キンコーン、キンコーン
一日の終わりを告げるチャイムがなった。
「ねぇ、ねぇ、今日、遊べる?」
みんなそれぞれ、お友達と約束をしながら家に帰り始めた。
貴志君も学童へ向かうために靴箱に向かう途中で、
「靴、かえてもらってね」
というお母さんの言葉を思いだした。
そうだったマコちゃんは長靴だったんだ・・・。
靴箱をみると、もうマコちゃんは帰った後で靴箱は空っぽだった。
その日は、マコちゃんの靴のまま家に帰った。
お母さんも忘れているのか靴のことは何もいわなかった。
明日は絶対マコちゃんに話して靴を替えっこしてもらおうっと。
貴志君は心に誓ってベットに入った。
次の日、学校で靴箱をみるとマコちゃんの靴は新しくなっていた。
「新しい靴、買ってもらったんだぁ・・・。」
「ぼくの靴、どうなっちゃったんだろう・・。」
貴志くんはマコちゃんにとうとう靴のことが言い出せなくなってしまった。
それから、しばらく貴志くんは「やまぎしまこと」とかかとに名前が書いてある靴をはいていた。
お母さんも靴のことはすっかり忘れているのか、貴志くんが返してもらったと思っているのか、靴のことは何も言わなかった。
そして、しばらくたったある日。
貴志くんが学童に行こうと自分の靴箱をみると今まで履いていた「やまぎしまこと」と書いてあった靴もなくなっていた。
「あれ、また靴がない・・・。」
と、マコちゃんの靴箱を見ると今度は、マコちゃんの靴箱も空っぽだった。
「ぼくの靴、また、なくなっちゃった・・。」
今度こそ、とうとう貴志くんのはく靴は、なくなってしまった。
「どうやって、学童に行こうかなぁ?どうやってお家に帰ろう?なんで僕の靴ばっかり・・」
貴志くんは空っぽの靴箱を見つめていると、少し悲しくなってきた・・・。
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