悠久のインド〜バラナシ
 
Varanasi
 
 
バラナシ
 

 
ガート(沐浴場)
 


  聖なるガンガー。ヒマラヤに発しヒンドスタン平原を貫いて流れるガンジス河は、ヒンドゥーの世界観において、まさに「神」そのものとしての位置を占めています。ここで沐浴すればすべての罪は清められ、ここで荼毘に付され灰となって流されれば、輪廻からの解脱が得られる。3000年以上の歴史を持つ聖地の中の聖地です。  

       
 
舟着場
バラナシ観光のハイライトといえばガンガーのガート見物。まずは舟着場から小舟に乗り込みます。この時まだ夜は明けておらず、眠い目をこすりながらの乗船です。
 
ろうそく
舟に乗るにあたり、観光客はみな花を型どったろうそくを買います。一個1ルピー。商売というよりお賽銭みたいなものですね。気持ちが引き締まります。
 
精霊流し
少し沖に進んだら、さっき買ったろうそくを精霊流しの要領で川に流します。死者の霊を鎮めるのでしょうね。日本人には理解しやすい作法です。
 

       
 
ガート
ガートは長さ数kmにわたって連なっています。人々は着衣のまま茶色く濁った川に身を沈め、あらゆる病を治すと信じられている水を口に含みます。
 
日本のみなさぁ〜ん
と声が聞こえてきたので振り返ると、うら若き三人の乙女が全身ずぶ濡れで首まで浸かっているではありませんか。見上げた根性だ。というかバカだ。
 
終の棲家
インド各地から年間100万人を超えてここに集まるヒンドゥー教徒の最大の願いは、死してガンガーに流されること。ガートの近くでは死を待つ老人の姿をよく見かけます。
 

     
クミコハウス
日本人バックパッカーの間では知らない者はいないというほど有名なペンション。久美子さんという日本人女性が経営しています。いろいろな本で取り上げられ、今やフリー旅行者のメッカとなっています。という情報を仕入れたパック旅行者(つまり私たちですね)にとっては、ある意味ガート以上の観光名所になっていたりもします。川に面した壁に日本語で「久美子の家」と書いてあるので、舟からも一目瞭然です。眼下にガンガーを眺めながら毎日を過ごすって、どんな気分なんでしょうね。
     

       
 
牛の死体
この世に存在する美しいものと醜いものが、全く同じ価値を持って流れていくガンガー。うーん、清濁併せ呑むというのはまさにこういうことなんですね。
 
洗濯屋
聖地ガンガーは彼らにとっては仕事場でもあります。こんなに一生懸命なのに、「汚いものに触れている」という理由で、彼らのカーストはとても低いのだそうです。
 
渋滞
ガンガーの観光は夜明け時がベスト。東岸から昇る朝陽に照らされてガートが美しく輝くからです。で、川面にはたくさんの舟が浮かび大混雑の様相を呈します。
 

       
 
洗濯屋再び
しばらく進むと別の洗濯屋が営業中。ホテルのシーツやタオルもこうして洗われます。どうりで砂まみれだったりベタついたりしていたわけだ。
 
朝陽
ようやく夜が明けてきました。ところで対岸(東側)は「汚れた地」ということで何もないため、朝陽は見事に地平線から昇ります。感慨とともに神々しさを感じる瞬間です。
 
ソフトフォーカス
朝もやのせいなのでしょうか、岸から離れていくにつれて視界の先が霞んでいき、狙ってもいないのにどんどん幻想的な眺めになっていきます。
 

   
お土産屋
ハローフレンド、コレシェンエン(千円)ネ。ヤスイヨ。目ざとい土産物屋がこれだけの観光客を見逃すはずがありません。さっそく品物を積んだ小舟で乗りつけてきました。逃げても船体を合わせ執拗に売り込んできます。こちらも必死で無視を決め込むものの、まるで効果なし。さすがインドだ。
   

       
 
洗濯屋みたび
ある程度まで進むと、舟は引き返して元の舟着場に戻ります。さっき通った洗濯屋は順調に仕事が進んでいるようで、干されている洗濯物が増えていました。
 
火葬場
きらびやかな布に包まれた遺体がガートの特別な一角に運び込まれ、公衆の面前で火が放たれます。遺灰はすべてガンガーへ。ヒンドゥー教徒にとって人生最後の希望です。
 
記念写真
せっかく来たんだから、一枚くらい自分たちの入った写真も撮っておきましょうか。冬の朝はけっこう冷え込むので、日本並みに防寒具が必要です。
 

       
 
カラス
牛の死体をカラスがついばんでいました。これって水葬というより鳥葬じゃないのか。そもそも聖なる牛を食べていいのか。このカラス、ヒンドゥー教徒じゃないな。
 
活動開始
舟着場に戻る頃には陽もだいぶ昇り、人出も増えてきました。いよいよ街が本格的に活動を開始します。景色がモノクロからカラーに変わる時間になりました。
 
僧侶の傘
日の出を待っていたかのようにガートにポツポツと傘が開いていきます。これらはみなヒンドゥー教の僧侶。今日一日の営業開始というわけです。
 

       
 
坊主銀座
それにしてもさすが聖地、坊さんの数だけでも大変なものです。これだけいるとさぞや競争が熾烈なのでは。どうやって差別化を図っているんでしょう。
 
寺院
インドの寺院はソフトクリームのような独特の形をしているものが多いので、見てすぐわかります。色もカラフルだし。さすがに周囲は賑わっていました。
 
インド人も寒い
ヒンドゥー教徒にとって毎朝の沐浴は宗教上の義務。さすがインド人と思っていましたが、やはり彼らも人並みには寒いようです。なあんだ、安心した。でも水は飲みたくないな。
 

 
街角の風景から
 


   
傾いている!
岸辺の寺院らしき建造物。でも、ちょっと待て、何かがおかしい。ねえ、これ傾いてない?傾いてるよねえ。目を凝らして見ましたが間違いありません。地盤沈下か、建築ミスか、それとも大地震でもあったのか。インドっぽいといえばインドっぽいんだけど。
   
黄金寺院
1トンの黄金でメッキされているというヴィシュワナート寺院。ヒンドゥー教徒以外の立ち入りは厳しく禁じられています。異教徒は牛革のベルトや財布を身につけているから、というのも理由のひとつだそうです。塀の外からせめて写真だけならいいみたい。
   

   
野良牛
ヒンドゥーで牛が聖なる動物とされているのは有名。貴重な栄養源となる乳を搾るため、牝はたいがい飼われています。一方ほとんどの牡は「野良」。自活しなければならないので大変です。それとも自由でのびのび暮らせるのかな。ここには人間が他の生物より優れているという思い上がりはありません。
   

       
 
ベルボーイ
ホテルの玄関にて。観光用の意味もあるのでしょうが、なかなかカッコいい衣装です。他にも記念撮影をせがむ人がいて順番待ちになっていました。
 
青空床屋
彼らには店がありません。路上でカミソリひとつの商売です。自分の腕一本で世間を渡っているわけで、究極の実力主義です。見慣れるとだんだん合理的な気がしてきます。
 
サドゥー
全身に聖灰を塗りたくったサドゥー(ヒンドゥー教の修行僧)を見つけました。愛想を振り撒いていたのか、撮影するなと怒っていたのか、わからずじまいでしたが。
 

   
生活物資
街を散歩してみると、生活物資が意外なほど豊富にあることに驚かされます。インド=貧しいというイメージが誤った先入観であることがわかります。GDPとか為替レートとか経済学の統計上は別なのかもしれませんが、少なくとも暮らしていくのに不便はなさそうです。
   

   
毛糸屋
インド人は毛糸のセーターが大好き。ガイドさんもよく着ていました。デリーやアーグラといった北部では冬はけっこう冷え込むので、防寒着として欠かせないのです。お土産にもいいかもしれませんね。これだけ色があると見ているだけでも楽しいし、どれにしようか迷っちゃいます。って自分が編むわけじゃないんだけど。
     
街角祭壇
ありふれた街角の樹に祭壇がしつらえてありました。何か由来でもあるのでしょうか、花輪がかけられ根元でろうそくが燃えています。信仰が日常に自然に溶け込んでいるような気がしてふと羨ましくなりました。成長の陰で失ってしまった何かを見たような気がして。子供の頃、田舎の道には道祖神があったな。
   

       
 
走る!
道の向こうから牛の一団がやってきました。ドドドドッと凄い迫力で、ハッキリ言って怖い。まるでコンボイです。ひとりやふたりはきっと轢かれているに違いありません。
 
交通天国
自転車やらバイクやら自動車やら(この順番で多い)がドゥワーッとやってくるインドの道。活気はもちろんのこと、改めて「人が多いんだな」と感じさせられます。
 
内心怖い
牛と並んで記念撮影。何しろさっきコンボイを見たばかりですからね。近づくに近づけない。動き出したらどうしようと、笑顔の裏で心臓はバクバクでした。
 


   

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