悠久のインド〜アーグラ
 
Agra
 
 
アーグラ
 

  「インドの京都」とも称されるムガール帝国の栄光の都。1526年、開祖バーブルにより都とされ、一時デリーにその座を奪われるも再び遷都され、第5代シャー・ジャハーンの時代に絶頂期を迎えます。  

 
タージ・マハル
 


   
門楼
タージ・マハルもさることながら、その入口の門楼も見ごたえのある立派な建物です。イスラム建築でありながら上部にチャトリ(小亭)を配置するなどインド伝統の様式をうまく取りいれており、この方法はファティプール・シークリーなど、ムガール帝国時代に建造された他の遺跡にも用いられています。
   

 

 

遠近法
門楼の白大理石に描かれたアラビア語は、遠近法を考えて上にいくほど大きな文字になっています。目の錯覚を利用し、離れて見た時に同じ大きさに見えるようにしているのだそうです。さすがシャー・ジャハーン。このあたりに彼独特のマニアックな美的センスが出ています。
     

 
世界遺産
ムガール帝国第5代皇帝シャー・ジャハーン。屈指の奇人として知られる彼が世界史に記した最大の功績は、間違いなくタージ・マハルを建設したことでしょう。今、当サイトを見ている方には失礼ですが、この建物の素晴らしさは写真ではわからない、と断言します。まさしく人類の宝です。
   
廟堂
愛妃ムムターズ・マハルの死を悼んだシャー・ジャハーンは、20年の歳月と2万人の工匠、そして現在価値22兆円とも推定される莫大な金額を投じて、この建物を完成させました。シャーにとってムムターズがいかに大切な存在だったかがわかります。そして彼の権力の大きさも。
 

   
28mmでも無理
タージ・マハルは想像以上に大きな建物です。えっ、こんなに大きかったの?と訪れる誰もが驚きの声を上げます。墓廟を28mmのレンズで狙ってみましたが、とても全貌をファインダーに収めることはできませんでした。24mmいや20mmが要るな、少なくとも。
   
ミナール
基壇の四隅に置かれたミナール(尖塔)にも仕掛けがあります。地震が起きても墓廟に向かって倒れてこないように、わざと外側に傾けて建てられているのだそうです。その結果、墓廟が実際よりも大きく見えるという効果まで得られることになりました。
   

       
 
裸足で
靴を脱いで階段を登ると基壇の上に出ます。ここから見渡せるヤムナ川の対岸に黒大理石を用いたもうひとつのタージ、すなわちシャーの墓廟が造られる予定でした。
 
グループ旅行
インド人にとってもタージは第一級の観光地です。若者のグループや家族連れなど、とにかく大勢の人々が訪れます。そして、そんなインド人を観光する日本人も。
 
記念写真
ちょうどこの日は元日。初詣がタージ・マハルです。あまりにめでたいので記念写真を撮ってもらうことにしました。これは一年かなりの御利益がありそうだぞ。
 

 
アーグラ城
 


 

 
ムガールの赤砂岩
タージ・マハルと並ぶアーグラのもうひとつの名所がアーグラ城。デリーのラールキラーとともに皇帝の居城でした。建築資材として赤砂岩を採用した典型的なムガール様式の建物で、第3代アクバルによって造営され、その後ジャハーンギール、シャージャハーンと代々の皇帝が増築を重ねていきました。そう、ここにもシャー・ジャハーンの足跡が印されているのです。繊細なタージと比べてやけに質実剛健とした外観。二重に堀をめぐらせ、これも二重の城壁の各所に要塞を設けるなど、実戦的な造りになっています。
     

       
 
ジャハーンギール殿
アクバルから城を受け継いだ第4代ジャハーンギール。彼が最初に行ったのは敷地内に自分のための宮殿を造ることでした。城は相続しても親の家は引き継がないんですね。
 
タージ遥かに
アーグラ城からはヤムナー河越しに遠くタージ・マハルを望むことができます。ちょうど裏側から見るアングルになりますが、なかなか趣があって魅力的です。
 
象眼細工
アーグラの特産品は薄く削った宝石を嵌め込んでいく象眼細工。このような技法をシャー・ジャハーンが見逃すはずがありません。当然、城の建物にも施されています。
 

   
当時の彩色
内部の宮殿は鏡や大理石で華美に飾られており、誰の趣味かがすぐわかります。当時の彩色がわずかに残っていました。他のイスラム諸国同様、幾何学模様を基調としたもので、青を中心に金や赤などの色を効果的に使っています。このあたりにムガールがイスラム帝国だった片鱗を垣間見ることができます。
     
幽閉
晩年になるとシャー・ジャハーンは息子のアウラングゼーブによってアーグラ城に幽閉されます。彼は居室から遠くタージを眺め、亡き妻ムムターズとの想い出に浸りながら失意の日々を過ごしたといいます。ちょうどこんな光景だったのでしょう。どんな相克があったのかはわかりませんが、想像するだけで胸が痛くなります。
   

 
街角の風景から
 


       
 
宝石
象眼細工にも使う宝石を細かな刺繍とともに縫いつけた工芸品。これもアーグラの特産です。成金趣味の極みではあるものの作品自体は素晴らしい出来映えです。
 
サイクル・リキシャ
ツアーバスの駐車場からタージ・マハルまでは約1kmの道のり。そこでサイクルリキシャを雇うことにしました。コルカタの人力車に比べると随分楽して稼げる商売です。
 
馬車
タージからの帰りは馬車にしてみました。馬は大変ですが人はさらに楽に稼げます。この馬は5人も乗せていたのに気合をつけるとまた伸びました。なかなかの頑張り屋です。
 


   

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