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アンサンブル・アメデオ 第20回定期演奏会
パンフレットより

Ensemble Amedeo The 20th Regular Concert
〜 Happy Anniversary! 〜
2004年1月24日(土)17時30分開演
於:文京シビックホール 大ホール
 



編曲ノート

 あらためて振り返ってみると、じつにいろいろなことをやってきたものだなぁというふうに思います。動機は単純で、「こ れをやってみたい」というだけのことです。そうするとマンドリン合奏の場合「楽譜がない」というところから始まるんで すね、だから誰かが作らなきゃならない。それで気がついていたら、ぼくが編曲していました。それだけのことです。演奏 してくれるひとがいるから編曲するわけで、まさに必要にかられて、なんとか締切りまでに仕上げる、これの繰り返しでし た。しかし、演奏していただけるわけですから、これはやりがいがあります。

 曲が決まってから練習が始まるまでには、たっぷり時間がありますから、いろいろ材料を集めて、吟味して、もちろん原 曲のあらゆるバージョンの音源も聴いたりします。のんびりとそんなことをやっていると、あっという間に時間が経ってし まいます。そこで慌ててどうにか形にするっていう具合です。ですから大抵楽譜は未完成な状況で配られることになります。 練習をやりながら調整していくんですね。編曲という作業は結構手間がかかるものです。

 一番やっかいなのは「その気にならないとできない」ということでしょうか。ぼくの場合、頭のなかを音が駆け巡るよう なタイプではありませんので、音を鳴らしながら探っていくようなやりかたです。なんていうか、その場任せで取り組んで いきます。偶然の所産といっても過言ではありません。ところが気分が乗ってくるとこれがすらすらいくんですね。次から 次へとアイデアが浮かんできて、ここはこうしよう、あそこはああだ、とか、ここがこうならあそこはむしろこう変えた方 がいいのでは、という具合にとんとんと筆がすすんでいきます。そこに辿り着くまでが大変。気分を昂揚させていって、今 日はできるぞ!と自らを鼓舞してそれで勢いをつけて発進するんです。「突撃!!」みたいに。それでもだめなときは何も浮 かんできません。そういうとき作業は一向にはかどらず、先へ進むことができない状態に陥るんですね。いわゆるスランプっ ていうやつです。曲のイメージが充分掴みきれていないときにこうなるケースが多いようです。 

 モチベーション的には、ラフマニノフは大変でした。はなからマンドリンでやるのは厳しい、という潜入感がありました ので、なんていうか恐ろしいような感じがしたんですね。マンドリンではやっちゃいけないんじゃないかって… 調性もフ ラットが多くマンドリンには不向きでしたし、これは難航しました。曲は大好きで結構聞き込んでいましたから、改めて聞 き直すようなことはほとんどなかったと思います。いろいろマインドコントロールをかけて、最後に行き着いたところは、 まったく別な曲と思ってみよう、ということでした。これでふっきれて、「バラライカオーケストラ」だと思えばいいのだ! と一気に駆け抜けていきました。それにしてもなんて素晴らしい曲なんでしょう!一旦始めるとどんどんのめり込んでいき ました。

 編曲は写経に似ています。ラフマニノフの楽譜を眺めながらそれを写していくんです。そうすると、いろいろな仕掛けや 技やそういうものが見えてきます。それで、どうしてこのようにロマンティックな流れが表せたのだろうかと感動したりし ていました。ラフマニノフの編曲でいろいろなことに気付いたんですが、クラリネットがおいしいんですね。当時の身近な オケに素敵な人でもいたのでしょうか?それともあの甘い音色そのものが好みだったのでしょうか?ラフマニノフにはクラ リネットが欠かせません…。それから2楽章ですね。聴こえてくるのと音符がずれているんですね。なぜああいうことになっ たのか?音を追い掛けるように音符を配置することで、なにかを憑かれたように表したかったからなのでしょうか?そんな ふうに思いながら眺めていました。それにしても2楽章の最後はなんて素晴らしいんでしょう!バーンシュタイン指揮ピエー ルアントルモンのピアノの演奏でそれを聴いたときのことがいまでも焼き付いています。その広大な大地に沈む夕暮れのよ うな壮大な音楽!ああ、生きていてよかった!典子ちゃんはどんなふうに弾いてくれるのでしょうか。

 それにしてもピアノの凄まじいこと!こんなの弾けるのでしょうか?楽譜を書き写すだけでも大変!それで、結局今回は ピアノの譜面を書き写すのは断念することにしました。松原さんの協力で編曲したスコアに原譜のピアノの部分を貼り付け たのでした。

 アメデオは毎年1月に演奏が終わるとオフシーズンに入りますが、ぼくにとってはこのオフ期間が作戦準備期間というこ とで、潜伏してこういう作業に勤しんでいます。それで夜中にこういう作業をしながらひとりで感動したりしているんです。 ぼくは、いつのまにかこうした仙人のようなことに歓びを感じるようになったのです。そういう機会をアメデオは授けてく れました。だって、弾いてくれるひとがいなかったら編曲なんて絶対にできないと思うからです!

 ところで、編曲という作業は料理に似ています。料理はそんなにやるほうではありませんが、どちらかといえば好きな方 だと思います。この間はヴィヤベースにチャレンジしました。(※作り方参照ください。)結構いい味がでました。魚のだし とハーブの微妙なバランスがポイントでした。凧糸で野菜を縛ってブーケガルニを作ってスープに入れてコトコト煮込みま した。それで芳醇な香りが立ち込めてとても幸せな気分に!しかし思ったより量が少なく主菜にしては頼りないものに…お よそ素人のやることはこのようなものです。

 ぼくの編曲も似ていますね。もっとしっかりとした音楽の基礎があればもっと堅固な仕上げができるんでしょうが。で すからいつも決まって仕上げは演奏者の知恵と工夫にかかっています。これは全てのパートに共通したことではあります が、なかでも典型はギターでしょう。ぼくはギターを弾きません(弾けません)ので、いつもギターパートは工夫の連続 に違いありません。ぼくは材料を提供しますが料理を仕上げるのはギターのみなさん次第です。しかし、この暗黙の了解 という関係がいつの間にかできあがってきました。ですから、ぼくの編曲を他の団体がやろうと思ったら大変です。いわ ゆるレシピが必要になってくるんですね。弾き終わった楽譜を使えばいいのでしょうけど、それを整理するというエネル ギーは残っていません。というわけで、ぼくは編曲の材料を提供し、最終的にはアメデオのメンバー全員で工夫して練り 上げていくことだと思っています。そうした過程が楽しいものです。もちろんうまくいかないこともあります。今回も亨 くんがいろいろな音を加筆してくれました。というわけでとりとりとめのない話しになりましたが、こんなふうに編曲を やってきました。

 最後に「展覧会の絵」についてひとこと触れておきたいと思います。この曲はいろいろ思い入れの深い曲で、この曲を 最初に編曲したのは1987年ころ、その年の1月だったと記憶しています。その頃ぼくはホテル関係の仕事をしていまし たが、マンドリニストの青山くんから突然電話があり「展覧会の絵をやりたい」という提案でした。その翌年にクリスタ ルマンドリンアンサンブルという団体で演奏しました。当時これは大変なことで、練習してもなかなかうまくいきません。 最後までまともに通ったのは本番くらいのことでしたが、かなり理想に近い演奏が出来たというふうに思い出されます。 変化に富んだこの作品はモノトーンのマンドリン合奏で表現しても意外に楽しめました。アメデオ第10回の演奏会でも この曲を取り上げました。このときも結構大変でした。大所帯なりの大変さがありました。第10 回はアメデオも弦楽だ けの編成でしたが、打楽器を加え、編曲も改訂しました。「展覧会の絵」はその後関西の「モザール」という団体で取り 上げられました。そのときは管楽器を加えて演奏したと聞きました。最近では昨年「アルスノヴァ」という団体で演奏さ れました。そのときには、改めて編曲し直しました。それまではいわゆる手書きのスコアでしたが(昔は横長の五線紙に 鉛筆で書いていました)整譜しながらコンピュータに入力しました。「アルスノヴァ」のときは実際に大阪まで聴きに行 きましたが、じつに溌溂とした演奏で、練習時間が短かったこともあり荒っぽいところもありましたが、その分勢いがあ りなかなか凄まじい演奏でした。

 今年第20 回という節目に「展覧会」を再びとりあげるということは割合早い段階で決まりました。我々にとっても思い 入れの強い作品ですので、おそらく、30 回という回が来るのであれば、そのときも「展覧会」をやることになるのかもしれ ません。今回は、最近のアメデオの標準編成用にさらに編曲し直しました。管楽器を加え、いままで合奏効果の不十分だっ たところを補強し、もちろん回を重ねるごとに演奏者のみなさんから提案いただいたことなど、さまざまなことが折り込ま れました。それで練習に取り組んでいるわけですが、これはかなり難しいです。何が難しいかというと…、もちろん調性も やっかいですが、音楽の表現が一筋縄ではいきません。ただ弾くだけでは曲にならない。イマジネーションの問題です。そ れで、今回は徹底的に「響き」にこだわってみたいと考えやってきました。さまざまな音色、ざまざまな響きを表現する。そ ういうことを目指しています。プロムナードの祝典的な響き、グノームの無気味さ、古城のうっとりするような調べ、甘っ たれ小憎のおねだりのようなテュイルリー、ビドロのどろどろした呻声、雛鶏の滑稽さ、ゴールデンベルグとシュミュイレ の傲慢と貧弱の対比、リモージュの喧騒、カタコンブの追悼、死せる魂との対話の神秘、バーバ・ヤガーの機知、そしてキ エフの壮麗。メンバー全員で一致凝集して壮大なる展覧会の絵巻物を描き上げてみたいと試みています。果たして本番まで に間に合うのでしょうか?それとも、その完成は30 回に…?

2004 年正月
小穴雄一



※ヴイヤベースの作り方

 まずスープ用材料の下ごしらえから。ほうぼう、こち、あなごを3 cmくらいのぶつ切りに。舌平目も加えましょうか。頭 から骨ごとでOKです。次に具になる材料。前回は海老と帆立貝それにあさりと(ほんとうはムール貝も欠かせないらしい) それから鯛と鱈を用意しました。

 最初は鍋にオリーブ油をいれてにんにくと赤唐辛子を炒めます。このとき温度が高いと焦げちゃうので用心!ぼくなんか やりなおしました。弱火でじっくりはじめます。つぎに、たまねぎとポワロー(長葱)それからほんとうはフェンネルの株 を入れんだそうですけど、ぼくは観てくれがミニセロリにそっくりだったのでこれで代用しました。やわらかくなるまでじっ くり炒めてとろりとなるまで...そこにスープ用の魚をどっといれます。魚がやわらかくなったら白ワインを入れる。しばら くしたらトマトジュースとペーストをいれてひたひたになるくらいに水も加える。そこでブーケガルニを入れる(長葱にパ セリの茎、ローリエ、ローズマリーを包んで凧糸で縛る)それで沸騰させましょう!あくを念入りに取り除いて、調味料を いれます。(量は勘と度胸で!)塩、八角、フェネルシードそしてサフラン!(これ高いです!)それで弱火でしっかり煮込 む。このあたりですでに幸せな香りが台所中に立ち込めます。

 じっくり煮込んだら、裏ごしです。これでスープをとります。
 つぎに具のほう。フライパンにオリーブ油を敷いてその上で鯛と鱈の皮のほうだけさっと焼きます。焼色をつけると身が ほぐれにくくなるから…

 他の材料とともに鍋に入れて蓋をして弱火で煮込みます。それで完成!フランスパンは軽く焼いてそれでスープをしみ込 ませて味わえば心の底から豊かな気分に浸れます!是非お試しを…ちなみにほうぼうとか、こちとか、あなごの処理は結構 勇気がいりますのでスーパーでおろしてもらうとよいでしょう! Good luck !


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