静寂のカンボジア〜タ・プローム
 
Ta Prohm
 
 
タ・プローム
 

  アンコール・ワットやバイヨンと並んで、日本人に人気の高いタ・プローム。確かに、この光景を見てしまうと魅きつけられるのも無理はありません。石割桜とは桁が違いすぎます。  

 
寺院
 


       
 
東門
境内に足を踏み入れるや否や、鬱蒼とした雰囲気があたりを支配します。ここでは人間よりも樹木が主役なのだということを、さっそく思い知らされます。
 
祠堂
木ばかりが有名ですが遺跡自体もなかなかのものです。彫刻は細かくて美しいし、一部には原色が残っているし。デバター像なんかバンテアイ・スレイといい勝負です。
 
西門
崩れかけた建物に射す黄昏の陽。テラスに佇む少年。西門にはどこかひなびた空気が漂っていて、これはこれで味がありました。何の変哲もない景色なんですけどね。
 

 
榕樹コレクション
 


   
東門の木
それではタ・プローム名物の樹木ツアーに出かけましょう。まるで遺跡を飲み込むかのように四方八方に根を伸ばす熱帯の植物が、次から次へと現れてきます。これらは榕樹、すなわちガジュマルの一種で、現地ではスポアンと呼ばれています。
   
蛸の木
人間の手による建造物が、自然の猛威にここまで侵食されるというのも珍しい。いやあ、期待通りのすさまじい光景です。これなんか蛸に似てると思いませんか? 足八本どころじゃないけど。眺めているうちにウルトラマンを思い出しちゃいました。
   

   
大蛇の木
これはもう植物というより動物と言ってよいのでは。少なくとも珊瑚なんかよりよほど動物らしく見えます。右側は通称「大蛇」。いるよね、こんなニシキヘビ。ジャングルの樹木から垂れ下がってて、小動物を飲み込んで太くなってたりしてさ。かえすがえすも動き出さないのが不思議なくらいです。
   

   
筋肉の木
子供の頃、医学図鑑って気味悪いけど何か惹かれるものがありませんでしたか? そんな昔懐かしい生理的感覚が呼び覚まされる造形の数々。これも植物とは全く別の概念でしか把握できませんね。筋肉とか神経系統とか。いずれにしても医学系だ。
   
血管の木
これ、すごいでしょ。遺跡に張りついた木のまわりをさらに別の植物が這っているんですよ。痩せた人の腕によく血管が浮き出て見えるけど、まさにそんな感じで、解剖された人体標本のようです。うーん、実は中に誰か入ってるんじゃないか。人柱とか。
   

   
回廊の木
タ・プロームもアンコール遺跡である以上、中央祠堂の周りを回廊が取り囲んでいるわけですが、こちらもまた暴力的なまでにガジュマルに侵食されています。建物も地面の一面の石造りなのに、ほんのわずかの土の隙間を見つけてここまで成長したんですね。何年かかったんだろ。
   

   
最も有名な木
と「地球の歩き方」には書いてありました(左)。確かにインパクトのある生え方です。うねうねと這う姿には生理的に訴えるものがあるし。そのうち根が伸びて襲ってきそうですよね。あ、だからウルトラマンを思い出したのか。怪獣島でしたっけ?
   
塔に食い込む木
このアングルからだとわかりづらいですが、根っこが塔に突き刺さるように生えています。他の樹木のようにうねうねとしていないので一見普通に見えますが、塔を突き破って伸びてきたってことでしょ? ひょっとして、こっちの方が凄いんじゃない?
   

   
鳥の足の木
タカなどの猛禽類が枝に止まったり、獲物を獲ったりするとき、爪をガッと食い込ませるでしょ。あれですよ、あれ。たぶん上から引っ張っても容易に抜けませんよ。建物ごと持っていかれちゃうんじゃないかな。何しろ縦だけじゃなく、横にも長ーく根を伸ばしてますからね。まさに根こそぎ。
   


   

  (C)2002 K.Chiba & N.Yanata All Rights Reserved