母の様な人に惹かれるのかも。甘えたの三男トムが記念日に連れてきた女性は3人目。前の2人は母の毒にあてられあえなく撃沈。3人目で子供がお腹にいるシャーリーは不見転(みずてん)の覚悟で支配者にいどむ。
感想
タガート夫人はヨメもヨメ予備軍も気に入らない。女は全て自分の敵なのである。いつまでも男にちやほやされていたい。金と権力を手にした女は好き勝手し放題で、一歩下がるとか、脇に回るとか、現役を引退するとか、枯れるとか、いう事はない。ありえない
すごかったですよー。アイパッチしたベティ・デイヴィス。 生涯美しく彩り、闘志を失わない姿に、圧倒された。見習わなくちゃ。
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パーフェクト・ストレンジャー PERFECT STRANGER
2007年 米国 ディズニー 110分
監督 ジェームズ・フォーリー
脚本 トッド・コマーニキ
キャスト ハル・ベリー(ロウィーナ)/ブルース・ウィリス(ハリソン・ヒル)/ジョバンニ・リビシ(同僚マイルズ「ギフト」「閉ざされた森」)/ゲーリー・ドゥーダン(恋人キャメロン:CISベガスのウォリック・ブラウン)/
メモ 2007.9.14(金) 肥後橋リサイタルホール試写会
感想
「ラスト11秒まで、真犯人は絶対わからない−。」
で今売っている映画。う〜ん、さして面白いとは思えん。演出がたるいの。一週間たったらあらすじも忘れそう・・だ。
 
ロウィーナ(ハル・ベリー)は上昇志向の強い記者。大物政治家を罠にかけ、ゲイだと告白させ一大スクープを物にしたっ。ところが上からの圧力であえなく潰され、怒髪天で社を辞めてしまう。そのくさくさした晩に地下鉄で出会ったのは、幼馴染のグレース。彼女は大物実業家と不倫しているらしい。次にグレースに出会った時、彼女は変わり果てた姿であった。口封じしたのでは、とその実業家ハリソン・ヒル(ブルース・ウィリス)の会社に身分を偽り社員として潜入するロウィーナ。美貌を武器にハリソンに近づく。ハリソンは、いつ仕事をしているのかと思うほどの女好きであった。ロウィーナは、Webのチャットも駆使してハリソンに近づく、
それからは、ロウィーナの恋人(なんとCSIベガスのウォリック)がグレースと付き合っていたのがばれたり、なにくれとなく力を貸してくれる同僚のマイルズ(ジョバンニ・リビシ「ギフト」でお父さんを燃やした人)が、倒錯していたり(これは意外でもなんでもない。はなからあやしい顔だ。)、ハリソンの妻が離婚を狙って夫をはめていたようにも思えるし、で怪しさのオンパレード。
それらがごちゃごちゃしていて、カモフラージュにしか見えん。集中できん。しだいに興味を失っていく・・・。退屈で落ち着きの無いコになりそう・・・。
ラストもよくわからん。窓の外から新聞社の上役が、全てを見ていたんかな。
 
一番の収穫はチャットで打つ  :)  かな。左に顔を倒して見るとニコマークに見える。
お薦め度★★1/2戻る

妖婆の家 THE NANNY
1966年 英国 94分 ハマープロ
監督 セス・ホルト
原作 イヴリン・パイパー
脚本 ジミー・サングスター(「フランケンシュタインの復讐」)
キャスト ベティ・デイヴィス(ばあや)/ジル・ベネット(叔母ミス・ペン「炎の人ゴッホ」)/ウェンディ・クレイグ(バージニア)/ウィリアム・ディックス(ジョーイ)/パメラ・フランクリン(ボビー「回転」「ミス・ブロディの青春」)/ ジェームズ・ヴィリアーズ(ビル)
メモ 2007.9.8(土) レンタルDVD
あらすじ
外交官のフェーン家は2年前悲劇にみまわれ、息子のジョーイは精神病児の施設で暮らしていた。ジョーイの母バージニアは神経を病みばあや(ナニー・ベティ・デイヴィス)にあれこれ面倒をみてもらっている赤ちゃん状態。ジョーイは施設から家に帰ってくるが、何故かばあやを嫌っていた。ばあやの作る食べ物には毒が入っていると言う。ジョーイは嘘つきで手に負えない子供なのか、それとも優しいばあやが・・・。