悠久のインド〜コルカタ(カルカッタ)
 
Kolkata(Calcutta)
 
 
コルカタ(カルカッタ)
 

  イギリス人をして「この宇宙で最悪の場所」と言わしめた街、コルカタ。詩聖タゴールを生み、インド唯一の地下鉄が走り、200万とも300万とも言われる路上生活者が暮らす、インド世界の縮図がここにあります。  

 
大気汚染
 


  空港に降り立った途端、「のどにコールタールを塗りつけられたよう」な感じがして、思わず咳き込んでしまいました。この街の最大の名物、「大気汚染」は、かくもすごい威力です。朝は多少空気が澄んでいるものの、午後になるにつれのどはいがらっぽく、目はごみが入ったようになり、トローチと目薬が手放せなくなりました。  

 
ジャイナ教寺院(スウェタンベル)
 


       
 
寄進
信者の宝石商バドゥリダス・ムーキンにより、ジャイナ教24聖人の10番目、シータラナータに捧げられました。スウェタンベルとは「白衣派」の意味。
 
イタリア風
大理石の建物にイタリア風の庭園を組み合わせるという、一風変わった造り。それでも「浮いた」感じがしないところにインド文化の奥深さを感じます。
 
第三の宗教
ヒンドゥー教や仏教に比べ、日本ではマイナーなイメージのあるジャイナ教ですが、インドでは商人に信者が多く、経済界では一定のプレゼンスを占めています。
 

   
宝石商
宝石商の寄進らしく、建物という建物がカットガラス、鏡、宝石といった光リモノで飾られています。圧巻は寺院の入口の扉。ひときわ細かで色彩豊かな装飾が施されています。すごい趣味です。正気の沙汰とは思えません。宗教施設でありながら、明らかに心の平安とは対極にあります。信者はどう思っているのでしょう。
     
殺生厳禁
ジャイナ教の特徴は極端なまでの不殺生主義。敬虔な信者は小さな虫が口に入らないよう(虫を食べ殺さないよう)マスクをしたまま日常生活を送ります。根菜類は掘り出すときに土中の虫を殺してしまうため食べないそうです。当然肉食など問題外。というわけで、野良犬もここならいじめられず、ひと安心の昼寝。
   

       
 
本殿
これだけキラキラな寺院ですから、ご本尊の派手さは推して知るべしでしょう。と思いきや、意外にそうでもないな。え、充分派手だって?
 
労働者
庭園の一角では労働者が象の置物を修復中。ヒンドゥー教と仏教ではともに神聖な動物とされている象。さてジャイナ教ではどうなのでしょう。
 
入場無料
庭園はインド人にとっても憩いの場。信者(?)の女性が日向ぼっこをしていました。白を基調とした寺院にオレンジのサリーがひときわ鮮やかでした。
 

 
カーリー寺院
 


   
花輪を捧げる
道路に面した入口から、区画の奥にある寺院の建物まで、両側に店が並ぶ参道を通ります。ここで参拝者はカーリーに捧げる花輪を買うのです。山積みとなった花輪が飛ぶように売れていきます。毒々しいまでに赤い花が、血を好むカーリーにいかにも相応しい気がしました。
     
行列
寺院には参拝者が絶えることがありません。ヒンドゥー教徒しか入れない内部には、子宝祈願にハイビスカスを祭った樹があるそうです。それ以外にもカーリーには意外と現世利益的な効能(?)が多々あるらしく、そのあたりが人気の秘密なのかも知れません。日本人と一緒だ。
   

     
カーリーは血を好む
ヒンドゥー教の最高神シヴァ。その妻ドゥルガーの化身であるカーリーはカルカッタの守護神とされています。カーリーは血を好む女神として知られており、境内では毎日、生け贄として山羊の首がはねられます。私たちが訪れたのは、ちょうど生け贄の儀式が終わった直後。あたり一面生臭い匂いが立ち込めていました。宗教がその本質に持つ「狂気」を垣間見た思いでした。
   

 
マイダーン公園
 


   
ヴィクトリア記念堂
「コルカタのタージマハル」と呼ばれる白亜の殿堂は、1901年に死去したインド皇帝ヴィクトリア(本職はイギリス女王)を記念して、ジョドプールの白大理石で造られました。今は博物館として一般公開されており、ヴィクトリアが少女時代に使った紫檀のピアノや王朝時代の絵画などが展示されています。
   

       
 
セント・ポール寺院
樹々の向こうにうっすらと見えるのはセント・ポール寺院。19世紀半ばにイギリス人により建てられた、ゴシック様式のキリスト教会です。あそこもマイダーン公園の一角です。
 
サリー
休日だったので地元の人もたくさん訪れていました。民族衣装のサリーを着た女性の一団も。それにしても目が覚めるほどの鮮やかさ。図ったようにカラフルですね。
 
憩いの広場
南北に3km以上も続く一面の芝生。ビニールシートを敷いてピクニックを楽しむ親子や、フリスビーを楽しむ若者のグループと、日本と変わらない憩いの風景がありました。
 

 
フーグリ河
 


   
聖地
カルカッタの街を南北に貫くように、大河ガンジスの支流であるフーグリ河が流れています。コルカタ市民にとってはガンジスに準ずる聖地。岸辺は階段状のガート(沐浴場)になっています。服を着たまま入水している人をちらほら見かけました。灰となった死者もここから流されるんですね。
   

 
グレート・イースタン・ホテル
 


  古き良きイギリス植民地時代の雰囲気が今も色濃く残るグレート・イースタン・ホテル。ウエイターが英国流のマナーを守り続けるレストランでは、チキン、野菜、豆腐のようなチーズなどのさまざまなカレーが楽しめ、濃く煮出したアッサムティーが旅の疲れを癒してくれます。  

   
推理小説
高い天井にアンティークな調度品、迷路のように入り組んだ建物の造り。写真ではよくわかりませんが、縦横に曲がりくねった廊下は空気が澱んでおり、まるでアガサ・クリスティーやエラリー・クイーンの推理小説にでも登場しそうな、何とも言えない妖しい雰囲気が漂っていました。
   

 
ハウラー駅
 


   
ああ上野駅
コルカタの鉄道の玄関口は、フーグリ河の対岸にあるハウラー駅。チェンナイへ、デリーへ、ムンバイへと、ここから長距離の夜行列車が旅立っていきます。駅構内の雰囲気はさながら昭和30〜40年代の上野駅のよう。大きな荷物を抱えた乗客はみな一様に、どこか疲れた表情で、何かに耐えるようにいつ来るとも知れない列車をじっと待っていました。毒食らわば皿まで、というわけでもありませんが、せっかくインドに来たのにこの鉄道大国を体験しない手はない。というわけで、コルカタからバラナシまで寝台列車に乗ってみました。大いなる不安と同時に「怖いもの見たさ」という名の好奇心を抱えて。
 

 
街角の風景から
 


   
観光馬車
マイダーン公園の入口で客待ちをしていた観光馬車。あれだけ敷地が広ければ、回るのに馬車が必要というのも当然ですね。ところで公園の一角には競馬場があり、ここで走っていた競走馬がかつて来日したことがあります。第一回ジャパンカップで「インドのシンザン」と評判になり、大差のどん尻負けを喫したあの馬です。
     
撮影禁止
インドでは軍事的、宗教的な理由から写真撮影禁止の場所が多くあります。橋もそのひとつなのですが、ガイドさん曰く「基本的にダメですけど、ときどき大丈夫です」とのこと。要は見つからなきゃOKってことなのね。いい加減だなあ。というわけで、比較的最近に造られた新ハウラー橋を一枚。逮捕しないでね。
   

       
 
ハウラー橋
遥か彼方に霞んで見えるハウラー橋はフーグリ河を渡る交通の大動脈。いつもたくさんの車で渋滞している、街のシンボル的存在です。
 
リキシャ
カルカッタの名物といえばリキシャワーラー。インドでもこの街だけに残る人力車ですが、公式には1997年の夏をもって廃止されてしまいました。今でも密かに走っているかな?
 
カバン屋
両手に抱えた荷物が商品の全て。もちろん店などありません。それでも彼は立派なカバン屋です。与えられた条件の中で精一杯働くその姿に私は感動しました。
 


   

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