静寂のカンボジア〜プノンペン
 
Phnom Penh
 
 
プノンペン
 

  アンコールの遺跡群はこの国のほんの一部に過ぎません。たとえ一日だけでもいいからプノンペンに滞在してみましょう。100万人を超える人々が暮らすこの街を知ることで、カンボジアがより多面的に見えてきます。  

 
王宮
 


   
即位殿
伝統的なクメール建築とフレンチ・コロニアルの見事な融合。建物といい庭園といい配置といい、さすが国を代表する施設。素晴らしく見事なバランスです。その中心に位置する建物がこれ。広い階段がいかにも「本殿」といわんばかりの堂々とした風格を漂わせています。
   

       
 
正門
前庭を挟んで即位殿と向かい合う勝利の門。段々に重なる屋根と、それを支えるべく林立する柱。対になったデザインがシンメトリーな美しさを引き出します。
 
クメール様式
中国文化の影響を上手く消化しつつ南方系らしい明るさを実現する。評論家的にはこんなとこですかね。何より、この山吹色がクメールだよなあ。
 
ナポレオンの館
その中でひときわ異彩を放つ建物。中は歴史資料館になっていて、歴代王室の食器や条約文書が展示されています。でも「ベルサイユのバラ」だよな。浮いてるし。
 

   
王居
敷地の奥にはシアヌーク国王が暮らす王宮もあります。住居(左)はさすがに警備が厳重で、通用門も堅く閉ざされています。その割に中の様子がほら、けっこう覗けちゃうんだけど。執務室(右)は前庭の中にあって、誰でも近寄ることができます。無防備だな。こんなんで本当にいいのかな?
   

       
 
ガルーダ
屋根を支える柱にはガルーダの装飾が。両手と翼を拡げた姿がユーモラスで可愛らしいですね。構造力学的にも建物の強度を増していそうに見えますね。
 
王家の紋章
建物のあちこちにはこのように王家の紋章が刻まれています。色使いもエンジに金で統一されていて、なかなか高貴な感じです。ブランド・マーケティングの基本だな。
 
カンボジアの桜
庭園の一角で桜が咲いていました。日本のものよりピンクが濃く南国を感じさせますが、花びらの可憐さは同じ。これは日本人の琴線に触れるだろうな。
 

 
銀寺
 


   
国際関係
銀寺は草花が多く、さながら植物園といった趣。あちらこちらで色彩とりどりに咲き誇り、鮮やかな印象です。御本尊のエメラルド仏はタイに奪われたとガイドさんが憤慨していましたが、そういえばラオスでも同じような話を聞いたぞ。隣国同士で仲が良いのかと思いきや、意外に複雑な関係のようです。
   

     
歴代の王墓
ところで、銀寺の敷地内には白いモニュメントが何基も建っています。なんとこれがノロドム、モニボンなど、19世紀から続く歴代の王様のお墓なのだそうです。最初は計画的に配置していましたが、数が増えてくると、だんだん空いた場所に建てられるようになってしまったみたいです。あんまり後先考えなかったんですね。この調子でいくと、近い将来は墓と墓の隙間に新たな墓を建てることになりそう。あるいは一基のサイズを小さくするのか。いずれにしてもバツが悪そうな話です。大きなお世話でしょうけど気になります。
     

   
ラーマーヤナ
敷地を取り囲む回廊には一面に壁画が描かれています。モチーフはインド神話の「ラーマーヤナ」。ということは、クメール文化はインドの影響も受けているんですね。考えてみればアンコール遺跡がヒンドゥー教と仏教を背景にしていたわけだから、昔からつながりは深かったわけだ。
   

 
トンレサップ川
 


   
メコン合流
トンレサップ湖から流れてきた川が、街の東で大河メコンに合流しています。乾季ですらこのように対岸が霞んで見えるほどなのだから、メコンが増水してトンレサップ湖に逆流するという雨季には、どれほど雄大なのか想像もつきません。東シナ海からの大型フェリーもここまでは楽々と遡上してきます。
   

       
 
憩いの広場
川沿いは市民にとっても憩いの場。風が吹き渡る広い歩道を歩いていると日頃のストレスも吹き飛んでしまいます。夕方には屋台も建ち並び、一層盛り上がります。
 
水浴び
それでも昼間の陽射しは強烈なことこの上ない。水浴びのひとつもしたくなるってもんです。いいなあ。気持ち良さそうだなあ。少なくともガンジス河よりは綺麗だろうしな。
 
花売り
仏教が浸透しているせいか川沿いにはところどころに小さな祠があり、訪れる人が絶えません。そのため、お供えの花を売る店もボチボチ見かけます。暑そうだね。
 

 
セントラルマーケット
 


       
 
たまごドーム
市場にはその国の個性が表れるはずですが、それにしてもこの形は? ユニークだけどどこか間抜けで、なるほどカンボジアっぽいのかも。色は王宮と同じ(つもり)だしね。
 
シジミ
最初は石ころを売ってるのかと思いました。次に勝ち栗を売ってるのだと思いました。顔を近づけてみて、ようやくシジミだとわかりました。とても硬そうでした。
 
ゲンゴロウ
出たーっ! 東南アジアって虫を食べるんだよね。唐揚げで美味しいのかもしれないけどさ。見た目がまんまだもんねえ、食えって言われても。あ、言われてないか。
 

   
アーケード
カンボジアの工業は衣料が中心。プノンペン郊外には大規模な縫製工場もあります。輸出用が大半なのでしょうが、プリントの種類が豊富なところを見ると意外に市民向けなのかも。ドームから放射状に伸びるアーケードには、そんなわけでTシャツ屋がたくさんありました。
   

       
 
宝飾品
ドーム内の一等地を占めるのはやはり高額な宝飾品。化粧品屋の美容部員のようなお姉さんが優雅に客待ちをしていました。ここだけはキラキラしてるんですよ。
 
ファミコン
日本文化の侵略はここにも及んでいました。コントローラーとパソコンのキーボードがセットになってるのがよくわかりませんが。世代的には初期のファミコンのようです。
 
下着屋の跡取り
天まで届くかというほど積み上げられたマネキン。胸や腰には色彩鮮やかな女性用の下着やドレスが。よちよち歩きのボクはいずれこの店を継ぐのかな?
 

   
ドリアン
果物の王様ドリアン。さすが本場だけに品数豊富で、一山いくらで売ってくれます。価格も日本と比べると激安。お買い得なことこの上ありません。って言われても、一切れ食べるだけでも難儀なのに、ねぇ。ラオスで一個の1/6くらい食べたけど、その日は一日かなり苦しかったぞ。
   

 
街角の風景から
 


       
 
国立博物館
王宮のすぐ傍にある博物館はクメール芸術の宝庫。全国から発掘された彫像が多数展示されています。でも、みんな仏像みたいで区別がつかなかったぞ。
 
ラナリット邸
高級住宅街の一角にシアヌーク国王の息子、ラナリット国会議長の私邸があります。王子なのにあえて政治家の道を選んだこの人。フン・セン首相との対決の行方は?
 
独立記念塔
その住宅街に建つ独立記念塔。アンコール・ワットの尖塔をモチーフにした独特の形はお札の図柄にもなっています。あたりは道幅の割に交通量が少なく閑静です。
 

   
ジャックフルーツ
王宮の敷地に入ってすぐのところに何やら得体の知れない植物が。これが朝食のデザートによく出るジャックフルーツの木です。ドリアンのようなトゲトゲの固まりの中に瓜に似た実がたくさん詰まっています。生食だと薄味の夏みかん、乾燥だと甘みのあるサッポロポテト。どちらも病みつきになる味です。それにしても「怪獣島」みたいだな。
     
理想の家族
国立博物館の裏で見つけた銅像。小銃を担いだ兵士と妻と思しき農婦、そしておさげ髪の少女。これがカンボジア人の考える理想の家族なのでしょうか。それとも富国強兵を目指す政府のプロパガンダ? そう考えると、あえて人目につかない建物の裏に設置しているのがなにやら意味深ですね。いつの時代に造られたものなんだろう。
   

   
コブラ酒
カンボジアのお土産はこれで決まり。飾るもよし、飲んで精力をつけるもよし。大瓶はもちろんのこと、小瓶でもちゃんと小さいコブラが入っているんですよ。凄いでしょ。とはいうものの、インパクト勝負はちょっと……という方には銀細工の小物を。職人さんによる実演販売もやっています。
   


   

  (C)2002 K.Chiba & N.Yanata All Rights Reserved